2020年2月25日 衆議院 予算委員会第六分科会 屋良朝博

■有機弗素化合物のPFOS、PFOAについて質問 ■日本におけるPFOS、PFOAの暫定目標値について質問

質問内容についての要約

有機弗素化合物のPFOS、PFOAについて質問。

免疫機能障害、発がん性、肝機能障害、コレステロール値の上昇などの危険があり、また、子供を宿したお母さんがこの物質をとると、胎盤から、ヘその緒から直接胎児に入り、低体重児が生まれる。などの危険性がある。

ストックホルム条約では残留性有機汚染物質に登録されている。

製造や輸入や使用が禁止されて、欧米では、それぞれ独自の基準値を設けて対策に当たっているというのが現状である。

日本においては、ようやく先日、厚労省がPFOS、PFOAの暫定目標値を設定した。

五十ナノグラム・パー・リットルというものである。

これは、国際的な標準と比べてどのような値なのか、そして、なぜ目標値として、更に暫定とつけたのか、この二点について厚労省に質問。

議事録

201-衆-予算委員会第六分科会-1号 令和2年2月25日 

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○屋良分科員 立国社の屋良朝博でございます。よろしくお願いいたします。
 きょうは、有機弗素化合物について質問をしたいと思っております。
 有機弗素化合物、余りなじみのない物質ではございますけれども、人類が生み出したとても便利な化学物質でありまして、総称でPFAS、一般的によく知られているのがPFOS、PFOAでございますけれども、はっ水性が高い、だから衣類の防水加工やフライパンのテフロン加工、焦げないんですね、そういったものの加工に使われるというとても便利な物質でございました。しかし、人類に、人の健康に牙をむくことがだんだんわかってまいりました。
 フォーエバーケミカル、これは分解しないそうです。自然界で分解しないために、体の中に取り込まれるとずっと残ってしまう、そんな化学物質でございますけれども、それを長い間一定の量をずっととり続けていると、免疫機能障害、発がん性があるとか、肝機能障害、コレステロール値の上昇だとか、子供を宿したお母さんがこの物質をとると、胎盤から、ヘその緒から直接胎児に入っていって、低体重児が生まれる。そうすると、障害がある子供が生まれる危険性が高まっていく。
 そういったことから、国際的にも、この地上からなくしていこうということで、ストックホルム条約で残留性有機汚染物質に登録された。製造や輸入や使用が禁止されて、欧米では、それぞれ独自の基準値を設けて対策に当たっているというのが現状でございます。
 日本においては、ようやく先日、厚労省がPFOS、PFOAの暫定目標値を設定しました。五十ナノグラム・パー・リットルというものですけれども、この数字は恐らく今後いろいろ議論を呼ぶことでしょう。しかし、これまで対策をとっていなかった日本がようやく一歩踏み出した、ゼロから一歩踏み出したということで、その対応は多とするものであります。
 今後の対策、もっと前に前に進んでいくことを期待しておりますが、その上で、暫定目標値五十ナノグラム・パー・リットルについてちょっとお伺いしたいんですけれども、一ナノグラム・パー・リットルというのは、二十五メーターのプールに食卓塩を三粒落としただけのものらしいです。だから、五十ナノグラム・パー・リットルといっても、物すごく小さな小さな量であってもそれを守っていきましょうねというぐらいの危険性が認識されている化学物質であります。
 これは、国際的な標準と比べてどのような値なのか、そして、なぜ目標値として、更に暫定とつけたのか、この二点について厚労省にお伺いしたいと思います。お願いします。

○浅沼政府参考人 お答えいたします。
 PFOS等化学物質につきまして、水道水の目標値等を設定する際は、動物実験等から算出された耐容一日摂取量、TDIというものでございますけれども、これをもとに、所定の体重や一日当たりの水道水の摂取量などを適用して算定することが基本的な考え方でございます。
 今般の日本におけるPFOS等の目標値の検討に当たりまして、耐容一日摂取量につきましては、近年、海外の国や機関で検討されたもので妥当と考えられるものの中から、安全側の観点により最も小さいものを採用することといたしました。
 具体的には、我が国の水道水における他の化学物質に関する目標値等を算定する際に使用する、体重五十キログラム、一日当たりの水道水の摂取量二リットル、水道水の割当て率一〇%を適用し、PFOS及びPFOAの目標値は一リットル当たり五十ナノグラムと算定いたしました。
 また、米国では、PFOSとPFOAの毒性の類似性等を根拠に、これらを合算した目標値としておりまして、我が国においても同様の扱いをすることといたしました。
 なお、PFOS等の毒性の評価は国際的にもばらついております。現時点では明確な目標値の設定が困難であることから、暫定目標値とすることとしまして、今後、厚生科学審議会生活環境水道部会の審議を経て、了承されれば、四月一日から施行する予定でございます。
 以上です。

○屋良分科員 そうすると、世界でもかなり厳しい値に設定したということで、努力目標の設定は多としたいと思います。
 ただ、今後の対応としまして、これから、これほど世界的に問題になって、ストックホルム条約で、もうこの世界からなくしていこうというふうな物質でありますので、むしろ、将来的には水質基準の対象物質にするというふうな目標設定をやられる、そういった方向性を見据えながら対応していった方が、より安全、安心な水道事業が可能になるのではないかというふうに思いますけれども、それを、水質基準にしない理由というか、今後、そういう方向性も見据えているのかということについても、厚労省さん、ちょっとお話しいただきたいんですけれども。
 目標値だと、自治体に努力を促すということなんですね。罰則規定はとりあえずない。基準値を上回った水道事業者は自分たちで独自に努力をして改善していかないといけないし、自治体への負担援助もない、そういうふうに理解していていいんですか。

○浅沼政府参考人 お答えいたします。
 PFOSとPFOAにつきましては、目標値を定めることによりまして、水道事業者にとって、浄水場の水質管理の目安が設定されることになり、水質検査や対策などの取組を計画しやすくなるという効果があると考えております。
 しかしながら、PFOS等の水質基準等における位置づけは、現状では知見や情報の収集に努める要検討項目であります。暫定目標値の設定にあわせて、水道事業者が水質基準項目に準じた検査等に努め、その結果を水質管理に活用する水質管理目標設定項目に我々としては位置づけていく予定で、変更していく予定でございます。このことによりまして、全国の水道事業者が、例えばPFOS等の水質検査を行い、その結果を活用して、必要に応じて水質向上のための取組につなげることにより、より安全、安心な水道水の供給に貢献していくものと認識しております。
 なお、暫定目標値案と位置づけの変更につきましては、先ほど申し上げましたとおり、厚生科学審議会生活環境水道部会で御了承いただければ、今年度内には水道事業者に周知し、四月一日から施行の予定でございます。

○屋良分科員 繰り返しになりますけれども、自治体の負担に対する援助、そういったものは、今の段階では、この暫定目標値では、それはカバーできないというふうに理解していいんですか。

○浅沼政府参考人 お答えいたします。
 水道事業は水道事業者の独自の、独立した事業でございますので、その枠の中で対応をしていただくことになります。
 以上でございます。

○屋良分科員 わかりました。
 暫定にしろ、水質の目標値はこれで確定した、一応、暫定ではあるにしても。今後、この汚染が、ずっと存在させ続けるわけにはいかないわけでありまして、ここからは恐らく環境省の役目になると思います。これをどのように浄化して、どのようにこの日本国内からPFOS、PFOA、あるいはPFASと言われている物質をなくしていくのかということなんですね。
 まず、環境大臣、御所見を賜りたいと思います。

○小泉国務大臣 御質問ありがとうございます。
 PFOS及びPFOA、これについては、先生御指摘のとおり、厚労省が、先日の検討会において、全国一律の水道水の暫定目標値を、事務局案が合意をされた。そして、今後、厚労省の審議会などを経て、ことしの四月の一日から適用される予定だと承知をしています。
 環境省は、この厚労省の検討状況を踏まえつつ、河川や地下水といった水環境に係る目標値の設定に向けた作業を進めているところです。
 具体的には、昨年十二月二十七日に、専門家による令和元年度有機フッ素化合物の評価等に関する検討会を開催して、PFOS及びPFOAを含む有機弗素化合物に対する国際的な動向、国内における法規制等の状況、国内の水環境中における検出状況等に鑑み、水環境に係る目標値を設定するべきとの方針を得たところであります。
 来月には二回目の検討会を開催して、諸外国における目標値などの情報や厚労省の検討内容等、最新の科学的知見をもとに、水環境の専門的な見地から具体的な目標値案について御議論をいただく予定です。
 引き続き、速やかに目標値の設定に向けた作業を進めてまいります。

○屋良分科員 ありがとうございます。
 今回の厚労省による暫定目標値は、主にアメリカとオーストラリアの基準を参考にしたというふうに伺っております。アメリカが七十ナノグラム・パー・リットルで、日本の方が若干低いわけですよね、二十ナノグラム・パー・リットル。しかし、アメリカの環境保護庁は既にそれをもっと厳しくするという方針を打ち出していることは、当然厚労省さん、御存じだと思います。
 しかも、それをスーパーファンド法の適用対象にするということを検討しているというふうなニュースも出ております。このスーパーファンド法というのは、汚染責任者を特定するまでの間、浄化費用は石油税などで創設した信託基金、スーパーファンドから捻出する、そして有害物質に関与した全ての責任当事者が確定したときにその負担を負ってもらうという、非常に厳しい、しかも広範な法律なんですね。そういったものも適用していこうというふうな動きがある。これがアメリカである。
 しかも、更に言いますと、州独自に基準を設定している。カリフォルニア州ではPFOAが十四ナノグラム・パー・リットル、PFOSが十三ナノグラム・パー・リットル。コロラド州では七十。国の、EPAの基準と一緒なんですけれども、しかし有害廃棄物に指定されているんですね、これは。そうすると強い規制が働いていくというふうなことがわかるわけです。アメリカの専門家の議論の中では、四から十ナノグラム・パー・リットルにすべきだというふうな指摘も聞かれるわけですね。
 今回暫定としたことは、今後意味を持っていくのだろうと思います。
 今、小泉大臣も、諸外国の動きを見ながら環境省としても対応していく、そして諸外国の対応を横にらみするために今回暫定的な目標値としたのかなと。まあ好意的に理解しておるということなんですけれども。
 今後、環境省が調査をしていく場所について、例えば全国を当てずっぽうにやったって、これは大変な調査箇所になるわけですね。対象箇所をあらあら、基準なり目標なりを設定しているのがあればお聞かせいただきたいんですけれども、大臣、よろしくお願いします。

○小野政府参考人 お答えいたします。
 現在、環境省が実施しております全国調査の件かと思います。
 各都道府県におきまして、PFOSあるいはPFOAの排出源となり得る可能性のある施設周辺をピックアップいたしまして、その施設周辺におきまして飲用に利用されている公共用水域の地点あるいは地下水の地点から採水地点を選定して、調査を現在実施しておるところでございまして、現在、全国で約百七十地点程度を選定いたしております。

○屋良分科員 環境省は、平成二十一年から二十八年にかけて、全国調査を定期的に実施されている。その結果、PFOSについては全国平均で〇・三三ナノグラム・パー・リットル、PFOAについては一・三ナノグラム・パー・リットル。これはかなり低いというか、ほとんどない状態である。
 それを念頭に置きながら、全国いろいろなところで調査をしても、恐らく同じような結果にしかならないだろうなと思うんですが、今、可能性のある施設周辺という答弁がございました。その可能性のあるなしをどのように判断し、各都道府県に協力をお願いしているのか、教えてください。

○小野政府参考人 お答えいたします。
 PFOS、PFOAにつきましては、例えば、先生御指摘ありました、泡消火剤でございますとか、工業に使っております。
 そういったことから、例えば、泡消火剤を使っている可能性の高い施設、空港でございますとか消防施設でございますとか、いろいろございます。こういった施設の周辺、あるいは工業地帯とか、そういうふうに一定程度排出源となり得る可能性のあるところを示しまして、そういう考え方を示しまして、自治体と調整をいたしまして都道府県に選定をしていただいているというところでございます。

○屋良分科員 今、国内でとても高いというか異常値を示している施設が米軍飛行場であることは恐らく環境省も当然御承知だと思いますが、今の答弁の中になぜ米軍飛行場が入っていなかったのか、ちょっと意外だったんですけれども。
 この異常値がわかったのは、数年来ずっとこの問題を追っかけているイギリス人のジャーナリストのジョン・ミッチェルさんが、アメリカの情報公開法に基づいて、さまざま報道されてきている。その中には、東京・横田基地の周辺でもPFOSが検出されていると。泡消火剤が三千リットル、貯蔵タンクから消えていたという流出事故が発覚しているんですね。貯蔵タンクから漏れて、それを収納していた、地面の床のすき間などから土壌に放出されたという環境事故が発生している。
 その報道などを受けて、東京都は、アメリカ基準値の十七倍の濃度、汚染を調査で突きとめているわけですね。なので、東京都は独自に基準を設けて、アメリカの基準の半分、三十五ナノグラム・パー・リットルをとりあえず管理基準として、そして、三つの井戸からの取水をとめるなど、独自の対応を迫られて、それを先行的にやってきたという事実がございます。
 東京都に確認したところ、国が、厚労省が基準値を設定するので、それに準じて対応していきたいというふうな回答を得ておりますけれども、これは、横田基地だけではなく、当然、嘉手納基地、普天間飛行場の周辺の地下水や河川から、とても高い濃度の汚染がずっと検出され続けているという事実があります。
 嘉手納周辺の河川の取水ポンプ場、ここでは六百ナノグラム・パー・リットル。基地の中の消火訓練場、先ほど答弁でありましたように、泡消火剤に含まれている、これははっ水性が高いものですから、火を封じ込めるのに非常に効力があるということで、飛行場における消火剤にこの物質が使われているということですね。その消火訓練でアメリカ軍はPFOS入りの消火剤を使っていた。そうすると、屋外でやるから、土壌がずっと汚染され続けている。それが放置されてきたんですね、ずっと何十年も。その訓練場の水をサンプリングして調べたところ、三万ナノグラム・パー・リットルという、何とも、基準をかなり、想定を上回るような汚染が検出されている。
 沖縄県は、もう二〇一六年から基地内の立入調査を求めてきております。ずっと、防衛省を通して、中に立ち入って、その汚染箇所、汚染されているであろうという箇所を見させてくれ、それでボーリングをさせてくれ、そうすると地下水が汚染されている状況がわかる、帯水層がどのような状態なのかというのがわかると。そういった要求はずっと実現していないんですね。この間、もう四年も前からずっと求めているにもかかわらず。
 これは、沖縄や東京の横田基地だけではなく、山口県の岩国飛行場、青森県の三沢でも似たような事故の報告があるわけです。そういった状況を鑑みると、これから環境省が実施する調査、これは、米軍基地を脇に置いておいて、この汚染の、汚染源を特定するというのは不可能な話なんじゃないのかなと私は思ったりするんですけれども。
 どうでしょう、大臣。日本では、ようやく目標値にこぎつけたわけですよ。ゼロからのスタートだったから、かなり進んだわけですよ、ステージは。アメリカ側と、先頭を切って大臣が交渉をして、基地の中も今回の調査に入れてくれというふうな交渉というのは可能じゃないでしょうか。大臣、ちょっと御所見をお願いします。

○小泉国務大臣 先ほど局長からもお答えをさせていただきましたが、全国の調査、この中には米軍基地周辺の調査も含まれています。
 そして、在日米軍施設・区域に係る環境問題については、必要に応じて、日米合同委員会のもとに設置されている環境分科委員会の枠組みを通じて、関係省庁と連携して、アメリカと協議をすることとしています。
 今後、厚生労働省や環境省で設定していく水道水や水環境における目標値も踏まえて、アメリカ側が環境保護への取組を適切に実施するよう、機会を捉えて働きかけていきたいと考えています。
 そして、政府としても、これまでもアメリカ側に対して、沖縄県が要請している米軍基地内の立入調査について働きかけを行っているところです。
 環境省としても、本年度実施する全国調査の結果や設定した目標値を踏まえながら、立入調査の実現に向けて関係省庁と連携していきたいと考えております。

○屋良分科員 ありがとうございます。ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 防衛省、最近まではWHOの基準値がないのでというふうな答弁を繰り返してきましたけれども、やはり、厚労省が目標値を設定した、アメリカとの交渉の中身も恐らく変わっていくだろうと思います。どのようにこの目標値を活用して基地内での調査を実現するのか、その実現に向かって少しでも近づいていこうとするのかというところをちょっとお答えください。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 PFOSなどをめぐる問題につきましては、国民の皆様の御不安を払拭するべく、今般の厚生労働省の暫定目標値の検討を始め、現在、政府全体として取組を進めているところでございます。
 また、アメリカ側におきましても、国防授権法ですとか、国防省内に設置をされたタスクフォースでの検討など取組が進展していると承知をしているところでございます。
 また、先月、河野防衛大臣とエスパー米国防長官との間でも、日米間のPFOSなどの協力に関する議論を行いまして、連携を一層強化して、在日米軍への対応を含め、包括的に検討を進めているところでございます。
 御指摘の立入調査につきましては、米側に対し、さまざまな機会に申入れを行ってきたところでございますが、こうした日本政府での対応、更に米国防省における取組も踏まえまして、引き続き、自治体、関係省庁と連携しながら、米側に対する働きかけを強く行ってまいりたいというように考えているところでございます。

○屋良分科員 今の御答弁にもありましたけれども、国防権限法、二〇二〇年、アメリカは全国調査を実施することを決めているし、汚染が見つかった州への支援体制を整備していくというふうなことも盛り込まれている。汚染が見つかった基地、アメリカ国内の基地とその周辺の全ての水を浄化するようにということも指示している内容になっている。それから、汚染が確認された空軍基地について、隣接する不動産を取得しなさい、買い上げなさいと言っているんですね。
 これは、連邦議会が昨年十二月に法律を成立させた。六カ月以内に、そういった対応について、あるいは調査結果について報告しなさいというふうな義務規定まで国防総省に負わせているという、物すごい権限の強い法律です。
 今回、PFOAがストックホルム条約で指定物質になってから、もうかれこれ一年たとうとしているわけですけれども、日本ではようやく暫定目標値が決まったという段階であります。
 環境問題は国境を越える問題ですよ。国土をいかに保全するか、そして、きれいな環境を子供たちにどうやって渡していくかということ、そういった責任、環境省の重大な責任だと思っておりますが、若き政治のリーダーである小泉大臣には、その辺も一生懸命取り組んでいただきたいというふうに期待を申し上げます。
 小泉大臣、ちょっと話題はかわりますけれども、縄文杉を御存じでしょうか。(小泉国務大臣「はい」と呼ぶ)屋久島のですね。沖縄の大浦湾というところに、縄文杉ならぬ縄文サンゴというのがございます。長さ五十メートル、幅三十メートル、高さ十四メートルに達するアオサンゴの群集です。二千年とも三千年とも言われています。単一種から成るサンゴ礁、これはほかに報告例がないわけですね。地元からは、屋久杉同様に国指定特別天然記念物にしてほしいというふうな要望があります。突然の質問で御用意がないかと思いますけれども、こういった杉、サンゴ礁、SDGsの十四番目に挙げられている海洋資源の保全、そういったものに大変関連してくるものだと思います。
 大臣の胸にも今SDGsのバッジがありますけれども、世界のサンゴ礁を見ると、全体の約二〇%が事実上破壊され、回復が見込めない状態にある、残るサンゴ礁のうち二四%は、人類がかける圧力によって差し迫った崩壊のリスクを抱えているというふうに国連のSDGsの報告書には書いてあるわけですけれども、どうでしょう、屋久杉同様、この縄文サンゴ、守っていくべきだとお思いになりませんか。お願いします。

○小泉国務大臣 屋良先生から、非常にいろいろな含みのある御質問をいただいていると思いますが、まず、一般論として申し上げれば、私も、横須賀という海に囲まれている地元で、海をこよなく愛する者としても、本当に海の環境を何とか次の世代に守っていかなきゃいかぬ。
 特に、大臣として、今、海洋プラスチックの汚染の問題をやっていますが、このまま何もしなければ、海の中に、二〇五〇年にはプラスチックの方が魚よりも多いという、とてつもないショッキングな推測もあるわけですから、そういったことも含めて、海洋の環境、非常に大事ですから、そこをしっかり環境省としても取り組んでいきたいと思っております。

○屋良分科員 どうもありがとうございます。
 続きまして、防衛省が沖縄県に出したサンゴ移植許可申請で、農水大臣が沖縄県に早く許可を出しなさいという勧告をこの間出されました。一月の終わりにですね。沖縄県は、裁判中なので判断できないと言っているわけですね。スポーツで、今ちょっと何かルール違反があったのかどうかというのをビデオ判定中である、にもかかわらずプレーを進めなさいと外野から言っているような、そんな状況があるんですね。
 その計画変更で、この工事、普天間の辺野古移設の工事のことを言っているんですけれども、とても難しい工事になる。何万本ものくいを打ち込む工事です。大いなる環境破壊を及ぼすであろうというものなんですけれども、日本には、一旦環境影響評価で承認したものはもうやり直しをする必要がないという、非常に何かちょっと、こんなもので環境保全が本当になせるのかということがとても疑問なんですけれども、農水省に、何であえて勧告したのかということを最後に伺いたいと思います。

○伊東副大臣 お答えいたします。
 サンゴの移植の特別採捕許可申請に対する審査、判断は、これは沖縄県により行われるものでありますが、知事は、昨年四月と七月に申請がなされたにもかかわらず、長期間判断を示さず、訴訟の間は判断しない旨を表明されておりました。
 そのような中、沖縄防衛局長から私ども農林水産省に対し、標準処理期間を大幅に経過しても沖縄県から申請に対する判断が示されない、このような連絡がありました。
 このため、農林水産省として事実関係を確認したところ、沖縄県から合理的な説明は示されず、申請内容に不合理な点も見当たらなかったことから、沖縄県に対し、許可をすべき旨の勧告を行ったものであります。
 なお、サンゴの件でありますけれども、この特別採捕許可申請に当たりましては、サンゴの研究実績が豊富な研究者を構成員に含む環境監視等委員会の指導助言を受けており、申請内容に不合理な点はないものと思っております。
 沖縄県は、根拠を示さずに、地盤改良工事の影響が移植先サンゴに及ぶと主張しているわけでありますから、同種の工事におきまして、水の濁りの回避、低減手法が確立をしているところでもあり、沖縄防衛局からの工事関係資料でもサンゴ移植先に影響が及ばないことが確認をされていると聞いているところであります。

○屋良分科員 今はビデオ判定中であるということで十分な理由になると私は思います。
 大臣、一緒に、ぜひ、海の自然を守る、そういった努力を続けていこうではありませんか。よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。