2019年10月24日 衆議院 安全保障委員会 屋良朝博

■アメリカの海兵隊の運用について質問

質問内容についての要約

アメリカの海兵隊の運用について質問

沖縄に駐留するアメリカ軍総兵力の六割が海兵隊である。基地面積に占める割合も、七割という圧倒的な存在である。

沖縄に配備されている機動展開部隊は、第三十一海兵遠征隊、31MEU、小ぶりな兵力であるが、それが初動対応部隊として維持されることが増強部隊の来援基盤となり、柔軟な対応が可能になると政府は説明しているが、増援が必要となる事態とは、一体どのような事態なのか。そして、それはどこで起きると想定しているか。などを質問。

議事録

200-衆-安全保障委員会-2号 令和元年10月24日 

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○屋良委員 屋良朝博でございます。
 ことしの四月に補欠選挙で当選をさせていただきまして、ちょうど三日前、十月二十一日に半年を迎えたという、まだまだ駆け出しの議員でございます。(発言する者あり)済みません。どうも、発言にもちょっと戸惑うところがあると思いますけれども、よろしくお願いいたします。
 本日はアメリカの海兵隊の運用についてお伺いしたいと思います。
 沖縄に駐留するアメリカ軍総兵力の六割が海兵隊でございます。基地面積に占める割合も、七割という圧倒的な存在でございます。だから、沖縄の基地問題や日本の防衛、安全保障を考える上では、やはり、海兵隊の存在、駐留のあり方について議論を深めていかなければならないと私は思っております。
 議事録を読み返してみますと、既に本委員会でも多種多様な議論がなされております。例えば、お隣にお座りの長島先生も、海兵隊は、作戦規模や任務の内容によって編成を自在に変えることができる機動展開部隊について詳細な議論を行っております。
 最大規模の海兵遠征軍、これは国家間が衝突するときのような大規模な紛争に投入されるものでございますけれども、それにもう一つワンランク下の、地域紛争には海兵遠征軍を編成するマリン・エクスペディショナリー・ブリゲードですね、MEB、そして、紛争未満の事態、小競り合いの直前の事態までは、海兵遠征隊、MEU、マリン・エクスペディショナリー・ユニットを機動させることなどを確認なさっており、海兵隊は三段階に部隊編成をギアチェンジできるため、即応性、機動性、柔軟性に富んだ運用を行えることが最大の特徴であることを長島先生は明らかにされ、そして、政府答弁もそれを確認されております。
 米軍再編によって在沖米海兵隊の主力部隊は沖縄からグアムへ移転し、地上戦闘兵力は現有の約六千人から実にわずか八百人に減っていくということが日米間で確認されております。日本周辺の安全保障環境が厳しいと言われる中、沖縄から主力部隊である海兵隊が大幅に削減されていくということが実際に行われようとしているわけでございます。
 海兵隊の部隊編成の特性を踏まえた上で、以下の質問をさせていただきます。
 沖縄に配備されている機動展開部隊は、第三十一海兵遠征隊、31MEU、小ぶりな兵力でありますけれども、それが初動対応部隊として維持されることが増強部隊の来援基盤となり、柔軟な対応が可能になると政府は説明されております。
 お伺いします。増援が必要となる事態とは、一体どのような事態なのでしょうか。そして、それはどこで起きるというふうに想定なさっているのでしょうか。お願いします。

○河野国務大臣 海兵隊、これは、司令部、陸上部隊、航空部隊及び後方支援部隊の四つを統合したMAGTFを基本単位として、三千人以下の規模の海兵機動展開隊MEU、そこから二万人以上の規模の海兵機動展開部隊MEFまで、さまざまな規模拡大又は縮小しながら対応をする、そういう柔軟性を持つことができるわけでございます。
 沖縄に残りますのは、高い即応力を維持する第三十一海兵機動展開隊、31MEUでありまして、この部隊は、武力紛争から自然災害に至るまでさまざまな緊急事態、これは、さまざまな場所で起こり得るこうしたことに対応するものと承知しております。

○屋良委員 今質問したのは、その増援部隊が必要となるような事態、それがどのような事態で、それはどこで、地理的な位置を伺っております。よろしくお願いします。

○河野国務大臣 これは米軍の運用でございますから、さまざまな事態にさまざまな場所で対応する、そういうことになろうかと思います。

○屋良委員 海兵隊の有事における増強部隊はどれほどの兵力で、航空機は何機程度の増強を想定しているのでしょうか。もし御存じならば教えてください。

○河野国務大臣 それはどういう対応になるかということでございますから、一概に申し上げるのは困難でございます。

○屋良委員 アメリカ側からどれほどの有事における対応を求められているのか、あるいは、そういう日ごろから情報交換がなされているかによると思いますけれども、ちなみに、韓国は防衛白書に、有事における米軍の来援規模を詳細に記述しております。陸、海、空、海兵隊の総兵力は六十九万人を想定しているそうです。海軍艦船は百六十隻、航空機二千機ですよ。
 そのぐらい大きなものがばんと太平洋を越えてやってくる、それを受け入れる体制が果たしてあるかどうかということが同盟の信頼性を担保するものだと私は考えるわけですけれども、なぜ、韓国は白書でそういった事実関係を明確に、そして詳細に公表できているのにもかかわらず、日本は明らかにしないのでしょうか。お答えをお願いします。

○河野国務大臣 韓国の意図についてお答えをする立場にはございませんが、日本の場合は、先ほど申し上げましたように、一概に申し上げるのが困難だからでございます。

○屋良委員 韓国の場合は、防衛白書に書いているくらいですから、アメリカの作戦計画をもちろんベースにして情報を開示しているはずだ、そういうふうに信じます。
 日本政府が防衛機密だと言うのなら、少なくともイエスかノーかでお答えいただきたいんですけれども、日本はアメリカから増援部隊の情報を入手しているのでしょうか。教えてもらっているのでしょうか。イエスかノーかでお答えいただければありがたいです。お願いします。

○河野国務大臣 さまざまなやりとりをしておりますが、機微の防衛情報はなかなか公表するのは困難でございます。

○屋良委員 まあ、想定内のお答えでございます。
 具体的な防衛機密に関することはなかなか公表ができないというのはそれは理解できるところですけれども、お隣の韓国があれほど詳細に防衛白書の中で書いている情報でございますから、あらかたの概要は恐らく開示していただいて、その上で沖縄の負担を考える。果たして沖縄の負担は適正なのか、距離的な位置、その地理的優位性、果たしてどのぐらいの優位性があるのかどうかということをやはり基礎的なデータをもとに議論をしないと、沖縄の負担軽減のために頑張るよとか、沖縄の海兵隊の運用についてもこれから米側と交渉していくよとかというふうな政府の説明がとても信頼性がないというふうに考えるわけですけれども、いかがでしょうか。お願いします。

○河野国務大臣 先ほど申し上げましたように、韓国がなぜそうした記載をしているか、これは韓国政府の意図について申し上げる立場にはございませんが、我が国として、先ほどから申し上げているように、一概に申し上げるのは困難であるという以外に言いようがございません。

○屋良委員 これ以上、この辺についてその議論を掘り下げるのは非常に難しいような気がしてまいります。
 次に別の質問をさせていただきますけれども、政府が想定する海兵隊の増援部隊は、どれほど沖縄に配備されるのかについてはなかなかお答えされないということでしたけれども、ただ、日米間で合意されている事項の中に、航空部隊の来援については九州になるというふうに明らかにされています。
 その上で伺いますけれども、地上部隊や後方支援部隊、先ほどおっしゃった司令部も含めた機能というのは、有事の際に沖縄に置かれるということなのでしょうか。あるいは、沖縄でなく、作戦を行う、実施する場所、戦闘が行われている場所に直接投入されるんでしょうか。その辺、もしできる範囲でお答えいただければありがたいです。お願いします。

○河野国務大臣 沖縄を拠点として米軍のプレゼンスを維持し、更に大規模な作戦が必要となる場合にはこの31MEUが基盤となる、そういうことだと認識をしております。

○屋良委員 31MEUというのは大体二千ぐらいですよ、兵力としては。そして、移動手段は長崎県佐世保にあるたった三隻の強襲揚陸艦です。それが運べる人数とか物資の量とか、それは限りがあるわけです。だから、何かがあったら来援してくる、太平洋を渡って本国からどんと来援部隊が来る、これは当たり前の話でございまして、それをどこで受け入れるのかという質問なんです。
 航空部隊については日米間でもう合意があって、九州で受け入れるよということが決まっている。じゃ、ほかの対応はどうなっているんですかというのが質問でありまして、これは、何というか、有事の際にどのように米軍が動くのか、そして、それに対して日本がどのように対応するのかという実に基本的な話でございます。それについてどうか中身のある答弁をいただきたいと思うんですけれども、もう一度お願いします。

○槌道政府参考人 今御質問の点は、築城基地と新田原基地における緊急時使用のための施設整備のお話かと存じます。
 これは、両基地の緊急時の使用のために必要な施設整備について昨年十月に日米間で合意をしたというものでございますけれども、これは、まさに緊急時に築城基地、新田原基地を使うわけでございますけれども、先ほど大臣からも御答弁ありましたように、31MEUが来援基盤として普天間で機能するという点については何ら変わりはないということでございます。

○屋良委員 今御説明にありました福岡県の航空自衛隊築城基地、そして宮崎県の航空自衛隊新田原基地、それが来援基盤としてこれから整備されるという予定でありますね。航空機の来援受入れ基盤を九州にして、ほかの地上部隊や後方支援の来援部隊は沖縄に受け入れるという振り分けが果たして基本的に可能なのかということなんですけれども、政府は常々、沖縄に基地機能を集めるのは、地上部隊と航空部隊が不可分である。一緒に連携訓練をするから、それで地上部隊がある沖縄に普天間の機能を置いておかないといけない。負担軽減のために辺野古へ移さないといけないというようなそういう説明をなされてきました。
 有事においては分離できるけれども、平時においては一つにしておかないといけないというようなことでしょうか。何というか、整合性がどうなのかというのがちょっと疑問に思っております。答弁をお願いします。

○西銘委員長 槌道防衛政策局長。
 局長、大きい声で答弁してください。

○槌道政府参考人 済みません。
 普天間飛行場にはさまざまな機能がございます。そのうちの一つである緊急時の航空部隊の受入れということについてでありますけれども、ここで築城基地、新田原基地で緊急時の使用として想定しておりますのは、おのおのの基地において十二機程度の戦闘機でございます。一機程度輸送機及び二百人程度の軍人を受け入れられる施設を整備するということでございまして、これは、普天間が有しております機能の一部であると理解してございます。
 来援基盤として、引き続き31MEUが所在する沖縄が機能するということには変わりはないということでございます。

○屋良委員 航空機に関しての来援基盤は九州に置きますよということですので、その機能を細かく見ていけばもう少し何か工夫できるような気になってくるわけですけれども、議事録で読んだんですけれども、政府答弁によると、普天間飛行場の機能は従来三つあったということですね。
 一つは、今ここで議論をさせてもらっている来援機の受入れ機能である。もう一つは空中給油機KC130の運用である。三つ目はヘリコプターとオスプレイの運用となっていたはずです。その中で、空中給油機は既に岩国へ移転しております。そして、有事の際の来援基盤は福岡と宮崎へ分離されております。残るのはオスプレイとヘリコプターの運用だけとなるわけです。
 普天間とオスプレイはおよそ五十機、もろもろの航空機を含めておよそ五十機だというふうに説明を以前受けました。海兵遠征隊を編成をするための最低限の機数です。通常は何をやっているかというと、パイロットの習熟訓練です。飛行訓練。それから、地上部隊との連携訓練を行っております。地上部隊が沖縄に駐留しているから、連携訓練を行うために普天間の機能は沖縄に置かないといけないということですよね。
 改めて、ちょっとこの点だけ確認させてください。

○槌道政府参考人 普天間飛行場は、空中給油機の運用機能、緊急時における航空機の受入れ機能、オスプレイなどの運用機能、三つの機能を有している。御指摘のとおりでございます。
 この機能によって維持されている抑止力を低下することができませんので、一方で同時に、普天間飛行場の危険性の除去を一日も早く実現するという観点から今移設作業を進めているというところでございます。
 このオスプレイなどの運用機能につきましては、米海兵隊の基本単位であるMAGTFの四つの要素、これのうちの航空部隊の役割を担うものでございます。
 特に、普天間飛行場に配備されているMV22オスプレイにつきましては、海兵隊の航空部隊の主力として、さまざまな作戦において人員、物資輸送を始めとした幅広い活動に従事し、重要な役割を果たすものでありまして、そのために必要な訓練も行っております。
 その上で政府としては、普天間移設までの間、普天間に残るオスプレイの運用機能につきまして、訓練活動の県外移転を着実に進めているほか、定期整備は千葉県の木更津駐屯地において実施しているところで、引き続きこのような取組を重ねていくという考えでございます。

○屋良委員 済みません。今は質問に対する答えに全くなっておりません。連携訓練には、オスプレイやヘリコプター、一体何機が必要なんですかという質問でございました。
 もう一度お願いします。

○槌道政府参考人 申しわけございません。
 一概にお答えすることは困難でございます。

○屋良委員 アメリカの専門家によると、五、六機でいいんじゃないのというふうな言い方をされる方もいます。
 確かに、地上部隊と連携訓練のために演習場上空を飛んでいるヘリコプターやオスプレイは、大体二機編隊あるいは四機編隊です。私、五十数年、沖縄に暮らしておりますけれども、それ以上の航空機が編隊で飛ぶような姿を見ておりません。ましてや、普天間に配備されている五十機が、地上戦闘兵力と一緒に訓練するために一斉に飛び立つような、それはとてもおぞましい状況になると思います。そんなことは私一度も見たことはありません。だから、五、六機、あるいは十機以内でもしかしたら地上戦闘兵力との訓練は行えるかもしれない。
 その連携訓練をするための最低限の機数を沖縄に残していく。パイロットの習熟訓練である飛行訓練は、九州や四国など、どこでも実施可能ではないでしょうか。しかも、築城や新田原に受入れ環境を整えている最中じゃありませんか。それは使わない手はないでしょう。その方が有事の受入れ訓練にもなるんじゃないですか。
 飛行訓練の拠点にすればいいと私は思っております。自衛隊の需要もあるだろうし、そして地域の政治状況もあるだろうし、大体皆さん嫌がるんですよ。安全保障が大事だと言っても、実際の負担が来ることはみんな反対する。そういった状況の中であるので、九州とか四国で複数の飛行場をローテーションで回して飛行訓練をするということも私は可能じゃないかというふうに考えているわけです。
 安倍政権は、沖縄の負担軽減のためなら、できることは何でもすると何度も何度も約束してくれております。
 飛行訓練と地上戦闘部隊との連携訓練を分離すれば、沖縄の演習場にある既存のヘリポートでも、数機であれば収容可能になります。これが実現をするとしたら、普天間の即時閉鎖、可能になります。滑走路の短さが海兵隊側から懸念されている辺野古の基地建設も不要となるわけです。
 あの壮大な自然破壊、幾らかかるかもまだわかっていない、本当に負担軽減になるかもよくわかっていない、担保されていない、そういう計画をごり押しで進めていくよりも、機能をしっかり分析して、分けることができるのであれば分けて、より深い議論をして、そして負担軽減につなげていく、そのような努力があってもいいんじゃないでしょうか。
 合理的で最も実現可能、現実的な代替案だと思いますけれども、どうでしょう河野大臣、やってみませんか、新しい取組。答弁をお願いします。

○河野国務大臣 抑止力を維持しながら、普天間の危険性を除去するために辺野古が唯一の可能性というふうに考えております。

○屋良委員 かつて政府は、飛行訓練を佐賀県の佐賀空港へ移転しようと試みたことがあります。しかし、地元の反対であえなく断念しました。政府も飛行訓練と地上部隊との連携訓練を分離できることが可能だと判断していたと私はその当時受けとめました。
 現在も防衛省はアメリカに対して、飛行訓練を沖縄から本土へ移すように働きかけています。できる限り、今、年三回ぐらいでしたかね、実施されているのを、それをもっと頻度をふやしていこうというふうに防衛省はアメリカに働きかけているはずです。それをもっともっと進めていけば、今言った訓練の分離は可能になって、機能の分離は更に進む、そして沖縄の負担は実質的にかなり減っていくということが可能なんですよ。
 だから、抑止力とか地理的優位性とかいった議論よりも問題なのは、政治です。政治の決意と実行力ですよ。特に政治のリーダーシップが必要なことです。負担をどこで受け入れるかという議論になってしまったときには皆反対するんだから、大体。
 だから、政治のリーダーシップを河野大臣には発揮していただき、所信で表明なさったように、地元に丁寧に説明し理解を求めていくという姿勢でぜひ沖縄以外の適地を探して、そこで理解を求めていくという努力をしていただきたいと思いますが、大臣、どのようにお考えでしょうか。

○河野国務大臣 安倍政権になって、空中給油機の岩国への移転、あるいは北部訓練場の過半の返還、引渡し、オスプレイの沖縄県外での訓練の推進といったことをやっております。
 政府として、できる範囲で沖縄の負担軽減をこれからも引き続きやってまいりたいと思います。

○屋良委員 既存の計画に固執することなく、新しい思考と新しいアイデアでもって負担軽減策を更に追求していただきたいというふうに切にお願いいたします。
 ちょっとトピックをかえて、地理的優位性についてお伺いしたいと思います。
 政府は、沖縄の地理的優位性について、このように繰り返し説明されています。ハワイやアメリカ本国と比べ、沖縄は東アジアに近いからだという説明でございます。アメリカ本国と比べるのであれば、それは日本全国津々浦々、どこでも東アジアに近いことになるでしょう。
 優位性とは他者との比較で成立する言葉です。日本政府は、日本のほかの場所と沖縄との地理的優位性を比較したことがあるのでしょうか。もしあるとしたら、どこを基点にどれほどの地理的優位性が沖縄にあるのか。それは海兵隊の運用を照らした上でそう判断なさっているのか。教えていただきたいです。よろしくお願いします。

○河野国務大臣 沖縄は、本島は、南西諸島全体を包摂する範囲のほぼ中心部に位置すると同時に、我が国のシーレーンにも近いということで、安全保障上極めて重要な地理的状況にあるというふうに認識をしております。

○屋良委員 ちなみに、地理的優位性とは沖縄からどこまでの範囲で想定しているのかという疑問が湧いてくるわけですけれども、今おっしゃった答弁はかなり広い地理的な概念をおっしゃったと思いますけれども、よく防衛省が出している資料に書かれるわけですけれども、朝鮮半島と台北、台湾海峡との距離感があって、それを見たときに、沖縄は両方ともにらめるわけだから地理的な優位が確保されるというふうな説明があります。
 今皆様にお配りした資料の、沖縄は戦略的要衝に存在するというその図ですけれども、これでもソウルと台北からの沖縄の距離関係を示しております。
 そこで、私も距離をはかってみました。この裏側の地図であります。沖縄や九州の複数の地点を基点にして台湾と北朝鮮の平壌までの距離をはかって、その合計を比較してみたのがこの表であります。すると、九州北部の方が短いわけです。地理的優位性は、実は九州北部にありという結論にはならないんでしょうか。
 この比較は余りにも短絡的だというふうに受けとめられるのか、それとも、いい線いっているんじゃないかというふうに評価なさるのかということをちょっと伺いたいんですけれども、ちなみに、この質問をするときに一つ留意しないといけないのは、海兵隊を運ぶ船は長崎県の佐世保に配備されているということでございます。お願いします。

○河野国務大臣 先ほど申し上げましたように、沖縄本島は、南西諸島のほぼ中心にある、また、我が国のシーレーンにも近い、そういうことがございますから、地理的優位性があると申し上げております。

○屋良委員 地理的優位性の議論になるとそこにいつも迷い込んでしまうわけですけれども、地図をどう見るかという説明です、今のは。
 ただ、機能論でいったときに、海兵隊を動かす船は長崎県の佐世保なんですよ。朝鮮半島で何かがあったときに、長崎県の佐世保に配備されている船がいかりを上げて沖縄までおりてきます。そこで兵士や物資を乗せてまた北上しないといけない。そこに何の地理的な優位性があるのかということが非常にわからないんです。
 そこで一つ確かめたいことがあるんですけれども、時間の許す限りさせてください。
 沖縄への基地機能の集中は、これはアメリカの意向だということなんでしょうか。アメリカも、朝鮮半島と台湾との距離関係でもって沖縄の地理的優位性を主張しているということでしょうか。確認させてください。お願いします。

○河野国務大臣 先ほど申し上げましたように、我が国のシーレーン並びにこの南西諸島の中の中心部にある。これは日本の理由でございます。

○屋良委員 実によくわからない答弁だと思ったのは、部隊を運用するのはアメリカなんですよ。アメリカが部隊を運用していて、何で日本が、いやそうでしょう、地図を見てください、地理的優位性があるはずですよと言えるのでしょうか。
 実は、私、誰がそれを言っているのかということをこだわろうと思いましたけれども、今大臣が明確にそれは日本だよというふうにおっしゃいましたので、ちょっとびっくりはしました。
 なぜそれを言っているかというと、八月に私はワシントンへ行ってまいりまして、国防総省と国務省の担当者と意見交換をさせていただく機会がありました。私はこう質問したんです。多くの日本人は、アメリカの戦略に基づき軍隊が前方展開しており、地理的に優位性がある沖縄に基地を集中させている、それはアメリカの都合だよ、アメリカの戦略だよというふうに信じている、それは事実かどうかということを聞いたんです。そうすると、国務、国防の両省担当者は同じ答えでした。いや、それは違うよ、日米両政府が協議して決めているというふうに説明しておりました。
 そうすると、この説明からすると、今大臣がおっしゃった、これは日本の判断であるということとちょっとそごが出るというふうに思うんです。いかがでしょうか。

○河野国務大臣 日本には日本の理由がありますし、米軍には米軍の展開する理由がある。よって、日米で協議して決める。そういうことでございます。

○屋良委員 沖縄の負担を許容しなさいというふうに言われるときによく使われる言葉が、地理的優位性と抑止力なんですよ。だけれども、両方をいずれも見たときに、それはアメリカ軍の運用によるわけです。そうじゃないでしょうか。アメリカ軍が運用するから地理的な要件が必要となってくるということじゃないんですか。アメリカ軍がこちらに駐留しているから、それが抑止力が生まれる。これは、アメリカ軍の運用とかアメリカ軍の意向を抜きにしてそれは決められないはずで、規定できないわけではないでしょうか。
 もう一度お願いします。

○河野国務大臣 我が国の安全保障を議論するときに、日米同盟の抑止力が重要だということは委員もよく理解されると思います。

○屋良委員 私はそれを尋ねているわけではございません。
 ただ単に、地理的な優位性というふうに政府が説明するとき、何をもって、何を根拠に言っているのか、それを知りたくてワシントンに行ってきたわけですけれども、ワシントンでは、国防、国務の担当者は、これは協議事項だよと言うんです。それはそうだと思いますよ。協議して決めないと、勝手にどちらかが決めることは不可能だと思うんです。
 同盟関係の中でいえば、アメリカは派遣国ですよ。日本はそれを受け入れる受入れ国です。対等な立場であるはずです。基地をどこに置くかというのは、受入れ国の政治状況やその環境、住民の意向なども踏まえた上で、基地をどこに置くかというふうなことを決めていくわけでしょう。だから、先ほども、イージス・アショアの議論で地元の不安があるというふうな議論があったときに、大臣はゼロベースで考えるからというふうにはっきりおっしゃったわけでしょう。
 だから、さまざまな地域の情勢、政治情勢、それを勘案した上で、基地の配置は、部隊の配備は決められる。それが常識だと私は思っているわけなんです。
 だから、地理的優位性とか抑止力の維持といった、何やら私たちが何も動かせないようなそんな超然的な決まり事ではなく、両国が話合いをすることによってさまざまな変化を生むことができる。それは米軍再編でも見られたことです。
 当初の米軍再編は、司令部と後方支援部隊、補給部隊をグアムへ持っていくという内容でした。今、二〇一二年に改定された米軍再編は全く逆になっています。実戦兵力をグアムやオーストラリア、ハワイに持っていくという内容にがらりと変わったわけです。
 だから、それは、その時々の情勢、その時々の事情、また、予算によって変わり得るはずでありまして、辺野古をつくることが普天間の負担の唯一の選択肢だと強弁なさることは実に危険な発想だというふうに私は思っております。
 外務大臣も務められた河野大臣ならお詳しいと思います。アメリカが沖縄に基地を集中させると主張している、そういうふうな話を聞いたことはこれまでにありますか。お願いします。

○河野国務大臣 これは日米の中で議論をして決めていることでございます。

○屋良委員 ちょっと答弁の中身が少しずつ軌道修正されてきたような気がしますけれども、今この当委員会にいらっしゃる防衛大臣を経験なさった中谷先生は、二〇一四年三月の大学生のインタビューでこうおっしゃっています。
 分散しようとすれば九州でも分散できるけれども、これは海兵隊のことですね、県外の抵抗が大きくてなかなかできない。
 これは実に勇気のある発言だと思います。将来がある大学生にインタビューを受けた。そこで正直に真正面から真実を述べられた。これは、大変勇気のある、私は尊敬する言葉だというふうに大変高く評価しているんですけれども、今、さらにこちらにいらっしゃる鈴木貴子先生のお父様、鈴木宗男先生は、政治生命をかけて、沖縄の海兵隊の実弾砲撃演習を本土の自衛隊演習場へ移転させた。
 この間、鈴木先生と立ち話ができたんですけれども、お父様は、もう政治生命を終わってもいいというふうにかけて北海道にも持っていったんですよというふうな覚悟を持って負担軽減がなされたということです。
 時間になりましたけれども、これは、沖縄の負担軽減を考えるときには、もう地理的優位性とか抑止力といった検証不可能な言葉ではなく、政治の意思だということをぜひ御確認いただきたいということです。これは……

○西銘委員長 時間ですのでまとめてください。

○屋良委員 はい、まとめます。
 もうSACO合意から二十三年も経過している現案に固執することなく、大臣としてリーダーシップを発揮していただき、新しい視野とアプローチで問題解決に当たっていただきたいということをお願いして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。