2024年3月29日 衆議院 環境委員会 屋良朝博
■世界自然遺産との関連及び公共事業の環境対策について
質問内容についての要約
世界自然遺産との関連及び公共事業の環境対策について質問。
議事録
第213回国会 衆議院 環境委員会 第5号 令和6年3月29日
○屋良委員 よろしくお願いいたします。屋良でございます。
まず初めに、本法案の条文についてちょっと一つだけ確認させていただきたくて申し上げますけれども、この三条に、豊かな生命の多様性を確保することが人類の存続の基盤であるというふうに書かれております。二〇〇八年に成立した生物多様性基本法では、生物の多様性は人類の存続の基盤となっている、生物多様性イコール人類の存続の基盤になっているというふうな書きぶりなんですけれども、この間に、確保することがという行動が入ったということなので、これは、自然保護にずっと取り組んできた団体さんはちょっと気になっているような感じもあるんですね。そこはどういうふうに理解していいのかということですね。
それは、基本法と同じ、生物多様性が人類の存続基盤であるというふうな解釈ですよというふうに受け止めて間違いないのかどうか、そこのところだけ一つ教えてください。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
本法案の第三条におきまして、豊かな生物の多様性を確保することが人類の存続の基盤であると規定しているということと、議員御指摘の生物多様性基本法の前文におきまして、生物の多様性は人類の存続の基盤となっていると規定していることについては、その趣旨に変わりはないということでございます。
○屋良委員 ありがとうございます。
よかった、別の答えが来たらどうしようかなと思っていました。法案というのは文言が非常に重要なので、気になさる方々はやはり気になるんでしょうね。
それでは、次の質問に移らせていただきます。
まずは、世界自然遺産と本法とのドッキングが、リンクとかが取れないのかということを、ちょっとその問題意識で質問させていただきたいんです。
沖縄県の北部のやんばるの森というところがあります。これは世界遺産に登録されている地域なんですけれども、そこにノグチゲラ、キツツキが生息しているんですけれども、そのキツツキが森から出て、名護市の市街地で営巣して、親子がいて、巣立ちをしたというニュースが地元紙にほんわかニュースとして報道されたんですよ。ただ、もしかしたら、これは生息域が狭まっちゃって、出ざるを得なかったのかというふうなことなど、いろいろ考えられるわけなんですね。なぜ個体がふだん生息している地域から出てしまったのかとかということは、まだ謎解きがされていないんですけれども。
世界遺産を所管する環境省として、生物多様性の現状が変化しているな、あるいは、少しでもその兆候が見られるなといったときの対応を、やはり登録に一生懸命汗を流した省として、そこのところのモニタリングも含めて、維持管理をやっていただきたいんですけれども、大臣の意気込みをお聞かせください。
○伊藤国務大臣 意気込みということですが、意気込みはございます。
また、今委員御指摘の奄美、沖縄については、地域の方々の熱意と関係者の努力に支えられ、令和三年七月に世界自然遺産の登録に至りました。その際、観光管理の徹底、希少種の交通事故対策等の四項目について、今後の更なる取組が要請されたところでございます。
このため、専門家等で構成されるタスクフォースを設置し、遺産地域内で法的拘束力を持った立入り規制が行われたりするなど、今後の対応方針を取りまとめ、ユネスコ世界遺産センターに報告しております。
引き続き、関係者と連携してこうした遺産地域の保全管理を徹底するとともに、本法案により民間等の活動を力強く後押しすることで、遺産の周辺地域を含めた地域の自然環境保全が促進され、サーティー・バイ・サーティーの達成に貢献できるように努めてまいりたい、そのように考えてございます。
○屋良委員 大臣、確認させていただきたいんですけれども、法的規制が取れるような取組を、立入りに関してですね、これからそういう取組を環境省としてやっていくというふうに理解してよろしいでしょうか。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
議員が御指摘の立入りというような話でありますと、例えば、何かオーバーツーリズムでありますとか、そういうような事象が発生し、自然環境の保全に支障を来すというような場合には、立入り規制も一つの規制の手法だろうと思っております。
ただ、その手法も、自然公園法上による措置のほか、エコツーリズム法による措置、様々なものがございます。あるいは、場所によりましては自治体の条例による制度を促すとか、様々なこともございますが、その場所場所において必要な対策というものは、当然、必要に応じて取られるべきだというふうに考えております。
○屋良委員 次の質問で用意していたことだったんですけれども、自治体が入域者を制限するということはやはり厳しい面もあって、それは、観光資源として使いたい人たちもいる中で入域規制をということになると、やはり何らかの国としての基準、あるいは国としての法的な根拠を与えてあげるということが必要になってくるんじゃないかなと私は思っておりまして、そこのところの取組をやってもらいたい、法的な根拠を示すべきじゃないかというふうなことを次の質問で考えていたんですけれども、今のお答えの繰り返しになるはずなので、じゃ、答えてくれますか、よろしくお願いします。
○白石政府参考人 申し訳ございません、先走ってしまいました。もう一回お答えします。きちんと御説明します。
入域規制に関しまして、世界自然遺産地域など利用者が集中する地域におきましては、オーバーツーリズム対策を始めとする観光管理が課題となっている地域もございます。地域の実情に応じた対策が必要であるというふうに考えてございます。
議員の御指摘の沖縄の西表島におきましては、竹富町におきまして、利用者が集中すること等によりまして自然環境への悪影響や観光資源の利用環境の質の低下が生じている場所を対象に、エコツーリズム推進法に基づく利用者の入場制限やガイド同伴の義務づけ等の実施に向けた調整が進められているというところと承知してございます。
また、同じ世界自然遺産ということで、他の例で申し上げますと、北海道の知床五湖におきましては、利用者の安全対策や周辺の植生の保護の観点から、観光管理が必要な地区を自然公園法に基づく利用調整地区に指定いたしまして、当該地区への立入りを認定制にしているほか、立入り人数の上限設定や事前の注意事項のレクチャーなどを実施しております。
環境省といたしましては、まさに入域規制の法的根拠ということで、エコツーリズム推進法あるいは自然公園法に基づく利用調整、こういった制度を活用しながら、自治体と連携いたしまして、適正な利用の推進により世界自然遺産の保全に万全を尽くしてまいります。
○屋良委員 続きまして、西表のことについて伺いたい、これからなんですけれども、実は。
西表島は、二十万年前に大陸から離れていって島となって、長い自然の時の流れの中で進化して、固有種とか亜種とかを生み出して、その中で、イリオモテヤマネコが、絶滅危惧種なんですけれども、僅か百頭しかいない。二〇一八年、ロードキルが九件あったということですね。沖縄で、交通事故で人が死んでも新聞に載らないけれども、イリオモテヤマネコが交通事故で死んじゃうと大きなニュースになっちゃうというぐらいの、やはりみんなで大事にしよう、守っていこうというふうなことなんです。
その入域規制は、先ほど知床とかの例を挙げていただいたし、富士山も来年度からそういった取組をなさっていくというふうなことがあるわけでございますけれども、例えば、西表は小さな島なんですよ、そこに外国からの豪華客船がばんと来た。もうやめてくれ、入島しないでくれと言っても、これは、なかなか、法的に規制する根拠がないと入島を認めざるを得ないということになると、人が歩いただけで表土が削られて、海が汚染されてというふうな感じで、小さな島だけに非常に微妙なバランスで保っている生物多様性だと思うんですね。
そこで、重ねてなんですけれども、やはり入域制限をするときには、船会社との調整とか観光業界との調整とか、これは地方自治体にずっと任せていていいのでしょうか。世界自然遺産なんですよね。そこのところはやはり国がイニシアチブを取ってもらって、人数の制限とか法的規制が必要じゃないか。そのときには、是非とも環境省に、強いお立場で、自然遺産の生態系を守っていくよ、そのような態度というか、意思を示していただきたいなと思いまして、質問を準備したんです。
ここで強調したいのが、オーバーツーリズムの未然防止策として、環境省が出している、インターネットを見てみたんですけれども、やはり地域自身があるべき姿を描いて、地域の実情に応じた具体策を講じることが有効であり、国としてこうした取組に対し総合的な支援を行うと書いてあります。
やはり地域が主体だということになっているんですけれども、トータル的に法的な根拠を地域に与えるなり、そういったリーダーシップをやはり環境省が取っていただいた方が、地域任せにして、観光業界との調整もあり船会社との調整もありとか、そういった非常に機微な部分が含まれていると思うんですね、そこは全国統一の何か法的なものがあれば私はスムーズにいくんじゃないかなというふうに思って、この質問を用意したわけです。
取りあえず、地域が主体になって取り組んでいくことだというようなお答えだったと受け止めますけれども、大臣、せっかくみんなでOECMを広げていこうという話なので、世界遺産がせっかくあるわけだから、その周りも含めて生物多様性を増進していくんだというふうな機運を高めるためにも、まずは、世界遺産、自然が、生物多様性が非常に弱っているような地域、そういったところはやはり人数制限だということを打ち出していただきたいというふうに思っているんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○伊藤国務大臣 委員のいろいろな御指摘もあります。また、地域には地域の考え方や実情もあると思います。
ですから、地方自治体と環境省とよく連携して、適切な措置が取られるようにしてまいりたいと思います。
○屋良委員 ありがとうございます。
最初の質問で私がちょっとポイントとして強調させていただいている自然遺産とOECM、そこの連携について、環境省さん、何か見解があれば教えてください。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
本法案におきます認定の対象地といたしましては、世界遺産地域も含めた保護地域を排除しているものではございませんので、その場所で特定の環境保全に係る活動というものを行うということが土地の所有者等の同意を得て行われる場合には登録をされる。ただ、OECMはやはり保護地域以外でございますので、国際的なOECMのデータベースへの登録に関しましては、保護地域を除いた地域を登録をするということでございます。
私どもといたしましては、保護地域の周辺部にも生態系、生物多様性上、豊かな場所というのはたくさんあるということでございますので、その周辺部におきまして、本法案におきます増進活動みたいなものが活性化し、OECMというものの対象になっていくということを強く期待をしているというところでございます。
○屋良委員 ありがとうございます。
先ほど来、先輩方の質疑の中でも、予算がもっとあれば環境省は頑張っていけるのにというような、気持ちはみんな一緒なんですよね、本当に。人員ももっと増やしてしっかりとやってくれよというふうなことなんだけれども、だから、地域任せでやっているじゃないかということで指摘させていただくのもちょっとやぼかなと思って、みんなもどかしい感じを持っているというのが実際のところだと思うんです。是非、いろいろな今持っているアセッツと言ったら怒られそうなので、資産を生かして、それで広げていくような、機運を盛り上げていくような、そんな取組をやっていただきたいなということを希望しております。
次の質問に移らせていただきます。
環境アセスについてなんですけれども、環境アセスというのは、当然、自然を守っていくための、公共工事とかいろいろな工事との兼ね合い、自然との兼ね合いをつけるためのアセスだと思うんです。例えば、今、アセスがネイチャーネガティブじゃないかというようなことの指摘もあったりするわけで、アセスをやって自然環境とか生物多様性が増進される、そんな効果をやはり目指すべきじゃないのかというような指摘が今日いろいろなところから聞こえてくるわけです。
私は、会社勤めのときに一年間会社を休職させていただいて、ハワイに留学させていただいた経験があって、そのときに、実は、アメリカの陸軍がハワイで演習場を造りたいということで地域のアセスを始めたんですけれども、私はびっくりしたのは、ハワイだけじゃないんですね、陸軍がアセスをやったのは。アラスカでもやって、それからアメリカ本国でもやって、三か所同時にやって、その結果を見て環境負荷が一番少ないところを選ぶ、そんなルールがあるということを聞いたんですよ。これはすばらしいなというふうに思いました。
でも、陸軍だから、やはりハワイはアジア太平洋地域に近いので地理的に優位なんだというような主張をしましたけれども、これは全然通用しない。地球儀で見ると、アラスカがアジアに近いんだというふうなことの議論が当たり前に通っちゃう。だから、まずは自然保護ありきであって、そういう軍が持っている論理とかというものも平たく見てあげて、環境負荷が一番少ないところ、そこを選んでいくんだ、そんな精神が貫徹されている。
だから、防衛とか国防とか安全保障とかということも大事であることは分かっているんですけれども、環境を守るということは人類の未来が懸かっているんだというようなことは、一つ私たちは大事な認識として共有した上で、やはり環境省さんにリーダーシップを取っていただきたいというようなことを、何度も繰り返して申し訳ないんですけれども。
このアセスに関する質問は、今言った軍隊のこともちょっと絡むんですけれども、今、沖縄の名護市の辺野古で進められている埋立工事を念頭にした質問でございます。
この工事は、最初は、五年でできるよ、三千五百億円でできるし、埋立ても、埋立部分の周りを枠で囲って、土砂を投入していけば五年でできるからというふうなことの触れ込みだったんですね。それで埋立許可を沖縄県から取った。しかし、工事を着工した後にボーリングをしてみると、これは軟弱地盤があって大変だと。工期も、当初の五年で終わると言っていたのが都合十八年かかって、予算も、三倍の九千三百億円が必要だと言われていて、そして、砂ぐい、何と七万二千本を海に打ち込むというふうな計画にがらりと変わっちゃったんですね。
アセスはやるのか。工事としては、外形的にはもう別物じゃないかというのが一般的な受け止めなんですけれども、これはアセスはやらないでいいということだったんですよ。再アセスの必要はないということなんですけれども、本当にそれでいいのか。やはりちゃんとアセスはやって、自然環境を守った上で、公共工事も含めて何でもやっていかないといけないんじゃないのかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。お答えください。
○鑓水政府参考人 お答えいたします。
環境影響評価法におきましては、最終的な環境影響評価書の公告を行った後に、事業位置や規模など、政令で定める事項につきまして一定基準以上の変更を行った場合には、環境影響評価手続を再度実施するよう求めているところでございます。
御指摘の埋立工事につきましては、面積の変更について、一定規模以上の変更がなされた場合の手続が求められているところでございますけれども、御指摘のようなことについては、それを政令で変更要件に合致することにはなってございませんので、現時点で項目とか基準の改正が必要という認識はしてございませんけれども、引き続き、環境影響制度の適切な運用に努めてまいりたいと思います。
○屋良委員 それはアメリカ軍基地がどうのこうのということでもなく、これほど大きな工事の内容の変更があったときには、やはりその地域に与える環境負荷というのは大きくなるでしょう。砂ぐい、三百四十万立米投入すると言っているんですね、その海砂も大変なものですよ。海砂を取るというのは、やはり海洋汚染に直結するんですね。そんなこともあるので、やはり環境負荷が大きくなるという認識を持って環境行政はなされるべきだと思っております。
安全保障だ何とかと言われると、どうもこれはちょっとアンタッチャブルだなみたいな感じがあったとしたら、これは環境行政としてはちょっと弱腰かなというような気がしておるのは、アメリカの例を何度も引き出して恐縮なんですけれども、例えば、アメリカでは、自然保護地域でオスプレイを飛ばすときに、そこの希少種であるコウモリとかフクロウとかが生息していると、夕方以降は飛ばすなとか、活動時間は、飛行を制限すらされるというふうなこともやるんですね。やはりそのぐらい徹底してやらないと、生物の多様性とか、それから地球温暖化も含めてそうですよ、私たちが抱えているリスク、未来のリスク、それにどのぐらいの姿勢で臨んでいくのかということをやはり示す必要が私はあると思っているんですね。
ちょっと質問を変えますけれども、今テーマにしている地域で縄文サンゴというのが生息しております。大臣、聞いたことはありますか。
○伊藤国務大臣 聞いたことがございます。
○屋良委員 驚きでございます。
これは余り一般的には知られていないことなんですけれども、実は、その地域にアオサンゴの大群生がある。長さ五十メートル、幅三十メートル、高さ十二メートル。サンゴ礁というのは、きれいな、いろいろな種類のサンゴが一つの岩についてカラフルな感じがするけれども、これはアオサンゴ一つで横五十メートルもあるというんですね。これがそれまでの大きさになるには何年かかったか、もう数千年でしょうと言われているので、縄文杉と同じように、縄文サンゴと言われているということなんです。
そこが、アメリカを中心にした世界的な自然保護団体で、ミッションブルーという団体があるんですけれども、そこが指定しているホープスポットに選ばれた。日本では、唯一この海域だけなんですよ。
これは何で選ばれたかというと、エリア的にはそう大きくない地域に何と五千三百三十四種もの生物が確認されている、ジュゴンを含めて絶滅危惧種が二百六十二種いるということらしいんですね。これは、数字が五千幾らといってぴんとこないかもしれませんけれども、例えば、ハワイにある海洋保護区の大きさというのが、日本の国土面積の約四倍に当たる保護区域なんですけれども、そこで七千種と言われているので、あの地域だけで五千三百種というのは物すごく生物多様性の宝庫なんですね。
やはりこれは私たち人類の宝だ、ホープスポットである、希望の海である。子供とか次の世代に残していくべきなものを今がんがんがんがん破壊しているんですよ。これはちょっと見るに堪えないなというふうな気がしているんです。
だから、一方では自然を保護しましょう、企業も自治体もNGOもみんなで頑張ってOECMをつくっていきましょうと言っているこっち側でがんがんそれをやっているというのが、どうも日本の自然環境というのはどうなのか、世界から見たらおかしくないか。何か地理的優位性とかといって、軍事的な論理でこれが進められているかもしれませんけれども、しかし、アメリカではそんなことは余り関係ないということが非常に矛盾点として指摘されても仕方がないかなと思うんです。
このホープスポットが破壊されているという現状、大臣の御認識があれば、御見解をいただきたいんですけれども、よろしくお願いします。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
一般論で申し上げますと、公共工事に限らず、事業者がそれぞれの地域の自然的、社会的状況に応じて適切に環境配慮を行うことが重要であるというふうに認識しております。
具体的には、個々の状況によりますけれども、土地の所有者の意向や関係法令の規定を前提としつつ、その土地に関する関係者の利益が両立されるように関係者がよくコミュニケーションを図って取り組むことが必要であると考えております。
それで、今、絶滅危惧種の話、そっちもお答えしたいと思いますけれども、委員が御指摘なさった絶滅危惧種の保護については、環境省では、国内の野生生物について絶滅のおそれを評価したレッドリストを作っておりまして、その公表を通じて、行政機関のみならず広く国民の皆様に対して絶滅危惧種の保全や環境配慮を呼びかけております。また、種の保存法や環境影響評価法等の様々な制度を活用して、その保全を図っているところでございます。
本法案、ネイチャーポジティブの機運を高めるとともに、引き続き、各種制度を適切に運用しながら、多様な主体による保全や環境配慮を促進し、絶滅危惧種を含めた自然環境の保全を推進してまいりたいと考えております。
○屋良委員 大臣、ありがとうございます。
自然を守るというのは、やはり機運が盛り上がらないとなかなか広がらないというのがあると思うんですね。サーティー・バイ・サーティーをもっと、フィフティー・バイ・サーティー、どんどんどんどん広げていくような、機運を広げないといけないけれども、いかんせん、先ほど松木委員が、土地は買ってもいいんじゃないかと。だけれども、環境省の予算ではそんなことはできませんよということで蹴られてしまうと、大変私たちはそれでいいのかということを考えてしまうんですね。未来の人たちに対する責務を私たちは負っているということがあるので、お金もない、人もいない中で、じゃ、どういったことでそれを広げていくのかというのは、これは知恵の出しどころだと思っているんですね。そのためにはインセンティブが重要になってくるのではないかというような気がしております。
例えば、認定証を国が出すことがインセンティブになるのか、その企業価値が高まるのがインセンティブとして広がるのかというと、日本の多くが中小企業ですよ、そこで広げることが果たして、限界があるのかなという気がするんです。やはりインセンティブをもっと、例えば、税制措置をどうにかしてあげるとか法人税をどうにかしてあげるとか、国土交通省も一緒になっているんだから、公共工事を取るときの点数を加点してあげるとか、そんないろいろなことが考えられるのかなと素人ながらに思っているんですけれども。
そこをちょっと取組を、やる気でもいいんですけれども、伺えれば。もう時間なのでこれを最後にしますけれども、よろしくお願いします。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
本法案によりまして、地方公共団体や民間等による生物多様性増進の活動を、国がネイチャーポジティブという国際的な考え方とも整合した形で認定することで、活動の価値、意義を客観性を持って対外的に発信できるようになると思っています。また、本法案に基づき認定された場合は、法律上の特例、ワンストップ化の特例を活用することも可能になるというのがまずございます。
地方行政、地方自治体の視点からいいますと、市町村が取りまとめて作成する連携増進活動実施計画の区域、こちらにつきましては、生物多様性維持協定というものを図ることによりまして、長期安定的に活動が担保されるようになるということでございます。
例えば、自治体への支援等のインセンティブにつきましては、先ほどから御指摘がございました生物多様性保全推進事業に基づく交付金を活用いただくことが可能となるように検討を進めていく予定としておりますし、一部の自治体におきましては、既に企業版ふるさと納税を活用して生物多様性の保全に資する事業者の取組を支援しているという例もあって、こうした事例と本法案による制度をうまく組み合わせたインセンティブの手法についても検討してまいりたい。
さらに、今後でございますけれども、本法案の成立した暁には、インセンティブとして考えられる税制措置のようなものも検討をし、調整をしてまいりたいというふうに考えてございます。
各種制度、予算支援というような話もございました。なかなか、十倍、百倍にしたいという気持ちもあるわけですが、限界もございますけれども、各種制度、各種の知恵を総動員してインセンティブシステムをつくっていきたいというふうに考えてございます。
○屋良委員 終わります。ありがとうございました。