2024年3月12日 衆議院 安全保障委員会 屋良朝博

■沖縄の基地の負担軽減について

質問内容についての要約

沖縄の基地の負担軽減について質問。

議事録

 第213回国会 衆議院 安全保障委員会 第2号 令和6年3月12日

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○屋良委員 立憲民主党の屋良朝博でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は、大臣所信の関連質疑ということで、沖縄の基地の負担軽減について焦点を当てて質問させていただきたいと思います。
 まずは辺野古の問題ですけれども、資料一に現状をちょっとまとめてみました。問題意識をちょっと共有させていただきたいという思いからでございます。
 埋立ては六年目に入っているんですけれども、進捗はまだ僅か全体の一六%である。残り八割の埋立てを今後八年で終えて、十二年後には完成するということになっております。予算は、当初の三千五百億円から約三倍の九千三百億円に膨らんでしまっている。ところが、既に、およそ半分の四千三百十二億円を消化してしまった。予算をオーバーするという指摘に対して、木原大臣は、将来のことは断定できず、予断を持って答えられないと答弁をなさっている。
 現在のペースで続くとすれば、およそ三十年後ぐらいになるんじゃないかというふうな見積りもあります。予算も、現在のペースで進むとすれば、単純計算ではございますけれども、二兆七千億円ぐらいに膨らむかもしれない、当初予算の約八倍。大阪万博が一・九倍の二千三百五十億円で、かなり新聞紙上をにぎわせていますけれども、辺野古はちょっと比較にならないような公共事業で、新しい基地を使おうとしているアメリカ側からは、滑走路が短過ぎるということで不満が聞こえてきているというようなことなので、辺野古の計画はもう既に破綻しているのじゃないかというふうに私は考えておるところでございます。
 そして、予算委員会で木原大臣と審議をさせていただいたことの少し深掘りをさせていただきたいんですけれども、辺野古の埋立てを始める前に軟弱地盤が広がる地域の土質調査をしなかったことについて、木原大臣は、予算委員会で、二〇〇七年までに実施した土質調査の結果、計画地で確認された沖積層の土質については粘性土ではなく砂れきなどであったことから、埋立承認申請を行う前の設計段階で更なる土質調査を実施しなかったというふうに答弁されております。
 つまり、砂地というのは固いから、埋立申請を行うに当たっては土質調査は必要じゃないというふうに考えたということだと受け止めましたけれども、大臣、その認識でよろしいでしょうか。


○木原国務大臣 予算委員会でもやり取りをさせていただきましたけれども、二〇〇七年、平成十九年の報告書にある、いわゆる軟弱な沖積層との記載でございますけれども、一般的には、沖積層が他の地層と比較して軟らかい場合があることを表現していることというふうに申し上げました。地盤改良工事が必要となる地層であることを意味するものではないということも改めて申し上げます。
 その上で、沖縄防衛局においては、普天間飛行場代替施設建設事業に係る埋立承認願書の作成に当たって、設計段階において必要な調査を行い、御指摘の沖積層についても認識した上で検討を行ったものであります。
 二〇〇七年までに実施した土質調査の結果、計画地で確認された沖積層の土質については、申し上げたとおり砂れき等であり、圧密沈下を生じるような、そういった粘性の土層は確認されなかったことから、設計段階では更なる土質調査を実施しなかったところであります。
 沖縄防衛局は、この地層の存在についても、平成二十五年、二〇一三年の埋立承認願書に記載するとともに、その審査過程において施工段階でボーリング調査等の必要な土質調査を実施することを沖縄県に説明した上で、沖縄県知事から埋立承認を得たものと承知しております。
 その後、施工段階で必要な調査検討を行った結果、地盤改良工事が必要であることが判明をしたので、同工事の追加などを行うこととしたところであります。
 沖縄防衛局の対応ですけれども、それぞれの段階において必要な調査検討が行われたものというふうに考えております。


○屋良委員 今大臣が説明された、二〇〇七年までに実施した土質調査の結果、更なる調査は必要ないというふうに判断されたということなんですけれども、その調査というのは、軟弱地盤が見つかった大浦湾側ではなくて、二つありますよね、大浦湾側と辺野古側。辺野古側というのは比較的浅い、しかも土質は固い。ところが、軟弱地盤が見つかった大浦湾側というのは、水深九十メートル、軟弱地盤が広がっているということが分かったのがその後なんですけれども、今大臣が説明された認識というのは辺野古側で行った調査を基にしたものであって、大浦湾側のボーリング調査のデータは持ち合わせていなかったというふうな受け止めでよろしいでしょうか。


○青柳政府参考人 これは必ずしも辺野古側のものではございませんで、過去実施したボーリング調査、そのうち四本の調査結果を取りまして、更に、それに加えて二〇〇七年に音波探査ということで幅広く音波で探査をし、この二つをもって土質の調査をしたということでございます。


○屋良委員 その音波探査の結果が実に驚くものでありまして、資料二でございます。
 軟弱地盤、〇七年に既に分かっていたという報告書、今説明いただいたとおりでございますけれども、防衛局は、広く深く軟弱地盤が分布しておって、精密に調査をする必要性があるというふうなことを認識していたというふうなことでございますけれども、これは埋立申請をする六年前の調査なんですね。
 この記事の基になったのが、資料、一つ飛ばしてもらって、四でございます。シュワブ地層調査、シュワブというのは辺野古のことでございます、報告書、これは防衛局が作成したものですけれども、まとめの方の今後の課題として指摘されているのは、括弧一の少し後段になります。今回の解析に用いた既存の資料は辺野古海域のものであり、大浦湾海域の地質構造を精度よく把握するには情報が少なく、不確定さが残る。括弧二、そこで軟弱地盤が広く、厚く分布している、なので、設計、施工に当たってはしっかりとその状況を把握した方がいいですねというふうに自らの報告書で書いてある。それをするためにはボーリング調査が必要ですよというふうに自ら行った調査ではっきりと明記しているにもかかわらず、それを行わなかった。
 なぜでしょう。なぜ調査を行わなかったんでしょうか。お答えください。


○青柳政府参考人 まず、御指摘の報告書でございますけれども、これは連名の形になっていますけれども、これは単に我々が委託した業者から我々が受け取ったものというものでございまして、会社の方で連名の形にはしてありますが、単に、これは業者が作った報告書ということでございます。
 その上で、埋立承認願書の作成に当たりましては、沖縄防衛局におきまして、設計段階で必要な調査を行い、御指摘の沖積層についても認識の上で検討を行っているものでございます。
 沖縄防衛局は、この地層の存在につきましても、平成二十五年の埋立承認願書に記載するとともに、その審査過程におきまして施工段階でボーリング調査等の必要な土質調査を実施することを沖縄県に説明した上で、知事から埋立承認を得たものと承知してございます。
 その後の施工段階で必要な調査検討を行った結果、地盤改良の工事が必要であるということが判明し、その工事の追加を行うこととしたところでございます。


○屋良委員 今、少しびっくりですけれども、連名であって、コンサルタント会社がやったので、その結果を共有していませんということですか。もう一度お答えください。


○青柳政府参考人 共有していないということではございませんで、委託業者から受け取ったものでございまして、我々は十分それを認識した上で、様々なその後の作業をしているということでございます。


○屋良委員 質問に答えられていないんですけれども、なぜ事前の調査を行わなかったのか。皆さん共有したわけですよね、この調査結果を。この調査結果ではボーリング調査をしなさいと書いてあるじゃないですか。もう一度お願いします。

○青柳政府参考人 防衛省といたしましては、先ほど申し上げたボーリング調査、そしてその後の音波探査、これで設計段階においては十分な調査を、土質調査をしたと考えてございまして、それを基に承認の願書を作成したということでございます。


○屋良委員 だから、全然答えられていなくて、これは、やりなさいと書いてあった、だけれども、防衛省はこれで十分足りると思った、その段階で。
 私の質問は、何でやらなかったのかということです。二〇〇七年の調査ですよ、結果は。埋立願書の提出は二〇一三年じゃないですか。その間、六年時間があったわけですよ。十分にできたはずです。なぜやらなかったんですか。


○青柳政府参考人 この点は、先ほど大臣からも御答弁ございましたように、我々としては、十九年、二〇〇七年までに実施した土質調査の結果、計画地で確認された沖積層の土質、これについては砂れき等を中心としたものであるということであって、圧密沈下、すなわち沈むということが生じるような粘性土質は確認されなかったということでありますので、設計段階では更なる土質調査を行わなかったということでございます。


○屋良委員 結果論でいえば、その見立ては大間違いだったということじゃないですか。だから、今、設計変更して大規模な地盤改良工事をやらないといけなくなってしまった。幾らかかるか分からないという公共工事、こんな公共工事、過去にあるのかということです。防衛施設行政は本当にこれで大丈夫かということですよ。大変大きな問題でございます。
 それで、その認識を基にした大臣の答弁ですけれども、本当にその認識で、施工段階でボーリング調査をやればそれで足りるという、それで突っ走った結果、今じゃないですか。こんなに大騒ぎをして、その結果、アメリカ側は、滑走路が短いからこれはちょっと使いものにならぬなと言い始めているというような現状でしょう。誰のための、何のための公共工事ですか。今、四十三兆円を使おうとしているじゃないですか。本当に大丈夫ですか。恐らく全国でいろいろな工事があるでしょう、防衛省主導の。今のようなやり方で、見通しもない、やってみた、行き当たりばったり、軟弱地盤が見つかった、ほら、地盤改良工事だということで今大騒ぎしている、本当にこれでいいんでしょうか。
 そして、沖縄県とのやり取りで、施工後にボーリング調査をやりましょうねというふうなことを確認したと先ほど説明されましたけれども、沖縄県からは、その申請の願書受付のときに、このような問合せが来ているはずです。地盤の液状化や沈下の可能性を適切な手法により評価する必要がある、評価結果について御教示ください。だから、液状化と地盤沈下は起きませんよねというようなことを確認しているわけですよ。当然でしょう、許可権限者だから。施工者が大丈夫だと言っているけれども、本当に大丈夫ですかというようなことを聞いたわけですね。
 防衛省は何と答えたかというと、計画地の真下で圧密沈下は生じないものと想定しています、施工段階で地質調査などを実施し、地盤の物理特性、力学特性を把握し、液状化及び地盤沈下の有無を確定する予定ですと。あくまでも工事を始めてから確認しますよと言っているけれども、その前段で、沈下は起きませんと先ほど説明されたんですけれども、あの調査結果というのは、あくまでも辺野古側。今、先ほどおっしゃったのは一九九七年のボーリング調査、B―1地点でしょう。しかし、それは、この二〇〇七年で明らかになった、広く、厚く広がっている地盤沈下はカバーしていないんですね。音波調査によってその存在を分かっていますということが二〇〇七年のこの報告書なんですよ。
 分かっていながら沖縄県に対しては大丈夫ですよと言って、そして埋立許可を得た、これがその当時のやり方だったんじゃないでしょうか。もうちょっと厳しい言い方で言いますと、これは詐欺的な手法だと私は受け止めております。
 防衛省は、辺野古側の調査を基に、地盤の固さを示す指標、N値が十一だというふうに説明しています、沖縄県に対して。一般的に、その強度では家など小型建造物しか建たないはずです。中低層マンションでもN二十以上が望ましいとされているわけですね。N十一とした根拠も、今説明しました一九九七年に実施したボーリング調査から引用したものですよね。防衛省、そこを確認をお願いします。


○青柳政府参考人 お答えいたします。
 本事業におきます土の強度につきましては、国土交通省港湾局が監修する「港湾の施設の技術上の基準・同解説」、これに準拠して設定してございます。
 埋立承認願書の作成に当たっては、沖縄防衛局が設計段階において必要な土質調査を行った結果、先ほど申しました沖積層の存在が確認されたものの、その土質が砂れき等であったということから、埋立承認願書の添付図書である設計概要説明書の土質条件の一覧表において、そのN値の平均値を記載したものと承知してございます。
 その後、施工段階におきまして必要な土質調査を行った結果、大浦湾側の地盤の一部に地盤改良が必要となる粘性土層が確認され、その一部のN値がゼロであったということで承知してございます。

○屋良委員 そのN値十一を引っ張り出した根拠ですけれども、平均値と言いましたね、今。その平均値を取る中では、N値が二とか三とか五とかもあるんですよ。一桁台のN値だと何にも建ちませんよ。
 そして、実際にボーリング調査をした結果、何とゼロ値もあったということですね。ゼロ値、マヨネーズ状、棒を立てると、ずぶずぶずぶっと沈んでいくぐらい。そこに何が建つのかということなんですね。だから、その設計を変更する始末になった、これは間違いないですか。


○青柳政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますけれども、最初の承認願書作成に当たっての土質調査、これは、ボーリング調査、そして音波探査、面的に音波探査で、どこにどういう土質が分布しているかというのを我々は確認して、そのときに、やはり砂れきが中心だったということから、これは地盤改良を必要とするものではないという判断をしたところでございます。


○屋良委員 これは何千億もかかるという大規模事業ですよ。事実を隠蔽、まあ隠蔽もちょっと厳しいかな、でも、そのとおりだと思います、隠しながら事業を進めていった。沖縄県から埋立許可を得るために、N値も十一と、割と固いよと言っている、圧密沈下も起きないよと言っている。しかし、ちゃんと調べてみたら沈下しますから地盤改良工事をしますと言っているわけですね。
 これは、やはり安全保障のことだから、無理をしてでもというふうな考え方であったら安保政策は国民の信頼を失いますよ、恐らく。より不安定になるでしょう。それは、いろいろ、イージス・アショアの問題もあったし、グローバルホークも根っこは同じじゃないかなと。ほかに方法がありません、唯一ですというのは、恐らく防衛行政の思考停止、怠慢じゃないのかなというふうに私は思っております。
 もし時間があれば別の方法についても御議論させていただきたいんですけれども、次の質問、もう時間もありませんので移らせていただきたいと思います。
 もう一つ、防衛行政のまずさを象徴するのが、沖縄県の中部地域にありますうるま市の陸上自衛隊の訓練場新設計画でございます。
 地元は大変強く反発しております。沖縄県議会が白紙撤回を求め、決議しました。うるま市長も反対を表明しています。地元自治会連合会も、これは駄目だと言っている。それでも白紙撤回はないと木原大臣は発言を繰り返しておりますけれども、地元の反対を押しのけて、沖縄で自衛隊基地も確保するんでしょうか。地元の状況を事前に把握していなかったのかということですけれども、大臣、どうでしょう。


○木原国務大臣 一点だけ、先ほど御指摘があったので補足しておくと、オスプレイの滑走路の長さですけれども、最大離陸重量というのは千五百メートルなんですが、今回の計画滑走路は千二百なんですけれども、両脇にオーバーラン用に三百メートル、三百メートルということで千八百ございます。これについては日米双方で合意している、その下で運用するということは合意できているということだけ申し上げておきます。
 それから、うるま市における陸自の訓練場の整備の件ですけれども、地元から厳しい意見をいただいているものというふうに認識をしております。防衛省としては、しっかりと受け止めなければならないと考えています。
 その上で、省内における所要の検討、調整を行った結果として、地元調整プロセスとしては、昨年十二月に、うるま市に対する説明を行いました。また、その後には、うるま市からいただいた御要請、今度はうるま市側から二月十一日に近隣住民の皆様を対象とした説明会をということでしたので、それも開催いたしました。
 そして、その後に、私も実際に沖縄本島にも参りました。その後、また、地元の皆様に対する丁寧な説明、適切な情報提供を行っていくということが大変重要であるとの考えを新たにし、こうした考えの下で、また地元調整のプロセスを進めているところです。改めて検討を行いながら、また結論が得られた段階で地元の皆様に丁寧に説明したいと考えています。


○屋良委員 あの地域、大臣、御覧になられたということですけれども、住宅地が近くにあって、しかも、青少年自然の家があって、ほぼほぼ毎日、県内あるいは県外の児童生徒がそこで宿泊学習をする。自然観察をする。トレッキングもするんですね、近くに小さな山がありますので。そういった活動をしているんですね。そこで訓練場を造るという。実は一昨日も、日曜日、自衛隊のミサイル部隊が沖縄に配備されるということで、もう地域は大騒ぎでした、反対運動する人たちもいるし。この訓練場の問題は、火に油を注ぐような、そんな感じの受け止めなんですね。
 これは、省内で見直しを検討するというんですけれども、地域住民に対して、地域住民の生活に影響のないような見直しをなさるのであれば、どのような方向性、どのような問題意識を持ってなさるのかというのを、もう時間も来ましたので、最後に、大臣、御説明いただきたいと思います。


○木原国務大臣 石川のゴルフ場跡地も、沖縄本島を訪問した際に、ヘリから上空で実際に見ることによって、その位置関係というのも私もしっかりとこの目で確認をいたしました。
 その上で、住民生活との関係、先ほど教育施設もあるというのも、その建物も見ましたけれども、その関係を重視して検討するということを申し上げているわけでございますけれども、取得した土地の利用の在り方について、更に幅を広げて、あらゆる可能性を排除せずに検討していくということを申し上げたいと思います。


○屋良委員 ありがとうございました。