2024年7月30日 衆議院 安全保障委員会 屋良朝博

■米兵による少女暴行事件ついて

質問内容についての要約

米兵による少女暴行事件ついて質問。

議事録

 第213回国会 衆議院 安全保障委員会 第13号 令和6年7月30日

○屋良委員 立憲民主党、屋良朝博でございます。
 よろしくお願いします。両大臣、よろしくお願いいたします。
 私は、沖縄でまた悲しい事件が起きた、昨年の十二月に少女が米兵によってレイプされたというこの問題を中心に質疑をさせていただきたいと思います。
 お配りしました資料を基に、お手元に行っていますですね、まず、資料の説明をさせていただきたいんですけれども、この一覧表は過去に沖縄で起きた米兵によるレイプ事件のものでございます。象徴的なのが一九九五年のものでありまして、それが元で、日米両政府が沖縄の基地問題を政府の最重要課題と位置づけて、普天間飛行場の返還に流れていっております。
 さらには、たくさんあり過ぎて、これを全部読み上げていると本当に、何というか、気分が悪くなるような内容がたくさん含まれておりますけれども。例えば、番号でいうと三十九番、二ページ目でございますけれども、九歳の少女が就寝中にレイプされたということ。九歳です。その下、四十番、六歳の女の子が拉致され、殺害されております。そして、四十五番目、生後九か月の赤ちゃんがレイプされたという事件まで起きておるわけですね。
 そういったもの、事件の積み重ねの中で、今回の事件を果たして私たちはどう見るべきかということが今問われているということであります。
 これは単発的な事件ではなくて、例えば、四ページ目に示しているのが、これはアメリカ国防総省の取組でありまして、アメリカ国防総省も、このレイプ事件、大変な問題になっていて、省を挙げて、政府を挙げて取り組んでいるさなかであるということなんですね。
 例えば、直近の、昨年度の、二三年度のレポートによりますと、年間八千五百十五人の被害者が出たと。これは申告率が二五%なので、三万四、五千人に至っているわけですね。これが、毎年毎年この数でコンスタントに被害が出ているということで、アメリカ国防総省も大変この問題に対しては苦慮していて、省を挙げて、いや、政府を挙げて取り組んでいるというような状況があるということの一つとして捉えた場合、今回日本政府が取った対応が果たして適切だったのかどうかということが厳しく問われていると私は思っております。
 質問に移りますけれども、昨年十二月二十四日に十六歳未満の少女が沖縄で米兵によって誘拐、そしてレイプをされたという事件がありました。これが発表されたのが六月二十五日と、もう半年遅れだったんですけれども、その裁判が始まるので、これは当然、公判日程が決まれば訴状が出てくるわけで、公表されます、だから分かったということなんですけれども。
 外務大臣、防衛大臣、この事件を知ったのは、認知したのはいつの段階だったのか、教えてください。


○上川国務大臣 今般の米兵によります性犯罪が相次いで発生したことにつきましては、極めて深刻に受け止めておりまして、被害に遭われた方のことを思うと心が痛みます。
 外務大臣として、人間の尊厳を守る、女性・平和・安全保障、WPSを推進している中におきましてこのような事案が続きましたことは、個人的にも耐え難いことでございます。
 一九九七年の合同委員会の合意に基づきまして、通報の取扱いにつきましては、日頃より外務省の事務方において対応をしているところでございます。
 その上で、今般の一連の事案につきましては、そのようなフレームワークの下、対応したものでございます。お尋ねの点につきましては、外務省事務方が関係省庁から情報共有を受けた後、非公表の事案との位置づけで共有を受けたものとして、事案の概要について報告を受けたところであります。


○木原国務大臣 防衛省としまして、御指摘の事件につきましては、六月二十五日、捜査当局から事案の概要が公にされたことを受けまして、外務省から防衛省に情報提供がなされ、これについて報告を受けたところです。


○屋良委員 上川大臣、いつだったかということをお答えいただきたいんです。


○上川国務大臣 事務方が捜査当局から情報共有を受けた後、事案の概要について迅速に報告がございました。
 具体的な日時につきましては、日米間での捜査協力を含みます捜査機関の活動内容に関わる事項でもございまして、お答えにつきましては差し控えさせていただきたいと思います。


○屋良委員 政府として対応することが行われていたのかというのが今回の大変大きな問題点だと私は認識しておりまして、大臣がいつ事件について認識されて、何らかの対応を取られたのかということなんですよ、問題は。
 今捜査機関の云々がありましたけれども、それとは全く関係なくて、政府として、先ほど大臣自ら御説明されました一九九七年のフレームワークに基づいて、本来であれば関係機関に、沖縄県も含みますけれども、関係機関に連絡が行って、そして再発の防止策、被害者へのケア、これが一番大事なんじゃないでしょうか。捜査は捜査として当然進めてもらう。しかし、ほかにやるべきことはたくさんあるわけですよ。それを決めたのが一九九七年の合意であった。当時、橋本龍太郎総理の下で、リーダーシップで、このフレームワークができたわけですけれども。日時ですら回答されない、これはとても奇異に感じるわけです。
 次の質問に移りますけれども、外務省は、あるいは政府、どの機関でもいいですけれども、官邸に対しては説明されたんでしょうか。それが、いつ、誰が、誰に。お願いします。


○有馬政府参考人 お答え申し上げます。
 外務省からの報告について申し上げれば、総理及び官房長官に適時適切に報告させていただきました。


○屋良委員 適時適切はいいんですけれども、私の質問は、いつです。そして、どのような対応を取ったのかが大事なんです。答えられますか。


○有馬政府参考人 繰り返しで恐縮でございますけれども、外務省からは、総理、長官に対して適時適切に報告を行っております。


○屋良委員 どうも、いつですら分からない、私たちに説明をされない。どのような対応を取ったのか、時間的にはどのぐらいのタイミングで取られたのか、これは大事なんですよ。
 先ほど一覧表を示しましたけれども、これはずっと続いているんです。対応策をずっと取り続けなければいけない事例なんですよ。防止策を繰り返し繰り返しやってきても、十代の女性が今回も被害に遭った。次、止めないといけないんです。必死にやらないといけない。そうじゃないと、日米間の信頼なんて絵に描いた餅じゃないですか。しっかりと土台で固めていって国民の信頼を得る、これが重要なことであると私は考えていますけれども、今のような答弁だと、全く僕らは理解できませんよ。全く、とてもいいかげんな気がしますけれども。
 昨年十二月の事件で通報手続に沿った対応がなされなかったというのが今分かっているんですけれども、誰がそう判断したんですか。大臣、誰が、どの判断、どういう判断でもって、通常の、先ほど大臣がおっしゃった一九九七年の通報システムを止めてしまったのか。これは誰の判断だったんでしょう。


○上川国務大臣 一九九七年の日米合同委員会の合意であります在日米軍に係る事件・事故発生時における通報手続につきましては、在日米軍に係る事件、事故に対する日本側関係当局の迅速な対応、これを確保し、そうした事件、事故が地域社会に与える影響を最小限のものとするために、米側から日本政府に対する通報の対象となる在日米軍に係る事件、事故の基準を定めるとともに、通報の経路等を定めたものでございます。
 今般の事案につきましても、日本側の捜査当局から外務省への情報提供を踏まえまして、日米間で適切な情報のやり取りが行われ、本件日米合同委員会合意の趣旨、目的が達成されていると承知をしております。
 その上で、国内における情報共有につきましては、外務省としても、今回の事案は捜査当局から非公表の事案であるとして共有を受けたところでありまして、そのような捜査当局における判断を踏まえまして外務省事務方にて対応をし、防衛省に対して情報を提供することはしなかったものと承知をしております。


○屋良委員 防衛省さん、後で聞きますけれども、本当にそれでいいんですかね。これは通常のやり方と全く今回は違っていますよ。
 だから、九七年の合意は、こういう事件が起きたら次の事件を、再発を防止しましょうね、被害者のケアもちゃんとしましょうねということで始まったんですよ、九五年の少女暴行事件以降。それが普天間の返還まで政治的な大きなうねりとなっていった。
 それと匹敵する今回の事件だとすれば、なぜ事務方がそう判断する。防衛省に何のお知らせもしない。防衛省は、何の対応もできない、報道でもってびっくり仰天。こんなことあるんですか。誰がこの少女のケアをしたんですか。誰が賠償のケアをしたんですか。誰が見舞金の話を持っていくんですか。事件が起きたら、そういう防衛省の仕事があるんですよ。あなたたちはその仕事を取り上げたんですよ、今回。これは誰のためなんですか。決して子供のためじゃない、決して被害に遭ったこの少女のためじゃないですよ、これは。おかしいじゃないですか。
 改めて聞きますけれども、こういう日米合意をほごにするというか無視しちゃうという判断を、大臣に相談しないで事務方が勝手に決めたということに、今の答弁ではそのように受け止められましたけれども、大臣は本当にそれでいいんですか。お答えください。


○上川国務大臣 外務省の事務方といたしまして、被害者のプライバシー、また捜査への影響、こういったことを踏まえつつ、非公表の事案とする捜査当局の判断を踏まえて対応したものでございます。


○屋良委員 それでは、警察庁に聞きますけれども、非公表にしてくれというふうに外務省に申入れをしたんですか。お願いします。


○親家政府参考人 お答えいたします。
 お尋ねの令和五年十二月発生の事件につきましては、沖縄県警察が捜査を行う過程で米側から協力を得るために必要と認められたことから、警察庁から外務省に米側への働きかけを依頼したところでありまして、その際に、警察庁から外務省に対し、必要な範囲で事件内容について説明したところでございます。
 警察庁から外務省に事件内容を説明するに当たっては、当該事件は、現在、沖縄県警察で捜査中であり、広報は行っていない旨を伝えたところでございます。


○屋良委員 広報は行っていないということを伝えたのであって、連絡網に乗っけないでくれというようなことまで警察庁は外務省に依頼したんでしょうか。


○親家政府参考人 お答えいたします。
 警察庁から外務省に対して、いわゆる九七年合意に基づく通報手続を行わないよう求めたという事実はございません。


○屋良委員 これは外務省の判断ですよ。なぜそんな判断ができるんですか。日米合意を止めてしまうという判断を事務方がやった、大臣の知らない中で。これは今回の防衛省の問題と全く同じじゃないですか。事務方が事実を握り締めてとは言いませんけれども、止めてしまったわけですよ。それで適切な対応が全部できなくなっちゃった。防衛省、六月二十五日まで知らなかったなんというのは、起訴のずっと後ですよ。
 しかも、エマニュエル大使に、外務省は三月二十七日に申入れを行っているじゃないですか。そういう事案であると。日米関係の、大事なというか大問題であるという認識があったからこそエマニュエル大使に申入れを行ったわけじゃないですか。大臣、本当にこのようなやり方でいいんですか。
 これは、何とも、先ほど大臣はWPSとおっしゃいました、外務省として、人権意識、どうなっているんですか。おかしな話だと思いますよ。
 今回の事案に絡んで、沖縄以外の全国の米軍基地所在地、小泉委員長の地元の神奈川県においても同様の事態が起きていて、本来知らせるべき当該県へ通報が行われていなかったことが報道によって明らかにされております。
 ところが、何度も繰り返しますけれども、日米合意の趣旨は、いち早く対応して、政府機関全体を挙げてその子のケアとそして再発防止に努める、これが第一じゃないですか。その第一の仕事をやっていなくて、しかも、誰にも頼まれていない。警察庁も外務省に頼んでいないと言っているじゃないですか。情報を関係機関に回すことについては何ら、止めるような、そんな依頼は別に受けていない。しかし、外務省、大臣の今の答弁は全く違っていて、警察庁がそういう事案ですよというふうな、お知らせがあったものですから、日米合意を外して、日米合意を無視して、防衛省にまで情報を届けなかった。これは日米合意を本当に無視した大きな大きな問題だと認識せざるを得ない。
 なぜなら、この被害に遭った少女は、大臣も御承知のとおり、被害に遭ったら七十二時間内に何らかの措置をしないと望まない妊娠をする可能性があるわけですよ。だから各県に設置されているワンストップ支援センターというのに紹介するなり案内するなりするわけでしょう。だから、今回の件はそういったことがちゃんとなされていたのかすらよく分からない。もしみんなで情報を共有していれば、恐らく、私は、警察庁は当然の仕事として被害者をそういう支援センターに届けたと思いますけれども。当然の仕事として、みんなで共有して、みんなで対策を取らないといけないはずです。
 アメリカ軍は、こういった事件があった場合には、門限を設けたり、外出禁止措置をしたり、あるいは飲酒制限をしたりするんですよ。そして、緊張感を高めて警戒レベルを上げていく、それによって犯罪抑止を利かす。
 今回、あの事件の後、何件同じようなレイプ事件が起きていますか。不起訴になったのも含めると五件起きたというふうに報道されています。この五件は、もしかしたら私たちの努力によって防げたかもしれないんですよ。何で、そんなことを全くやらずに、あたかも警察から非公表でありますからということだけでこの委員会で答弁なさるんですか。余りにも責任を認識されていない、大臣。
 どうですか、大臣。今回の外務省の事務方の判断、正しかったんですか。エマニュエル大使にまで申入れをしないといけない事案であるということは当然認識なさっている。しかし、大臣にいつ報告が上がったのか分かりません、言えません、捜査に関係しますから。しかし、捜査当局は、まあ、どういうことでしょうね、大臣に上げたのがいつだったのかというのを報告することが、本当に捜査に支障が出ると思っているのでしょうか。
 これは当然、発生時から起訴段階、あるいは、すぐに対応しなければいけないので、発生とほぼほぼ同時に通報がなされて、大臣の下に行って、政府を挙げて予防措置を、予防する機能を立ち上げましょうとかということを、音頭を取るのがこのお二人じゃないですか、両大臣じゃないですか。今回の件は全く責任を感じておられませんか、大臣。本当に事務方のこの勝手な判断を大臣は看過されるのでしょうか。ちょっと認識だけ教えてください。


○上川国務大臣 まず、これまで、米側から日本政府に対する通報を受けた後の日本側の内部における情報共有に当たりましては、個別具体的な事案の内容に応じて適切に判断して対応しておりまして、特に被害者のプライバシーに関わるような事案につきましては、関係者の名誉、プライバシーへの影響、将来のものも含めました捜査、公判への影響の有無、程度も考慮をし、慎重な対応が求められるものとの理解の下で対応をしてきているところでございます。そういう中で、今般の事案につきましてもそのような対応をしてきたものと承知をしております。
 この案件につきまして、非常に私、先ほど申し上げたように、人の尊厳に関わる重要なことである、こうした認識でありまして、こうしたことが二度と起こらないような対応につきましては、全力を挙げてこの問題について向き合ってまいりたいというふうに思っております。


○屋良委員 言葉と実行が全く真逆だなという気が本当に残念ながらしております。
 だから、日米合意があったときには、もうすぐに対応しましょうねと。それは、プライバシーの保護は当たり前の話ですよ。そんなことを私たちは聞きたいわけじゃない。今回、何でこの予防措置の対応ができなかったのか、それが機能しなかったのかというのが問題であります。
 委員長、一つお願いがあります。今回の、いつ大臣に情報が上がったのかすら分からない。これは、委員会で是非、経緯と、その上げなかった理由を報告するようにお願いしたいんですけれども、いかがでしょう。お願いします。


○小泉委員長 後刻、理事会で協議いたします。


○屋良委員 ありがとうございました。