2019年5月31日 衆議院 環境委員会 屋良朝博

■PFOS、PFOAが検出されたという問題ついて ■各省庁の取組はどのように進展したのか、そして今後の対応について各省庁の御見解について

質問内容についての要約

米軍基地周辺の一般河川や地下水から高濃度で有機弗素化合物、PFOS、PFOAが検出されたという問題に関し、政府、関係省庁の対応について質問。

前回質問の際に原田大臣より、政府として調査するという答弁を得ることができたものの、その後も、沖縄の地元では、京都大学の調査によって、普天間飛行場周辺住民の血液中の有機弗素化合物の濃度が全国平均値の四倍から五十三倍という、実にショッキングな報道もなされている。

飲み水、環境に対する住民の不安を考えた場合、迅速な対応が求められている事態であり、その後の各省庁の取組はどのように進展したのか、そして今後の対応について各省庁の御見解について質問を行った。

議事録

198-衆-環境委員会-7号 令和元年5月31日 

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○屋良委員 国民民主党・無所属クラブ、屋良朝博でございます。よろしくお願いいたします。
 今月十日の当委員会で、米軍基地周辺の一般河川や地下水から高濃度で有機弗素化合物、PFOS、PFOAが検出されたという問題を取り上げさせていただきました。きょうは、その後、政府、関係省庁の対応について教えていただきたくて、改めて質問させていただきます。
 その委員会で、原田大臣には、政府として調査するという大変前向きな答弁をいただいております。しかし、その後も、沖縄の地元では、京都大学の調査によって、普天間飛行場周辺住民の血液中の有機弗素化合物の濃度が全国平均値の四倍から五十三倍という、実にショッキングな報道もなされております。
 飲み水、環境に対する住民の不安を考えた場合、迅速な対応が求められている事態だというふうに認識しておりますけれども、その後の各省庁の取組はどのように進展したのか、そして今後の対応について各省庁の御見解を教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○田中政府参考人 まず、一般環境中の対応について、環境省の方から御説明をさせていただきます。
 これまでも御説明をさせていただいておりますが、環境省といたしましては、これまで、このPFOS及びPFOAにつきましては、水環境保全に向けた取組のための要調査項目に位置づけをいたしまして、各都道府県一カ所程度の公共用水域において調査をしてきたところでございます。
 また、一般環境中の化学物質の把握を目的とした化学物質環境実態調査におきましても、PFOS及びPFOAについて、全国の四十八地点で水質の残留状況の調査を実施してまいりました。
 一方で、沖縄県内の米軍基地周辺の河川、地下水からPFOS及びPFOAが検出されている状況を踏まえまして、これまで沖縄県において実施してこられました水質調査の詳細ですとか今後の対応についてお話を伺いながら、環境省としての対応を検討してまいりたいと思っております。

○宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。厚生労働省でございます。
 御指摘のありましたPFOS、PFOAにつきましては、我が国の水道の水質の基準値等においては、毒性評価が定まらないこと等から、平成二十一年に、必要な情報、知見の収集に努める要検討項目とし、現在、水道水における検出状況や最新の科学的知見等の情報収集に努めているところでございます。
 厚生労働省では、先日、先生からも御質問いただきました後に、沖縄県の企業局と面談いたしまして、目標値の設定等について意見交換を行ったところでございます。
 有機弗素化合物については、現在、水質上の目標値は設定されておりませんが、引き続き、最新の科学的知見を収集しつつ、専門家等の意見も伺いながら検討を進めていきたいと考えております。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 防衛省としての対応でございますけれども、防衛省といたしましては、米側に対しまして、PFOSを含まない製品への早期交換などを要請をしているところでございます。米側におきましても早期の交換に向けた作業を進めているものと承知しておりますが、更にこの動きを促進するよう促してまいりたいと思っております。
 また、沖縄県が要請をしている嘉手納飛行場及び普天間飛行場への立入りの調査につきましては、米側に対し、この要請を伝達し、実現に向けた働きかけを行ってきているところでございます。
 加えて、沖縄県から、北谷浄水場の設備改良について防衛省の補助が要望をされているところでございます。米軍とPFOSなどの因果関係は現時点では確定しておりませんが、基地周辺住民の安心、安全な飲料水の供給に寄与することから、この事業に対して防衛省としては補助金を交付することとしているところでございます。
 いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、沖縄県民の皆様がPFOSなどの検出に対し不安を抱いておられることを重く受けとめており、皆様の不安を払拭できるよう、県、米側及び関係省庁と密接に連携し、対応してまいりたいと考えております。

○屋良委員 そうすると、具体的な調査をいつ実施するとか、どのような範囲で、どのような方法で実施するとかということについては、まだこれから検討していくというふうなことでよろしいんでしょうか。環境省、お願いします。

○田中政府参考人 お答え申し上げます。
 まずは沖縄県あるいは関係機関と、現在の考え方あるいは方針などについて情報交換、意見交換を行っていくことが必要と考えておりますけれども、その上で、環境省として、必要なことがあればきちんと対応していく所存でございます。

○屋良委員 済みません。調査をなさるのかどうか、それから調査をいつごろなさるのか、まだ具体的に決まっていないのであれば、大体いつごろめどづけをなさるのかというところをひとつお聞かせください。

○田中政府参考人 現時点において、いつ調査を行うか、あるいは、めどをいつつけるかということについて確定的な日時はございませんけれども、沖縄県あるいは関係機関と協議をいたしまして、その対応について急いで検討を進めたいと思っております。

○屋良委員 ありがとうございます。
 厚労省の御答弁で、県企業局と目標値の設定について話合いをなさるというふうに今御答弁がありましたけれども、その具体的な内容を、今後その目標値を設定するのか、この有機弗素化合物についてですね、その辺をちょっと詳しく教えていただきたいです。

○宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。
 先日、企業局の方と面談いたしまして、その目標値の設定等について意見交換を行ったところですけれども、沖縄県企業局さんとしての考え方をお伺いしつつ、我々としても現状こういう状況だということもお答えしつつ、必要な知見に我々としても更に収集に努力して検討していきたいということでお話しさせていただいております。
 先日だけでもちろん結論が出るわけではございませんので、引き続き、企業局さんとは意見交換をしていきたいというふうに考えているところでございます。

○屋良委員 ぜひ、目標値の設定は早期に実現するように頑張っていただきたいと思います。それによって対応がさまざま変わってくるし、対応の迅速化が図られるものだというふうに期待しております。
 防衛省さんの北谷浄水場への補助金の支出、それは迅速な、まあ、迅速というか、もう三年も放置された後での対応なので評価は分かれるかと思いますけれども、私は多としたいというふうに思っております。
 前回の質問から早速対応なさって、それで、今後それをもっと広げていただいて抜本的な対策まで踏み込んでいただきたいというふうな気がしておりますけれども、前回の質問で鈴木政務官は、WHOの基準が定まっていないため、防衛省として判断できかねるというふうに答弁いただきました。しかし、その結果、三年間もこの問題が放置されたというのが実態として生まれております。
 この問題というのは、ストックホルム条約で廃絶すべき物質のリストに登録された有機弗素化合物、これはもう製造、使用が禁止されていて、本来ならこの物質は、我が国の国土はもとより、地球上からゼロにすべきものであるというふうに国際社会が合意しているものなんですね。もうWHO基準値の有無を論じている場合ではなく、すぐさま環境浄化に向けて具体的な対応が必要だと考えるのが当然だし、それが水道水に入っているんだから、そのような迅速な対応をするというのがやはり人の道ではないかなというふうに考えるわけですけれども、防衛省として判断ができかねるときに、これは環境問題なので所管する省庁にその相談をするなり、具体的な、政府としてどういうふうに対応すべきかということをなぜ考えられなかったのかということを、もう一度、鈴木政務官の御見解をいただきたいと思います。

○鈴木(貴)大臣政務官 今月十日の本委員会におきまして、屋良委員の方から御質問をいただきまして答弁をさせていただいたところであります。
 そこでの答弁につきましては、PFOS等は引き続きリスクに関する知見の集積が必要な物質であり、PFOS等が河川等から検出されたことをもって、直ちに人の健康や生活環境に係る被害等の環境保全上の支障があるとは判断できない旨を述べたものであります。
 政府参考人からも先ほど答弁もありましたが、防衛省としては、米側に対するPFOSを含む製品の早期交換等の要請、また、沖縄県が要請をしている立入調査について米側に伝達、そしてまた働きかけを行うなどの取組も行ってきているところであります。
 防衛省といたしましては、沖縄県民の皆様がPFOS等の検出に対し不安を抱いておられることを重く受けとめさせていただいております。沖縄県、米側、また、委員御指摘のとおり環境省、そしてまた厚生労働省等、しかるべき関係各位と密接に引き続き連携をしながら、防衛省として、我々としてできることをしっかりと積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

○屋良委員 ありがとうございます。
 一点だけ確認させていただきたいんですけれども、立入調査について米側へ沖縄県の要望を伝達した、その日時を教えてください。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 沖縄県より要請がございましたのは平成二十……。失礼しました。
 済みません、ちょっとお時間をいただけますでしょうか。申しわけございません。

○秋葉委員長 では、確認しておいてくださいね。(中村政府参考人「はい」と呼ぶ)

○屋良委員 次の質問に移らせていただきます。
 この問題というのは、やはり、原田大臣が事態の重要性を認められて、調査が必要だという認識を表明されたわけですね。迅速な対応が必要だということがもう明らかな事態になっているということだと私は認識しております。地下水の汚染が見つかった時点で、既に事態は深刻化しているのではないかというふうに疑うのが、これは必須だというふうに考えているわけですね。
 中央環境審議会の二〇一一年の答申で、地下水汚染についてこういうふうに指摘しております。
 一旦地下水が汚染されていると、自然の浄化作用で水質改善は困難である、健康リスクについては、直ちに人の健康への影響が顕在化されているわけではないが、飲み水に供されている地下水汚染の実態がある以上、人に対する健康影響リスクが存在する、水質汚濁防止法の目的である国民の健康保護、生活環境の保全に支障を生じさせるというふうに明記されております。
 だから、私は、防衛省政務官のただいまの答弁、WHOの基準値がないということをもって、まだ知見の収集が必要だというふうな事態ではもうないんじゃないかと。既にJEGSではPFOSについて規定が、規定というか、記載されている物質なんですね。そうすると、自然にというか、もう当然のことながら、アメリカ側と交渉して、今、沖縄や、沖縄だけではないですよ、横田や山口県の岩国でも見つかっているわけですから、そのような対応をやるというのが普通の流れだというふうに思っているわけですね。
 地下水が汚染されているということは、帯水層など地層も汚染されている可能性が高い。沖縄県の調査でわかった地下水汚染は、もはや取り返しのつかない状態に進展している可能性もあるわけですね。
 環境省にお伺いしたいんですけれども、この状態で地層は一体どのようなことになっているのか、汚染の範囲が一体どのぐらいのものになっているのかということを、もし知見がございましたら、御答弁をお願いします。

○田中政府参考人 先生御指摘のとおり、沖縄県が実施された調査におきまして、米軍基地周辺の地下水の一部からPFOS及びPFOAが検出されているということは承知をしております。
 御質問の点でございますけれども、地下水の流向ですとか流速、それから場所、あるいは季節によって動きが異なるということもございます。地下水中の汚染物質の挙動は複雑でございますので、現時点の情報をもって濃度分布などを正確に判断するということは難しいと認識をしているところでございます。

○屋良委員 そうすると、これはもう可能性の世界でしかないんですけれども、もしかしたら広範に及んでいるかもしれない、そこに米軍基地があるかもしれない。そうすると、そこも対象になるというのは当然想定されるものでございます。
 なので、三年前から沖縄県は立入りを求め、そしてサンプリングもさせてくれというふうに求めているわけですけれども、日米の間で既に環境補足協定というのが締結されております。このような事故が発覚した場合には、米側は速やかに通報し、日本側は立入りも含めてサンプリングもできるような、そんな取決めがなされている。その申請に対して、米側は迅速に対応する、そういうフレームワークが既にあるわけです。
 なぜそれが今回使われなかったのか。外務省、よろしくお願いします。

○船越政府参考人 お答え申し上げます。
 PFOS及びPFOAにつきましては、関係省庁から御答弁を申し上げましたとおり、引き続き、リスクに関する知見の集積が必要な物質であると承知しております。
 環境補足協定に関する立入りの手続につきましては、環境に影響を及ぼす事故が現に発生し、それにつきまして米側からの情報提供を端緒として実施されるものでございまして、同協定に基づく立入りについては、これまでも行われておりません。
 同時に、外務省といたしましても、本件については非常に重要視しておりまして、米側に対しまして、PFOSを含まない製品への早期交換等を防衛省と連携して要請しているところでございまして、米側においても、そうした早期交換に向けた作業を進めているものと承知しております。

○屋良委員 今の外務省の答弁は、一つ抜けております。日本側がそのような情報をキャッチしたときには、速やかに米側に情報提供すると、これ、相互に情報交換が規定されているはずなんですよ。今の御答弁では、米側からの情報を受けた上で物事が動くんだというふうに受けとめられるんですけれども、もう一度、その辺、よろしくお願いします。

○船越政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど関係省庁から御答弁申し上げておりますとおり、米側に対しましては、沖縄県を始めとして、関係の自治体の方々が本件について懸念を有していることを含めて、しっかりと伝達をしているところでございます。
 ただ、環境補足協定に基づく立入り手続につきましては、まだ、米側からのそうした情報提供、環境の事故が現に発生したという情報提供を端緒として実施されるものということになっておりまして、同協定に基づく立入りについては、これまでは実現していないところでございます。

○屋良委員 今の御答弁、ちょっと納得いかないんですけれども、環境補足協定では相互で情報を交換し合うことになっているはずなんですね。引き続き、ちょっとこの問題、追及させていただきたいんですけれども、健康への影響がわからないからと言いながら、環境汚染を放置したため、日本はこれまでにも公害病という悲劇を生んだ過去がございます。そのような悲劇は、もう二度と繰り返してはならない。
 しかも、米側は、有機物質を含む消火剤を今も持っている。交換を求めているんだけれども、今現在、保有しているんですね。もし何かがあったら、やはり使うでしょう、ほかに代替物がちゃんと用意されていなければ。そのような状態を本当にずっと置いていていいのかということなんですよ。
 やはり、その環境補足協定、環境省も、これは所管する省庁であるはずです。防衛省と外務省、特定の、防衛、外務だけがこれを運用しているわけではないと思います。飲み水の問題が発生したときには、それは厚労省も関与してくるでしょう。だから、政府を挙げてこの環境補足協定を実効たらしめるような対応をしていかないといけないというふうに私は思っているんですけれども、その辺、米軍基地における環境管理のあり方について、環境大臣、厚労、防衛両政務官の御見解をもう一度お願いいたします。

○秋葉委員長 質疑時間が終わっておりますので、簡潔にお願いいたします。

○原田国務大臣 今、各省からもしっかり答弁させていただきました。
 ただ、委員おっしゃるように、米軍と日本の側との意見交換、情報提供、これが多少、やはりこれから努力せないかぬな、そんな感じがいたします。米軍の側も、先ほどJEGSという話がありましたけれども、それなりに体制は組んでいただいておるというのは理解しておりますけれども、お話をお聞きしまして、何といっても、沖縄県民の皆さんが、そういう心配から、御不安を逃れるように私ども考えなきゃいけないと思っていますので、関係省庁と更に密接にあれいたしまして、環境問題、何といっても環境省が政府の中でしっかり、まずは主導権、責任と権限を持たなきゃいけませんから、私どもも、そういうことで、委員の御意見をしっかりまた踏まえたいと思っております。

○新谷大臣政務官 お答え申し上げます。
 米軍基地内における環境管理のあり方については、厚生労働省としましては申し上げることは控えるところでございますけれども、PFOS、PFOAに関しましては、現在、水道水における検出状況あるいは最新の科学的知見等の情報収集に努めているところでございます。
 引き続き、科学的知見を収集しながら、専門家の意見も伺いながら検討を進めてまいりたいと考えております。

○鈴木(貴)大臣政務官 防衛省といたしましては、関係省庁と連携をし、JEGSの遵守を含め、米軍が環境保護及び安全への取組を適切に実施するように引き続き働きかけており、これからもまたあらゆる機会を捉えて働きかけてまいりたいと思います。
 沖縄県民の皆様の不安を払拭できるよう、関係省庁としっかりと連携をさせていただきまして、頑張らせていただきたいと思っております。

○屋良委員 ありがとうございました。

○秋葉委員長 屋良君、先ほどの中村局長の件については、今本省に日時を問い合わせていますので、この委員会中に、あと古屋先生かどなたかが終わったら、わかり次第、答弁はさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 わかる、わかった、じゃ、お願いします。

○中村政府参考人 先ほどは失礼いたしました。
 二十八年の一月に沖縄県から要望をいただきまして、米側に伝達をしましたのは二十八年一月の二十一日でございます。(屋良委員「二十一日、同じ年の」と呼ぶ)はい、さようでございます。二十八年の一月でございます。

○屋良委員 ありがとうございました。