2024年3月15日 衆議院 環境委員会 屋良朝博

■PFAS問題について

質問内容についての要約

PFAS問題について質問。

議事録

 第213回国会 衆議院 環境委員会 第3号 令和6年3月15日

PDFはこちら

○屋良委員 おはようございます。本日、トップバッターを務めさせていただきます、立憲民主党、屋良朝博でございます。
 本日は、伊藤大臣、それから穂坂、三宅両政務官、よろしくお願いいたします。
 今日は、PFASの問題、様々議論が進んでおり、この委員会でも過日質疑があったところでございます。
 PFASの雨が降っている、南極大陸やチベット高原でさえ、雨は飲料水として安全ではありませんといった報道が世界であふれていた。それは、昨年、アメリカ政府が、EPAが基準値の設定方針を示してから大変な量の報道がなされて、しかも、その基準値というのが物すごく厳しい、もはや、今、私たちが持っている技術では検出不可能だとさえ言われるぐらいの基準値を示しました。それは、この地球上にあってはならない物質だからだということを示していると思います。この問題に対処するには、私は、日本でも国家プロジェクトとして対応する必要があるのではないか、そのように考えているところでございます。
 二〇一九年にストックホルム条約でPFOAが附属書Aに追加されたことで、PFOS、PFOAとも製造、使用、輸出入が世界的に禁止されました。沖縄では二〇一六年から、米軍基地を汚染源とするのではないか、そのような問題認識の中で表面化しておりました。それは、アメリカの中でPFOSの汚染問題が物すごい社会問題になって、議会の中でも大変な議論があった状況の中で、沖縄の企業局がPFAS濃度を調べたところ、アメリカの基準値を大幅に上回っていたという問題があります。
 その頃というのは、映画「ダーク・ウォーターズ」が放映されて、国民の関心を呼んだ頃でございます。大臣は、御自身でも映画を撮られていたことがあったというふうに伺っておりますけれども、この映画を御覧になったと以前お話しされておりました。
 この映画は、ウェストバージニア州の田舎町にあるデュポン社がPFAS混じりの汚染水を河川に垂れ流していた、それでこの町では奇妙な病気が蔓延して、デュポン病とも呼ばれるようになっていたというような問題、それがアメリカの中で物すごい騒ぎになっていた頃です。しかし、日本国内ではほとんどこの問題は知られておらず、政府内の雰囲気はとても冷めたものでした。
 当時、私が環境委員会で質疑したときには、これは沖縄の基地問題でしょうというふうな受け止めだった、そのように記憶しております。国際保健機構、WHOが健康への影響評価を定めていなかったため対応ができません、そんな答弁が続いておりました。
 そうした中でも、当時環境大臣だった原田義昭先生の政治家としてのとても重い判断が示されました。私、政府の対応を聞いたときに、原田大臣はこういうふうに述べられました。そんなに長い間放置されていたのは大変問題だ、重く受け止めなければならない、今後、政府を挙げて取り組む必要があるというふうに答弁されたわけでございます。
 そのことを私は鮮明に覚えておりまして、その直後から、環境省、厚労省は対応が俊敏になったんです。物すごく速いペースで対応されて、翌年には、暫定指針値、暫定基準値五十ナノグラム・パー・リットルが設定されたわけです。この対応をやはり今考えてみると、エポックメイキングだったのじゃないかというふうに思っております。環境省は、その後もこの問題に熱心に取り組まれ、大変な御努力を重ねておられると思っております。
 さて、これまでの専門家会議の議論、知見の集積が進められており、今後、それを基にどう展開されるかという大変大切な時期に差しかかっているというふうに思います。汚染の全国的な把握、土壌汚染の除去だけでも、空前の作業になるでしょう。汚染水の浄化にも、施設整備、活性炭などの浄化材の確保と処理を全国で対応可能にしなければなりません。さらには、国民の健康影響調査をどうすれば的確に効率的に実施し、全体の傾向を確認できるのか。さらには、農水産業など食品への含有をどのように防ぐのか。汚染除去に向けた対応を含めて、PFASは、私たち人類に大きな試練を与えているものというふうに受け止めなければならないと思っております。
 今まさに政府が国家プロジェクトとして取り組む必要があり、是非とも環境省は、その動きをリードしていただき、予算もがっつり取ってきて、しっかりと対応してもらいたいというふうな思いを込めて、以下、質問に移らせていただきたいと思っております。
 まずは健康です。やはり、毎日飲む水の中に毒性の高いものが入っているかもしれないという、それを口に入れる不安感、これは大変なものだというふうに思います。様々な病気との因果関係が指摘されている中です。一般的にPFASは、血中濃度が高いほど脂質異常、肝臓がん、子供の発育の低下、抗体反応の低下につながるおそれがあるとされております。
 健康影響に対する環境省としての御認識をお示しいただきたい。過日、空本議員が質問されて答弁もございましたけれども、大臣、一般論で結構ですので、御認識をお聞かせください。


○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
 御指摘のように、PFOS、PFOA、これについてはコレステロール値の上昇や発がん等との関連が報告されております。ただ、現時点においては、どの程度の量が身体に入ると影響が出るのか、まだ確定的な知見はないというふうに承知しております。


○屋良委員 民間が、民間というか市民が自費で、自主的に血中濃度を調べているのが東京都と沖縄でありましたけれども、かなり高い血中濃度だったというふうに新聞で報道されています。しかも、東京の方が沖縄より高かったということは驚きでございました。
 血中濃度の基準値を設定する必要性が指摘されていますけれども、どうなんでしょう、この辺の取組を御説明いただけますでしょうか。よろしくお願いします。


○神ノ田政府参考人 お答えいたします。
 現時点では、国際的に見ても、PFASの血中濃度と健康影響との関係を評価するための科学的知見は十分でないため、血中濃度基準の策定は困難であると承知をしております。このため、まずは科学的知見の収集に努めてまいります。


○屋良委員 ありがとうございます。
 WHOによる発がん性評価を受けた今後の対応について議論を持っていきたいと思っております。
 WHOの専門機関である国際がん研究機関は、昨年十二月に、PFOAを発がん性がある第一分類とし、PFOSを発がん性の可能性がある第二分類Bと評価しました。第一分類には、たばこやアルコールも含まれる一方、六価クロムとかアスベストなど深刻な健康被害を引き起こす物質も含まれており、先ほどの御答弁にもありましたとおり、科学的な知見がまだ十分ではない、何かの病気に直結する、そんな有害物質であれば、これは急いで対応しないといけないというところだと思いますけれども、まだその辺の評価が定まっていない。
 たばこ、アルコール、吸い過ぎ、飲み過ぎは危険ですよというレベルなのか、それとも六価クロムやアスベストのように、法的にその対応がしっかりと整備されて政府として進めていく、そのような対応をしなければいけないのか、その辺がまだ定まっていないために、やはり対応も、先ほどの説明員の方がおっしゃったように、科学的な知見がまだ十分じゃないのでこれからやっていきますよというふうなことだと思いますけれども、そうした中で、私たちはこの現状をどのように受け止めればよいのでしょうか。
 QアンドA集なども環境省は用意されて、パブリックコメントもなさっておられるというふうに聞いていますけれども、大臣、環境省として国民に対して今の現状、恐らく不安は高まっているということがあります、しかし、ちょっと待ってよ、まだまだ研究が足りません、もう少し知見を集めてから、それから対応を考えますと言っても、やはり不安は消え去らないわけですね。
 大臣、国民に対して、今の現状をどのように説明されるのかということを教えてください。


○伊藤国務大臣 このPFOS、PFOAについては、昨年十二月一日、WHOの専門機関において発がん性の評価が変更されたことはよく承知しております。
 他方、この評価というのは人に対する発がん性があるかどうかの証拠の強さを示しておりまして、暴露量に基づくリスクの大きさを示しているものではないというふうに承知しております。


○屋良委員 やはり、どのように対応すればいいのか、どのような反応をすればいいのかというのがなかなか今分かりにくい現状だ、もしかしたらそういう過渡期なのかなというふうな気もしておりますけれども、そういう状況が非常に分かりにくい環境、雰囲気を生み出しているのではないか。病気との因果関係が特定されていない、そんな中でどのような対応をするのか、これはまさに難しい課題だというふうに思います。
 今は、知見を集めていますという答弁がずっとありますけれども、そうすると、どうも臨場感とか切迫感がなかなか感じられない。その知見を集めた結果、健康には特に問題を引き起こすような物質ではありませんというふうな評価になるかもしれない。そうすると、今、私たちがここで質問をしたり、政府が対応したり、専門家委員会が協議を重ねたりするのが、もしかしたら大山鳴動なのかもしれないというふうな、非常に分かりにくい状況だと思います。
 なので、ちょっとここで、アスベストのときにどうだったのかということを振り返ってみたいと思います。日本の今の現状、PFOSを抱えている今の現状と、アスベストが問題になった頃とが非常に重ねて見えたりすることがあります。
 資料一を御覧ください。国内外におけるアスベストに係る規制の状況、年表になっておりますけれども、このアスベストについてアメリカで論文が発表されて、疾病との関わりについて指摘されたのが一九六四年です。
 その後、国連健康機関、WHOが発がん性を指摘したのが一九七二年、その同じ年に、環境庁は、アスベストの生体影響に関する研究報告を発表しております。その翌年、日本では石綿による初の肺がん労災認定がなされて、七五年ですかね、スウェーデンが初めてアスベストの流通、使用を禁止しております。
 そして、八〇年代になると、アイスランド、ノルウェー、オーストリアなど、原則使用禁止とする国々が出てきます。
 九〇年代に入って、オランダ、イタリア、ドイツ、フランス、ベルギー、英国、立て続けに使用禁止の決定をしている中、日本は九五年に、一部の石綿の輸入、製造、使用禁止を決めたということでございます。
 そして、二〇〇〇年に入って、南米、チリ、アルゼンチンでも原則使用禁止として、その後になるんですね、日本が使用禁止を打ち出すのは。そして、二〇〇五年には各省庁で公共施設の調査開始がなされております。二〇〇六年二月には、石綿被害者救済法が成立され、関連法が改正されるなどの対応が国会でもなされております。
 アメリカで最初の論文が発表された一九六四年から、実に四十二年後のことになるわけですね。なので、実に、何というか、未来イメージというか、PFOSと石綿、WHOが危険性を、発がん性を指摘した、日本も研究を進めるという流れができ上がってくる、まさに今の状況に重なるのではないか、そんなふうな印象を持っておるわけでございます。
 そこで、まず免疫調査、血中濃度がどのぐらいなのかということもやはり気になるところですね。資料二でお示ししたのは、ミシガン州の保健福祉局のホームページにあるグラフから抜き出してきたものでございます。
 このホームページの記事には、二〇〇〇年から二〇一四年まで疾病管理予防センターが実施した検査では、九八%のアメリカ人の血中に一定濃度のPFOSが含まれていたということが示されております。そして、検査によって平均値との差を知ることができるが、この記事の中には更にこういうふうに書かれているんですけれども、検査によって平均値との差を知ることはできますけれども、あなたとアメリカの平均値を知ることができますけれども、それで医師が健康被害を診断できるわけではありませんよということがはっきり書かれている。
 血中濃度を下げるには、高濃度汚染地域で捕れた魚や野生生物、ジビエですね、野生生物を食べないようにしてくださいというふうなことも書かれている。非常にこれは合理的で何か丁寧な説明だな、しかも、現状を踏まえた上でのしっかりとした説明になっているのではないかというふうな気がします。州ごとに行われているこうした情報提供が住民に与えているのは、恐らく安心感じゃないでしょうか。
 PFASは体に取り込まれて、半減期があるので、時間の経過とともに血中濃度が減少している様子がこのグラフから見て取れるわけです。ということは、しっかりと汚染源の対応がなされており、国民の摂取量、体内に入れる量とか暴露量がしっかりとコントロールされているのかなというふうなことがこのグラフから見て取れるのではないかというふうに感じたりします。
 このような情報を国民にお知らせすることは大変大きな意味があるというふうに私は受け止めておりますけれども、この取組は参考にならないでしょうか。大臣、お考えをお聞かせください。


○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
 環境省では、一般的な国民の化学物質への暴露量を経年的に把握するために、PFASの血中濃度の調査を含む、化学物質の人への暴露量モニタリング調査を実施してございます。
 現在は百人程度の規模でパイロット調査として実施しておりまして、本調査に向けた調査手法等の検討を進めております。
 本調査の規模や開始時期等については、パイロット調査の結果を踏まえ、有識者の助言を得ながら検討してまいります。


○屋良委員 今、パイロット調査を各地で実施されている、年間百人ぐらいだという御説明でございました。やはり、これも大事な取組だと思います。これを是非続けて、更に広げていくと、その調査の数値が、その裏づけがしっかりと取れていく、そうすることで対策も見えてくるというふうなことだと思っております。
 そこで、大臣、提案がございまして、今日この場をかりて、私は時間を結構いただいておりますので、ちょっと提案させていただきたいんですけれども、PFAS汚染がはっきりしている地域が全国的に分かっているわけですね。
 例えば、資料三でお示しした河川、環境省は一生懸命、河川の現状もモニタリングしておられる、継続的になさっている。そこで分かってきたホットスポットと言われている地域がございます。その地域の医療機関、そこに訪れる患者さんは、恐らく診断の中で血液検査をされる方もいらっしゃるでしょう。その血液検査の中にPFOSの項目を加えていただければどうでしょうか。
 PFOS検査をやりますよということでアナウンスをして集まってもらってやってもらう、それも大事なんですけれども、否定はしませんが、コスト的に考えると、今やっているものにプラスアルファ、項目をつけ加えて、知りたい人はどうぞ受けられますというふうな仕組みをつくってみれば、その地域で、しっかりと暴露対策とか摂取を食い止めるというふうな対策も見えてくるかもしれない。それだけで全てが分かるというわけではないと思いますけれども、こうした情報の入手をやる、免疫調査、疫学的な調査をやるということは、今、PFASの健康被害が分からない中で何ができるかというのは、やはりモニタリングをして現状を把握することだ。
 それはしっかりなさっているとは思いますけれども、今のパイロット調査では、先ほどの大臣の説明にもありましたけれども、年間百人ぐらい、この地域で三十人、三十人、三十人と、かなり数字としては今現在は限定的だと思うんですね。今、地域でやられている、医療機関でやられている血液検査にこの項目を加えてみる、そうすることで知見の集積も増えていくんじゃないかというふうに思うんですけれども、どうでしょう、大臣、御検討いただけませんでしょうか。

○伊藤国務大臣 御提案いただきました。
 現在の状況をお知らせしますと、特定の地域での血中濃度調査については、PFASに対する総合戦略検討専門家会議において、血中濃度のみを測定しても健康影響を把握することができないのが現状であるとともに、地域における存在状況に関する調査としては、環境モニタリングの強化で対応することが妥当とされております。
 これを踏まえて、環境省においては、自治体に対して幅広い地域における公共用水域や地下水の調査の実施を働きかけるなど、水の環境モニタリングの強化を進めていきたいというふうに考えております。


○屋良委員 ありがとうございます。
 なぜこうした提案をするのかというと、もう一つ理由がございまして、これは恐らく国際的な取組がなされる、いろいろな国々がやるんですけれども、国際的な課題になっているので、国際的な取組がなされるかもしれないということを前提にして、国家間の協力が求められる分野なのかなというふうな見方もできると思うんですね。
 そうすると、大臣、経済的なインパクトも生み出すかもしれません。例えば、血液検査の簡易キットを開発したり、PFASを分解して無毒化する技術開発は、もう既に一部では民間レベルで始まっているというふうなことですね。
 後で質問させていただきますけれども、汚染水を浄化する浄化材の開発とか、その処理方法、今後、民間でも商業ベースで開発競争が生まれるかもしれない。そのような民間活力を政府が後押ししてあげれば、日本がこの技術でリーダーシップを取る、そうすると国際協力にも活用ができる。それが、私は、安全保障のソフトパワーとして力を発揮していくんじゃないのかなというふうな思いがしているわけです。
 なので、こういうことをこの場をかりてお話しさせていただいているわけですけれども、私の勝手な空想かもしれません、だから特に答弁にはこだわりませんけれども、もし大臣が御興味があって、コメントしたいというふうなことであれば、大変ありがたいと思います。よろしくお願いします。ありますか、大臣。


○伊藤国務大臣 建設的な御意見をいただきましたので、検討させていただきます。


○屋良委員 ありがとうございます。
 今のお言葉が大変大きな流れをもしかしたら生むかもしれない、そのような期待を持って、今後見続けていきたいというふうに存じます。
 さて、今現在、国内の基準は暫定とされています。暫定という言葉の意味、やはり、正式な決定があるまでの仮の措置、仮の取決めですよという意味です。いつか暫定を取り除かなくてはならないでしょう。
 仮に、暫定基準値を水道水質基準などに位置づけた場合には、浄水場の整備などの対応が必要になると思われます。これは大変大きなことになると思うんですね。その準備を、検討して、実施するに当たって政策的に何が必要なのか、何が有効なのかということを考えておくのは、今、行政としてはやはり必須じゃないかなというふうに思っておりますけれども、大臣、御認識をお聞かせください。


○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
 本年四月一日に、水道行政のうち、水質、衛生に関する業務が環境省に移管されます。そしてまた、水道中のPFOS、PFOAの暫定目標値の取扱いについては、現在検討が継続されております食品安全委員会による評価に加え、浄水処理性能や分析方法など様々な観点を踏まえた検討を行う必要があります。現段階では予断を持ってお答えすることはできませんが、しっかり環境省としての役目を果たしてまいりたいと思います。
 なお、浄水場の整備については、厚生労働省の水道施設整備に係る補助金等において、本年度から、PFOS、PFOA対策のための活性炭処理施設等の整備が交付対象となっていると承知しております。
 水道水質基準を所管することとなる環境省としては、本年四月一日以降は、水道施設の整備等を所管する国土交通省と連携しつつ、PFOS、PFOAに係る水質の目標値の取扱いに関する検討や、浄水技術に関する研究の推進、科学的知見の収集など必要な取組を進めてまいりたいと思います。


○屋良委員 大臣、ありがとうございました。
 米国では、今年の早い時期と言われております、その基準値を設定するという流れだと理解しておりますけれども、諸外国もそうした流れになってくる、日本もそれは対応しないといけないであろう。まさにアスベストの流れと非常に重なってくるような気がするんですね。
 仮に日本で暫定が取れて基準値となった場合に、行政的な対応、先ほど大臣がお話しされたように、環境省、国交省、連携を密にしながら、さらには厚労省も、横串を通すような形で対応しないといけないというふうに受け止めております。
 これはかなり大きな構えの対応が必要になってくるのではないか、私、素人なんですけれども、そういうようなことが容易に想定されると思います。水道事業者にも大きな影響が出てくるでしょう、各都道府県で。
 PFOSを除去するために、浄水場では、今のところ活性炭が主に使われておりますけれども、その量は十分に足りるのでしょうか。聞けば、ほとんどを輸入に頼り、その多くは中国から入ってきているというのが実態だというふうに聞いておりますけれども、この安定確保が課題になると思います。活性炭は定期的に交換しなければなりません。活性炭で浄化する場合、その費用が水道料金を押し上げている、地域自治体の水道事業はコスト増を余儀なくされているというのが実態でございます。
 昨日、レクで、その活性炭の必要量とかというのは分かりますかと聞いたところ、今のところ具体的な数字は、状況は把握しておりませんというようなお答えだったんですけれども、その理解でよろしいですか。


○鳥井政府参考人 今後必要になる量については、把握をいたしておりません。


○屋良委員 ごめんなさいね。一応聞いたんですけれども、ずっと気になっておりまして。
 活性炭で今浄化をしている。早晩、基準値が、暫定が取れるかもしれない。いつかは分かりませんけれども、そういうような国際的な流れになっている。これは、やはり分かっていた方がいいのではないかな。そして、どのようにそれを安定的に確保していくかという対策も今のうちにやっておいた方が、私は、転ばぬ先のつえとしていいのではないかなというふうに思っている次第でございます。
 資料四の一でお示しいたしたのは、沖縄県の北谷浄水場というところがあります。そこで活性炭を使った浄化にどれぐらい予算がかかっているかということを示しておるわけですけれども、一番下の令和五年、今年度、令和五年の活性炭、一つの浄水場です、四億円を超える予算がかかっている。そのうち、防衛省補助があって、沖縄県は一億四千万円支出しているということになっております。これはかなり大きいです。しかも、毎年億単位の予算がかかっているということ、これはやはり確認しておいた方がいいと思います。
 その次のページですけれども、資料四の二です。活性炭で水を浄化する。しかし、活性炭は残るわけですね。PFOSを吸収した活性炭が残るわけです。その活性炭も、八百度とか千度とかという大変高い温度で処理をしないとPFOSはちゃんと処理できないというような代物なので、毎年毎年、沖縄県は四千万円とか五千万円を使ってこれを処理をしているという現状があります。
 これがもしかしたら、この基準値が決まって、全国的な対応をもし取らなければいけないとなったときのこの費用負担は大変なものだと思うんですね。これは、やはり水道を利用する人たちに今のところ価格転嫁をしないといけないという状況になっているわけですけれども、沖縄では今年十月に水道料金を上げる予定です。その上げる分の一一%は活性炭などの浄化費用だと言われております。大阪でも同じように値上げをするわけですけれども、値上げ分の一〇%、同じような理由で、浄化費用の上乗せによるものとして、この物価高の中で水道料金が更に高くなっていく、利用者の負担が増えていく、この影響はとても大きなものだ、今後更に広がるかもしれないということだと思います。
 今現在、活性炭処理を行っている浄水場は全国にどれだけあって、処理方法と併せてその実態をお聞かせください。


○鳥井政府参考人 お答えをいたします。
 浄水場に活性炭処理を導入している、浄水場ベースでは把握しておりませんけれども、水道事業者の数につきましては、日本水道協会が作成しております、水道協会によりますと、令和三年度末時点で二百九十一事業者でございます。


○屋良委員 ありがとうございます。
 二百九十一事業者が、もしかしたらこれから毎年億単位の処理費用を抱えないといけなくなってしまう、そうすると、利用者への価格転嫁をしないと、持ちこたえられなくなってしまうというような状況が発生するかもしれません、全国的に。だから、今のうちに対応を考えておかないといけない、私はそのように思っているわけです。
 今は厚労省が浄水場の施設整備のイニシャルコストに補助金を出している、大臣が先ほどおっしゃったとおりだと思います。基準値を設定するまでに、浄水施設や処理施設の更なる整備、活性炭の確保など、クリアしておかなければいけない行政課題は山積みだと思います。今から、水質基準に設定される先を見越した対応が必要ではないでしょうか。
 アメリカでは、バイデン大統領が前回の選挙でPFAS対策を公約に掲げておりました。基準値設定が大変想定よりも遅れていて、今年になりそうだというふうなことになります。恐らく、基準値設定と必要な水道事業の施設整備などの対策を並行して進めているため、設定が遅れているのではないかというふうにも言われておりますけれども、同時並行的にやっているために、この設定が先送りされてきたというふうなアメリカの対応、私は非常に合理的なやり方じゃないのかな。
 遅れているよ、いつ出るんだというようなことを言われながらも、ちゃんと行政的な対応を進めているから、それが先送りされているというふうなことも言われている。これは、何というか、先見性があるやり方だなというふうに思ったりするわけなんですね。健康被害などの知見を集積する作業の一方で、このような具体的な取組を進める、それで準備をする必要があると思います。
 さらに、汚染の原因者は環境浄化の義務づけもされると思います、これから。民間企業は、それを負担するだけの費用で潰れてしまうかもしれません。そうした問題への対策も、きめ細かに進める必要があるのではないでしょうか。企業への支援策を講じるかどうか、そのときに法的整備も必要なのかどうか、私たちはしっかりと身構えて対応を考えていかなければならない。
 基準値を設定するとき、何が行政的な課題となるかを洗い出して、一つ一つクリアしていく具体的な準備、アクションプラン、実行計画、それが必要じゃないかと思っております。大臣、是非その策定をしていただけないでしょうか。PFASの取組でレガシーをつくってみる、そのような意気込みで取り組んでいただきたいというふうに希望いたしますけれども、いかがでしょうか。


○伊藤国務大臣 今日は委員から幾つもの建設的な御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 現状をまず報告いたしますと、PFASについては、これまでも関係省庁と連携して、安全側に立った水環境中の暫定目標値の設定、自治体と連携した環境モニタリング、暫定目標値を超えた場合の暴露防止に関する助言等の対応など、安全、安心に向けた取組を進めてきたところでございます。
 そしてまた、昨年七月に公表したPFASに関する今後の対応の方向性を踏まえ、内閣府の食品安全委員会や、四月から水道事業を共管する国土交通省と密に連携していくとともに、今話題にはなりませんでしたけれども、農産物に係る調査研究を実施している農林水産省の取組なども把握しつつ、環境省として必要な取組を進めていくところでございます。
 今の御指摘も踏まえ、しっかり前に進めてまいりたいと思います。


○屋良委員 大臣、ありがとうございます。建設的な御答弁もいただきまして、ありがとうございます。
 先ほど大臣おっしゃったように、農産物は大変重要で、私もそれを聞きたかったんですけれども、そこまでちょっと準備が回らずに、次の機会にさせていただきたいんですけれども、いろいろな海外の報道を見てみますと、魚の中にもPFOSが含有されているし、海産物の缶、缶詰の貝類からもPFOSが検出されている。ジビエ、鹿とか、野生動物からもPFOSが検出されている。もう至る所にPFOSはあるというふうな認識がある。その対応もやはり、これまた農水省に大変力を入れてやっていただきたいというふうな分野でございます。
 ありがとうございます、御指摘いただきまして。本当にそのとおりだというふうに、私も、問題意識を共有させていただいておるところでございますけれども、建設的なお話は取りあえずここまででございまして、これから、沖縄の基地の中で何で長い間立入調査ができないのかというところの問題をちょっとお話しさせていただきたいんです。
 その前に、米軍基地内で働く従業員、消防隊員がおります。消防訓練の中で、泡を頭からかぶって訓練をやってきた人たちがいるんですね。その人たちが今、将来的に健康被害が起きるんじゃないかな、がんを発生したらどうしようか、そんな心配が高まっているんですね。
 アメリカ軍は健康診断をやっているんですよ、血液検査も含めて。同じ現場で同じような作業をしていて、アメリカ軍の消防隊員は健康診断をちゃんとやっている、ちゃんと対策が取られているなというのを目の前で見ながら働かされている日本人の従業員がいる。
 この人たちは、健康診断、特定健診を求めていらっしゃるわけですけれども、どうでしょう、防衛省さん。現場で、何でアメリカ人は、アメリカ軍の消防隊員はちゃんと検査をやってもらっているのに私たちはやってもらえないんだろう、これは不安が募りますわ。それと不公平感も募って、毎日の業務も気分は嫌でしょう。どうでしょう、これは何とか対策を取れないでしょうか。
 消防隊員として働いている日本人従業員、今、その数を把握していらっしゃいますでしょうか。教えてください。

○三宅大臣政務官 お答え申し上げます。
 在日米軍基地に勤務する基地従業員のうち消防活動に直接従事している者は、令和六年一月末日現在で約八百五十人でございます。


○屋良委員 特殊健診、実施できないでしょうかね。八百五十人であれば、まあ、そんなに、目が飛び出るような予算も必要じゃないと思うんですけれども、彼らは今、特殊健診を求めております、現場では。どうでしょう、雇用主として、その辺、要望を聞き入れていただけないでしょうか。


○三宅大臣政務官 お答え申し上げます。
 在日米軍基地に勤務する基地従業員に対しては、一般の労働者と同様に、労働安全衛生法等の国内法令に従い、雇用主である防衛省が健康管理に必要な措置を講じております。この中で、有害な業務に従事する基地従業員に対しては特殊健康診断を実施しております。
 その上で、PFASにつきましては、健康影響との関係を評価するための科学的知見がまだ確立していないこともあり、労働安全衛生法に基づく特殊健康診断の対象とはなっていないと承知いたしております。このため、基地従業員に対してもPFASに関する特殊健康診断は行っておりません。
 PFASをめぐる問題につきましては、政府全体として取組を進めているところでありまして、PFASの健康影響に関し、内閣府の食品安全委員会において、有機フッ素化合物(PFAS)ワーキンググループを設置し、検討が行われていると承知をいたしております。
 防衛省としても、こうした政府内の検討状況を踏まえつつ、基地従業員の健康管理について引き続き適切に対応してまいります。


○屋良委員 ありがとうございます。
 PFASは含まれていないという御答弁だったんですけれども、アスベストとほとんど重なります。健康被害が騒がれて、WHOが指針を出して、発がん性があるよというようなことを出して、それから四十年近くたってから初めて国内法が整備されたということですね。もうその間に、肺がんで苦しんで亡くなられた人たちというのはたくさんいるわけです。それを、このPFASでは同じ轍を踏まないというふうな覚悟があってもいいんじゃないかというふうに私は思っています。八百五十人の健診ですよ。これは何とか前向きにやってもらいたいと思います。
 日米安保が大事だ、それはよく聞きます。だけれども、それを足下で支えてくれているこの従業員たちの健康が、もしかしたら脅かされているかもしれないというと、これは言っていることとやっていることが全然違うじゃないですかというふうなことになるので、是非とも、そこは対策を強化していただいて、彼らの健康をしっかりと守ってもらえるような対応を講じていただければ大変ありがたいと思いますので、その辺、御検討をよろしくお願いいたします。
 沖縄県は、二〇一六年から、嘉手納基地内への立入調査を求めております。既に八年経過しておるんですけれども、今は嘉手納、普天間、ハンセンなどの立入りを要請しておりますが、実現しておりません。何が障壁となっているんでしょうか。御説明ください。


○三宅大臣政務官 沖縄県の方からは、嘉手納飛行場、普天間飛行場、キャンプ・ハンセン周辺の河川等からPFOS等が検出されていることを受けまして、汚染源の特定のため、これら施設への立入りについての要請がこれまで四件されております。これらの要請につきましては、様々な機会を捉えて米側に伝達をいたしております。
 米側とのやり取りの詳細についてはお答えできないことを御理解いただければと思いますけれども、防衛省としては、引き続き、関係自治体及び関係省庁と連携しながら米側に働きかけてまいります。


○屋良委員 一昨日、参議院の外交防衛委員会で上川大臣が、日本では基準値設定がまだ議論が進展している中であって、そうした中ではなかなか立入りは難しいというふうな御認識を述べられているんですけれども、ということは、これは環境省の対応がまだないので、基地内に立ち入れないんだよというふうなことを上川大臣はおっしゃったというふうに受け止められます。
 どうですか、これは。環境省は本当にそれでいいんですかね。そういうふうに言われていいんでしょうか。大臣、よろしくお願いします。

○伊藤国務大臣 在日米軍施設・区域に関しては、日米間において、環境補足協定など様々な取決めがあるということは承知しております。
 必要に応じて、関係省庁で連携して日米間で協議がなされるものと認識しております。


○屋良委員 そうなんですよ、連携してやってもらわないと困るんです。これは連携されていないというふうなことで、八年間も延び延びになっているんじゃないんでしょうか。
 そして、今、外務省は、環境省の対応が遅れているからだよというふうに聞き取れるような発言を大臣がなさっている。これは全く現状認識が違っていて、これからなんですよ、基準値を設けるのは。アメリカもまだなんですよ。ところが、アメリカではしっかりと基地内の対応をしている、基地周辺の対策もしているんですね。先ほどの答弁は、まだ検討中なのでとかですよ。外務大臣がおっしゃった、基準値がないからというのは国際社会を見ていないということです、外務省が。大丈夫ですか、これで。
 外務省、何かおっしゃりたいことがあれば、よろしくお願いします。

○穂坂大臣政務官 お答えさせていただきます。
 PFOS等をめぐる問題については、地域住民の皆様は大きな不安を抱えていると承知しています。先ほど大臣からもありました、関係省庁が連携しながら政府全体としてこの問題には真剣に取り組んでおります。これまでも現に、PFOS等の漏出が起こった場合には、環境補足協定に従いまして、米国施設・区域内への立入り等は実施しています。
 他方、沖縄県からは、嘉手納飛行場、普天間飛行場、キャンプ・ハンセンについて、周辺の水環境等からのPFOS等の高い値が検出されていることを踏まえて、汚染源特定のため、これら立入りについての要請がなされており、日本政府として様々な機会を捉えて米側には伝達をしているところであります。
 上川大臣はこの点について、現に漏出が発生していない場合の立入りに関して、国内において法的基準が定められること及びPFOS等の検出と在日米軍の活動との因果関係が明らかになることが重要と述べたものであり、日本政府の立場に何ら変わりはございません。
 外務省としては、様々なレベルで米側とやり取りをしてきているところであり、住民の方々の不安を払拭できるよう、引き続き米側と連携していく考えでございます。


○屋良委員 最後になりますけれども、今般、普天間飛行場でたまっていた汚染水を何と日本の費用負担によって処理した、これは緊急的な対応だったというふうに防衛省はそのときも説明していますけれども、例えば、東京の横田基地にも汚染水が百四十万リットル貯蔵されているというふうな報道もあって、普天間で処理した量は三十六万リットル、何倍にも及ぶ汚染水がまだあるんですね。これも全て日本が肩代わりするかというと、どうもちょっと筋が通らないような気がしますけれども、もう時間が来たので、この質問は別の委員会に、安保委員会とかでやらせていただきますけれども、このPFAS問題、全省庁横断的に、そして国家プロジェクトとしてやっていくべきだと思っているし、環境省、予算をがっつり取っていただいて、そのリーダーシップを発揮することによって、国際貢献にも、もしかしたらつながる可能性があるんですね。そういった分野だと思っていますので、是非とも対応をよろしくお願いいたします。
 質問を終わります。ありがとうございました。