2025年1月23日 衆議院 沖縄北方特別委員会 屋良朝博
■沖縄振興特定事業推進費について質問。
質問内容についての要約
沖縄振興特定事業推進費ついて質問。
議事録
第216回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号 令和7年1月23日
○屋良委員 委員長、大臣、副大臣、そして野党の理事の皆様と委員各位、今日は、閉会中にもかかわらず、このように閉会中審査を開いていただきまして、本当に感謝いたします。ありがとうございます。質問の機会をいただきました。これまた感謝したいと思います。本日はよろしくお願いいたします。
まずは、沖縄振興特定事業推進費というのが沖縄の予算の中にあります、それについて質疑をさせていただきます。
二〇一九年、令和元年度に三十五億円の予算で創設された沖縄振興特定事業推進費は、令和七年度、来年度予算で九十五億円と大幅に増額されております。一方で、補助対象地域に偏りがあるとの指摘もあります。最近、特定事業推進費の増額要請が地元市長会からもあったようですけれども、この制度を活用しているのは、資料一に示したとおり、年度ごとに見ると、県内四十一市町村のうち三分の一にも至っておりません。三分の一の自治体に補助金が集中投下されているというふうな現状があります。
内閣府の交付決定資料によると、特に交付先が中北部に偏っており、南部・先島が余りにも手薄になっているというふうな状態が分かると思います。那覇、中部地域と中北部の差は二倍、中北部と南部・先島との差は実に約四倍、そのような格差が生じているということです。
そして、裏側ですけれども、資料二でお示ししたとおり、この推進費は民間事業へも交付されております。これまた中北部に交付額、件数とも偏っておりまして、地域別のパーセンテージを見ると、中北部が全体の交付決定額の五四%を占めております。那覇市部は三〇%、中部は一二%、南部・先島は僅か四%にとどまっております。中北部は額にして南部・先島の実に十四倍も多く交付されているというふうな状態があるわけです。
市町村そして民間事業者への交付は南部・先島地域はとても手薄になっているということが気になるところでございますけれども、なぜこうした地域の偏りがあるのか、実に不可解である。県土の均衡ある発展という振興の大前提に合致していない制度ではないかというふうに思うんですけれども、公平性に問題はないのか、大臣の御所見を伺います。
○伊東国務大臣 屋良議員の御質問にお答えいたします。
推進費につきましては、ソフト交付金を補完し、迅速、柔軟に対応すべき事業を推進することを目的としておりまして、県内の全市町村等を対象として交付し得るものであり、交付要綱に定められた要件に沿って公平公正に対応しているところであります。
民間事業につきましては、県内の全市町村が認定市町村となることが可能でありまして、市町村と密接に連携する事業が対象であります。
一般論として申し上げますと、規模の大きな自治体ほど、規模の小さな自治体に比べ、抱える政策課題等は多岐にわたることが多く、結果として配分額が多くなることはあり得るものと考えております。
比較的小さな自治体にあっても推進費を活用いただいている事例は多数あるところでありまして、内閣府といたしましては、これまでに推進費を活用いただいていない市町村を含め、定期的な説明会等を通じ、制度の理解を深めていただいているところであります。多くの市町村等で一層有効活用いただけるよう、引き続き周知を図ってまいりたいと思います。
町村の皆さんの評判はいいものと私は聞いているところであります。
○屋良委員 大臣も御承知のとおり、沖縄の人口はかなり偏りがあって、那覇を中心とした中南部に人口の八割が集中しているんです。そういうふうな状況を鑑みた場合、この偏重ぶりはちょっと不自然だと思うんです。
市町村にとっては非常に人気がある推進費ですから、もっと広く活用してもらうために運用を見直すことが必要じゃないかと思うんですけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○伊東国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、活用されている市町村にとっては非常に便利な使い勝手のいいものだ、また、使っていない市町村はまるっきりゼロのところもあるように聞いているところでありまして、それぞれの市町村の取組、あるいは工夫、熱意、そういったものによって少し差があるのかなという思いがあります。
それと同時に、今お話がありましたように、中南部の方に人口が集中し、北部の方はなかなかそうなっていない、それを補完する、活性化させる意味でこの交付金が使われているのではないか、そんな推測もできるわけでありまして、各町村に、この交付金を活用できるように、何回も申し上げますけれども、PRをしてちゃんと相談に乗りたい、こう考えております。
○屋良委員 交付先の地域の偏りに加えてもう一つ問題を指摘させていただきたいんですけれども、この予算の執行率が余りよくないことが資料で分かると思います。
資料三の上の方の表ですけれども、執行率が多くて五割少々なんです。例えば、二〇二二年度は翌年度繰越額が六十三億円になっております。二三年度が八十五億で予算現額が百四十八億円なんですけれども、次の年への繰越額が四十四億で、不用額が何と二十二億円。八十数億円の予算規模に対して不用額が二十二億円。これは形として、余り活用されていないどころか、使い切れていない。先ほど大臣がおっしゃったようにPRがうまくされていないし、活用方法が余り知れ渡っていないということは余りよろしくないというふうに指摘せざるを得ないと思います。
推進費の目的を内閣府のホームページで見てみますと、沖縄県のソフト交付金を補完する、そして、年度途中でも交付できるので機動性が高い、臨機応変にいろいろなもので使えるのでそうした活用ができるというのが売りなんですね、この交付金は。
ところが、継続事業が非常に大きいんです。来年度予算を見てみると、九十五億円が計上されていますけれども、そのうち継続が八十億円なんです。そうすると、新規が十五億円。十五億円は何に使うんですかと聞いたところ、いや、特に積み上げじゃないので分かりませんと言われちゃう。これは需要予測ですというふうに言われて、予測を積み重ねていって、結局、継続が多くなるし、不用が多くなるしというふうな状態の運用がこの推進費の実態であると受け止めざるを得ないんです。
制度の運用の改善が必要ではないか。五年間やってみてこういうふうな状態であるわけですから、運用を改善するべきだと思うんですけれども、大臣、御見解をお願いします。
○伊東国務大臣 お答えいたします。
運用を変えるより、まずは制度そのものをみんなに活用してもらえるような方策に変えていく方が大事だろうというふうに思います。
各年度や事業によりまして個別の事情があるため、一概にお答えすることはなかなか困難でありますけれども、翌年度繰越しや不用額等については、交付決定以降の事業進捗等を通じて、当初予見し得なかった事象の発生等に伴い生じた結果、これもあると認識しております。
例えば、令和五年度におきましては、翌年度繰越しについては設計計画変更や資材の入手難、不用については事業計画の変更や市町村等からの申請が想定を下回ったことなどによりまして発生したものであり、それぞれの事業の事情により様々な理由によるものとなっております。
内閣府といたしましては、御指摘の点も踏まえ、引き続き適切に執行してまいりたいと考えております。
○屋良委員 二〇一九年に始まったこの事業は三十五億円でスタートしていますけれども、約三倍、来年度は九十五億円なので、どんどんどんどん増額しているんだけれども、積み上げじゃないので、見込みだと。見込みでやってみても、年度年度の事情でこういうふうな実態になっているということは事実だと思うんです、大臣。年度年度の事情は当然ございましょう。しかし、私は思うんですけれども、毎年度、使っている自治体が全体の三分の一しかないということだとすると、需要と供給のミスマッチが起きているんじゃないかという気がするんです。
そこで提案があるんですけれども、この制度は現場に近い沖縄県に預けて運用してもらうことはできないものかと思うんです。今、交付先の地域の偏りがあるわけです。現場に近いところで沖縄県が推進費を運用すれば地元のニーズにきめ細かく対応できるはずなので、なくせとは言いません。大臣も先ほど人気が高いとおっしゃっていた。だから、人気が高いほどもっと活用してもらいましょうというような制度にすべきだと思うんです。
その一つの提案ですけれども、制度そのものを沖縄県に運用してもらう。どうでしょうか、大臣。
○伊東国務大臣 推進費につきましては、ソフト交付金を補完して、迅速、柔軟に対応すべき事業を推進することを目的としているわけであります。内閣府が市町村等と直接調整を図ることにより、多様な政策課題に機動的に対応することが可能となると考えております。
いわゆる国から市町村直轄という形でありますけれども、機動的に対応できるのではないか、こう思っているところでありまして、この点につきまして、市町村等から相談があれば引き続き迅速に対応してまいりたいと思う次第であります。
○屋良委員 沖縄県のソフト交付金の制度は、財政力が弱いところに対して裏負担を半額持つ仕組みがあるんです。そうすると、沖縄県にこの仕組みを入れてしまえば、これは十分の八の補助率なので、市町村は半分の負担でこの制度が使えることになるんじゃないか、そういうふうな仕組みにつくり変えればいいんじゃないかと私は思うんです。なぜわざわざ国直轄の事業にずっとしておくのかということが非常に不思議。
市町村にとっても優しいし、地域でもバランスが取れるだろうし、もっともっときめ細かく活用してもらう、地域の現場に近い行政がやった方がいいんじゃないかと思いますので、どうか御検討いただきたいということを要望しまして、次の質問に移ります。
事業評価が、市町村に対する交付後の事業評価の公表義務と民間事業者に対する事業評価が全然違っています。民間は公表しないでいいということになっているわけですけれども、昨日問取りレクで説明を受けました。民間事業が裏負担分を自腹を切ってやっているんだから、事業者の秘密の保持もあるでしょうということで公表していないんですよというような説明を受けたんですけれども、どうも二重基準になっているような気がします。
同じ仕組みの中で、同じ制度の中で、一方は公表義務があるけれども、もう一方は全く公表する必要がない。そうすると、どのような事業に使ってどのような効果が上がったのかということが全く分かりません。これは交付金なので、ある程度、建物を造ったのか、それとも何かの研究に使って新しい素材を開発したのか、新しい技術を開発したのか、そういったことぐらい分かれば、地域でも、これはすごいね、これは地域の活性化につながるねというふうなことがPRできると思うんですけれども、こういったことが全くないんです。何か分からない。ブラックボックス。
運用を変えた方がいいんじゃないかと思うんですけれども、この二重基準を見直す必要があると大臣はお考えになりませんか。
○伊東国務大臣 お答えいたします。
補助対象事業等の成果目標の達成状況に関して、交付要領において市町村事業分については公表を義務づけているところであります。民間事業分につきましては、他の補助金における取扱いも参照した上で、補助金事業の一部は民間資金を財源としており、事業全体の評価を民間事業者に求めることは慎重になる必要があること、また、民間事業者は業種、業務内容、事業規模などが様々であり、事業者自身が対外的な情報発信を行う基盤環境にも差があることなど、画一的な取組が困難と考えられていること等を総合的に踏まえて、民間事業については公表は求めないとしているところであります。
なお、成果目標の達成状況の評価につきましては、市町村事業、民間事業、いずれについても内閣府に報告いただき、必要に応じて助言や改善を求めることができることとされており、今後とも、評価状況等についてしっかり把握の上、適切に対応したいと考えております。
○屋良委員 国には行政評価の仕組みがいろいろあって、総務省と財務省と会計検査院に実は来ていただいて、調査の対象になるんじゃないのというような質問をやろうと思っていたんですけれども、時間がなくて、ごめんなさい。次にまた質問させていただきます。ありがとうございます。
次の質問に移りたいと思います。
沖縄の予算、国直轄予算と県の直轄の予算が非常にアンバランスになっているんじゃないかということを指摘させていただきたいと思います。
資料三の下の表ですけれども、不用額が過去五年間で計千五億円、平均して毎年二百億円ぐらい不用額を出しているんです。繰越しも過去五年で平均千二百六十八億円に上っているんです。その次の裏側を見ていただきたいんですけれども、国が使い切れないのにもかかわらず、沖縄県の予算がどんどんどんどん減らされている。平成二十六年度は一括交付金を含めた沖縄県側の予算は二千三百億円あったんです。ところが、今、千四百億円に減額されている。国の予算はほとんど変わっていません。使い切れないで持ち越しあるいは不用にしている額がどんどんどんどん増えているにもかかわらず、沖縄県の予算をがんがんがんがん削っている。これはちょっとおかしいなと思うわけでございます。
何が起きているかというと、水道管の整備事業が滞って、有機フッ素化合物のPFOSを取り除く対応費も沖縄県が持っているので、水道料金が全国で今一番高いんですよ、大臣。鉄道も調査費ばかり十五年間つけてきて、毎年約一億円から八千万円。鉄道が全然走らない状態がずっと続いている。ところが、一年間の沖縄県の渋滞による経済損失は大体毎年千四百五十五億円なので、過去十五年分を足せば、その損失分だけで鉄道は多分那覇―名護間を往復していますよ。
こんな状態にもかかわらず、国は使い切れていないにもかかわらず、どんどん県の予算を削って、不用にした額を沖縄県に回してあげれば、水道料金を下げることとか、鉄道を造るとか、今、二年前の台風でずっと道路が不通になっていて、それが沖縄県の県道なので予算が足りなくてというような状態が続いている。ちょっといびつだと思うんです。
○逢坂委員長 屋良君、申合せの時間が過ぎております。まとめてください。
○屋良委員 はい。
予算がいびつになっているので、是非とも改善をお願いして質疑を終わりたいと思います。よろしくお願いします。