2023年12月11日 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 屋良朝博

■うるま市自衛隊訓練場整備計画ついて

質問内容についての要約

屋久島沖のオスプレイ墜落について質問。

議事録

 第212回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 令和5年12月11日

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○屋良委員 立憲民主党の屋良朝博でございます。
 十月の九州比例区で復活当選をさせていただきました。久しぶりの国会でございます。緊張もしております。よろしくお願いいたします。
 まず、これは質問通告はちょっとしていないんですけれども、土曜日の夕方でしたかね、報道がわっと入ってきておりまして、自見大臣の寄附の問題が報道されておりました。それについて、最初、冒頭少し質問をさせていただきたいと思います。
 さきの参議院選挙で、国取引のある業者から寄附金を受け取ったというふうに報道されました。大臣、その経緯とその対応策、よろしくお願いします。


○自見国務大臣 お答えいたします。
 私の政治団体でございますひまわり会におきましては、お尋ねの法人から、令和四年六月二十二日に六十万円の寄附を受けていたところでございます。この法人からは、国との間で請負その他特別の利益を伴う契約の当事者とはなっていない旨を再三確認した上で寄附を受けたところでございまして、寄附を受けた当時は、この法人が国との契約当事者にあることは承知をしてございませんでした。
 また、この寄附は、日頃の政治活動の支援として定例的に、あくまで一般的な寄附として受けたものであり、参議院選挙に際して受けたものではなく、法的な問題はなかったと認識はしてございます。
 しかしながら、有権者の皆様の誤解を招くことが万が一にもあってはならないと思い、既に返金をしたところでございます。


○屋良委員 自見大臣、これまでにもよく事務的な記載漏れとかというふうな報道がなされているということを言われておりますけれども、ざっと並べてみるだけで、結構たくさんあって、実は箇条書できなかったほどなんですけれどもね。そう言ったら失礼かもしれませんけれども。
 最近の問題でいうと、二階派の志帥会へのパーティー券の上限超えの問題、これは最近報道されているものなんですけれども、その報道の中で見る限り、収支報告書の記載漏れもあったんじゃないかというふうに言われておりますし、明細書の下の方に手書きで会費というふうな記述もあるにもかかわらず、支出項目には組織活動費、交際費と分類されているというふうな報道もなされております。
 そもそも、パーティー券というのは個々の参加者が支払わないといけないんだけれども、それをまとめて寄附という形でやっていいものかどうか、そして、それを組織活動費として分類することの処理のおかしさが指摘されている、そのための報道だったと思います。今注目を集めているというか問題視されているのが裏金づくりなんですね。このやり方でもしかしたら裏金がつくられていたのではないかというふうな問題提起もあるわけですよ。
 大臣、その辺について、何か御説明があればお願いします。


○自見国務大臣 お答えいたします。
 御指摘、お尋ねの件でございますが、当時の担当者が既に退職をしているということがございまして、現在、弁護士を通じて事実関係を精査中でございます。
 なお、支払いがされた時期でございますが、パーティーの開催から相当期間を経過した後であったということ、また、志帥会側からは、パーティー券の買取りを求められたことはなく、あくまでパーティー券の購入者を募ることを託されたにすぎないなど、これまでに確認された事実関係などを踏まえますと、現時点では、志帥会よりパーティー券百枚分の参加者を募ることを託されたものの、コロナ禍の影響もあり十分な参加者数を募ることができなかったことから、事後に相応の財政支援をするために自発的に寄附したものと判断される旨の見解を弁護士からいただいているところでございます。
 必要な費目の記載については、選管などに相談の上、適切に対応してまいりたいと思ってございます。
 なお、一番最後にお尋ねをいただきました志帥会の対応につきましては、お答えする立場にはございません。


○屋良委員 このパーティー券の問題ですけれども、百人分を真面目に売ると二百万円、そうすると、その段階で既に上限を超えてしまうというふうな。これは、私、余りこの世界は長くないので、それをよく理解できていなくて、何でこういうふうな仕組みになっているのかと。そもそも、最初から上限超えを想定したパーティー券の配分だったのかということもよく分からないということがあって。
 今本当に、政治と金の問題が取り沙汰され、国民の不安そして不信を買っているという状況でございますけれども、昨日の報道では、松野官房長官が更迭されるという前代未聞の政治資金疑惑が浮上して、官房長官だけではなく、西村経産大臣、萩生田政調会長、高木党国対委員長、世耕参議院幹事長が更迭されるというふうな報道もなされているわけですね。
 自見大臣がこれほど多くの、記載漏れも含めた問題が提起されている中、大臣も更迭のリストにラインアップされないことを私は願っているわけですけれども、大臣、ここで自らの潔白を明らかにしていただきたいんですけれども、どうか、御説明も含めて、今回の事態、どのように受け止めているのか、よろしくお願いします。


○自見国務大臣 まず、お尋ねの件につきましては、これまでに確認された事実関係を踏まえますと寄附に当たるものと判断される旨の見解を弁護士からいただいており、パーティー券購入の代金の上限については関係しないものと考えてございます。
 現在、専門家にも依頼をいたしまして、再度点検を進めているところであり、点検作業が終わり次第、速やかに対応したいと思ってございます。
 いずれにいたしましても、過失ということもございますが、不明を恥じております。同様の誤りが起きないよう、適切な事務処理にしっかりと努めてまいりたいと思ってございます。


○屋良委員 国民の信頼を失う、そうすると政治が動かなくなってしまうということなので、しっかりと御対応をお願いいたします。
 それでは、本来の質問に入らせていただきたいと思います。
 せっかくの北方委員会なので、沖縄の振興策とかいろいろ質問したいという気持ちはあるのですけれども、しかし、先月の終わりにオスプレイが落ちちゃった。これは、アメリカ兵が八人の人命を失ってしまったという大きな事故で、八人の方々には本当に御冥福をお祈りしたく、そして、御家族にはお悔やみを申し上げたいというふうに思っております。
 このオスプレイですけれども、これまでも何度も何度も落ちている、墜落があって、大変多くの人命が失われ、これは製造過程、設計過程から構造上の問題が指摘されているものです。
 そして、八人の人命を失ったという今回の屋久島沖の事故がありましたけれども、上川大臣、今回なぜ飛行停止を求めなかったのかということを御説明いただきたいんです。二〇一六年の墜落事故がありました。名護市でありましたけれども、そのときには、当時の外務大臣、岸田現総理は、即刻飛行停止を当時のキャロライン・ケネディ駐日大使に求めているんですね。今回なぜ飛行停止を求めなかったのか、御説明ください。


○上川国務大臣 米国東部時間で十二月五日でございますが、米軍は、捜索救助活動を終了することを決定し、乗員八名全員の死亡を認定したと承知をしております。
 日本政府と米国政府の協力の下、捜索救助に全力を尽くしてきましたけれども、全員が無事に御家族の元に帰ることができなかったことは誠に残念であります。今回死亡が確認された八名の乗員は、我が国及び地域の平和と安全を維持するため日夜任務に献身していただいた方々でありました。日本政府として、亡くなられた八名の方々に対し、心より哀悼の誠をささげ、生前の日米同盟への献身に感謝申し上げたいと存じます。
 二〇一六年の名護市沖のオスプレイの事故の際には、政府から米側に対しまして、安全が確認されるまでの飛行停止を要請をいたしたところであります。
 今般の事故におきましては、十一月三十日、私からエマニュエル駐日米国大使への働きかけの中で、オスプレイの飛行につきましては、捜索救助活動を除き、飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うように求めたところでございます。これに対しまして、エマニュエル大使からは、米国にとりまして米軍人と日本国民の安全こそが最重要課題であり、現在、事実関係を捜査中でありますが、引き続き、日本政府と緊密に連携し、透明性を持って情報共有を行っていきたい、この旨の発言がございました。
 米軍は、日本時間十二月七日、十一月二十九日のこのCV22の墜落事故を受けまして、CV22及びMV22を含む全てのオスプレイにつきまして運用を停止する旨発表したところであります。
 いずれにいたしましても、政府としては、米側に対しまして原因究明と日本側への情報提供を求めております。引き続き、米側と緊密に連携してまいりたいと考えております。


○屋良委員 今の御説明の中でも明らかなんですけれども、飛行停止という言葉が伝わっていないという現状があったというふうに思います。これは、外交上、一貫性が問われるんじゃないかなというようなこともあるんですけれども、安全性を確認して飛ばしてというのはごくごく当たり前の、常識的な話だと思うんですけれども、この飛行停止を求めなかった、岸田外務大臣が行った要請との差がある。
 この差がなぜ生じたのか、上川大臣、もし御見解があれば御説明ください。


○上川国務大臣 繰り返しになるところでございますが、私からエマニュエル駐日米国大使に対しましては、オスプレイの飛行については、捜索救助活動を除き、飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うように求めたところでございます。先ほど来御質問への回答で申し上げたとおり、エマニュエル大使からは、米国にとりまして米軍人と日本国民の安全こそが最重要事項である、現在事実関係捜査中、調査中でありますが、引き続き、日本政府と緊密に連携し、透明性を持って情報共有を行っていきたい旨の発言がございました。
 今申し上げた限りでございます。


○屋良委員 答えがいただけていないというふうに私は今思っております。先ほども言いましたけれども、安全性の確認というのは当たり前の話で、乗り物に関しては。バスやタクシーの運転手も、運転、乗車する前に恐らく安全は確認した上で運行しているというふうに一般的には思われているわけで、今回の日本側の要請というのはアメリカにうまく伝わらなかった、だからワシントンでの記者会見で報道官の説明との間にそごが生まれていたというふうなことだったと思いますけれども。
 陸上自衛隊は、事故の翌日、十一月三十日にオスプレイの飛行を停止しております。そして、アメリカ空軍も、その翌日、十二月一日には東京・横田基地にあるオスプレイを飛行停止しました。
 事故の翌日、私、地元に帰ってびっくりしたのは、那覇市の市街地の上空をオスプレイが飛んでいたんですね。そして、高速道路で走っていると、今度は低空でこの高速道路を横切るオスプレイ、もう下から私、眺めたんですね。これはちょっとぞっとしましたよ。何で東京や千葉の飛行停止と沖縄の現状が違うのかというふうに心底思いました。
 アメリカ軍が全世界で飛行停止した今月六日までに、オスプレイが普天間飛行場で飛行したのは百二十回、嘉手納基地では二十八回離発着が確認されています。その全ては安全が確認されたから飛ばしたんだというふうに上川大臣はお考えなのでしょうか。もしそうであるなれば、その根拠をお示しください。


○上川国務大臣 政府といたしましては、我が国における米軍機の運用に際しまして、安全性が最大限確保されることは当然のことと考えているところであります。
 十一月三十日、私からエマニュエル大使に申し上げたところでありますが、これを受けまして、米側からは一日に、今般事故を起こしたCV22の飛行を現在行っていないこと、そして、事故に関する可能な限り詳細な情報を透明性を持って日本政府に共有する旨の説明があったところであります。また、日本に配備されている全てのオスプレイにつきましては、徹底的かつ慎重な整備と安全点検を行った上で運用されていると説明を受けているところであります。
 さらに、四日でありますが、全てのオスプレイの部隊は、CV22の事故をしっかりと踏まえた上で、安全点検及び予防的な整備を継続的に行っているとの説明も受けたところであります。
 そして、米軍は十二月七日、これは日本時間でありますが、この十一月二十九日のCV22の墜落事故を受けまして、CV22及びMV22を含む全てのオスプレイについて運用停止する旨発表し、徹底的な調査を行うと。
 そうした状況で今に至っている状況でございます。


○松木委員長 大臣、多分沖縄とその他の地域が違ったということに対しての質問だったと思うんですけれども。上川大臣、もう一度お願いします。


○上川国務大臣 沖縄県の知事を始めといたしまして、複数の関係自治体の長などから、MV22を含みますオスプレイの飛行停止について要請があった状況の中でございます。政府としてのやり取りの中で、私が先ほど来申し上げてきた状況でございまして、その上で、我が国におきましては、米軍機の運用に際しましては、安全性が最大限確保される、こうしたことについて申入れをしてきたところでございます。
 今御紹介がありました、そうしたことにつきましては、米軍の状況でございますので、私の方からそれにつきましてお答えをするということは難しい状況でございます。


○屋良委員 それなら、安全性を確保した上で飛ばしてくださいと言うのも、これはアメリカ軍の運用に関わることですよ。とは思いませんか、大臣。
 ですから、安全性を確保した上で飛ばしてくださいという言い方も、MV22が普天間で飛行しているということについて何も言えないというのであれば、その全体の運用について日本が何か言えるかというと、今の大臣のお話では、言えないということです。協力は求めるけれども、まあ、東京や木更津では飛行停止をした、しかし、沖縄で飛行が続いていることについて日本政府としては何らアクションを起こせないということだというようなことを今大臣はおっしゃったと思いますけれども。負担軽減とかいろいろ政府はおっしゃいますけれども、こういう危機的な状況、危機管理の上で、じゃ、沖縄は別扱いされていたということで受け止められるわけですね。それが今回の問題でもまた明らかになった。
 大臣、今おっしゃいましたけれども、全世界のオスプレイの飛行を停止したのは、初期調査で機材に問題があった可能性があるというふうなことが、可能性が明らかになった、だから安全性を確保するまで全世界で飛行を停止したということなんですよ。
 大臣、先ほども玉城知事の要請があったということもありました。沖縄県議会でも、自民、公明を含めて全会一致で飛行停止を求める決議を可決しています。その決議の中には、県民に大きな不安と恐怖を与えているというような訴えもあるんですね。
 だから、どうも対応がまちまちだし、何年か前には飛行停止を求めて、今回はそれは文言に入れていない、それで安全性の確認を求めたんだけれども、その安全性の確認というのはごく当たり前の常識的な話であって、東京や千葉では飛行停止したけれども沖縄では飛び続けているというふうな事態なんですね。
 自見大臣は、外交、対米関係というか、交渉の担当者じゃないとは思いますけれども、大臣就任会見で沖縄の基地負担の軽減のために最善を尽くすということを約束されています。今回、地元のそういった不安、そして対応の違いがあるということに対する憤り、そういったものをお感じになっていたのかどうか。そして、もしお感じになっていたとするのであれば、大臣、就任会見のときにお話しされた言葉にのっとって、関係大臣とそういうお話、どうなっているんですかぐらいのアクションを起こされたんでしょうか。お答えください。


○自見国務大臣 まずは、今般の事故でお亡くなりになられた米隊員の御冥福を心からお祈りするとともに、御遺族の方々に謹んでお悔やみを申し上げたいと思います。
 お尋ねのオスプレイの事故につきましては、防衛省は、米軍機の運用に当たっては安全確保が大前提であると考えており、今回の事故を受けた地元の御心配や御懸念の声を真摯に受け止めていると伺っているところでございます。
 本件については、所管外であり、私の立場から具体的にコメントすることは差し控えたいと思いますが、その上で申し上げれば、沖縄振興を進める上で、住民の方々が安全、安心に暮らせることが大変重要であるということは言うまでもないと認識をしているところであります。
 オスプレイの飛行停止について県内の自治体から要請が防衛省にあったということは承知をしておりまして、私といたしましても、そのように地元の自治体から要請があれば、真摯に受け止め、速やかに関係省庁へ要請をお伝えする体制を取っていたところではございます。


○屋良委員 能動的なアクションが今回はできなかったというようなことだと私は思いました。
 今、普天間の状況というのは大変厳しい。隣接する小学校では、ヘリコプターのドアが落ちてきて、グラウンドに。グラウンドでは、シェルターを造って、飛行機の機影を見ると子供たちはシェルターに逃げ込むということが常態化されているんですね。こんな状態を放置して、そして、政府が言うのは、一日も早い危険性の除去だ、そのために辺野古の埋立てが必要だとおっしゃいますけれども、地盤が緩い、軟弱地盤が見つかったために地盤改良しないといけない、いつこの工事が終わるか、今よく分からない状態であるということなんですよ。
 今回の事故について、徹底的な原因究明、そして再発防止策が講じられるというまで飛行停止を政府として求めていくべきだと私は思いますけれども、上川大臣、もしその意気込みがおありであれば、お示しいただきたい。よろしくお願いします。


○上川国務大臣 まさに十一月三十日、直後でありますが、アメリカ政府に対しまして、駐日米国大使を通じまして、今、情報交換をしている状況でございます。先ほど申し上げたとおり、一連の動きの中で、当初申し上げた、捜索救助活動を除きまして、飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うように求めたところであります。
 駐日大使からも、飛行に係る安全が確認されてから求めるということに対しまして、アメリカからも、そのような状況の中で、今、やり取りが行われていると承知をしているところでございます。
 そして、米軍につきましては、この十二月七日に、CV22及びMV22を含め、全てのオスプレイにつきまして運用停止する旨の発表をしたところでございます。
 政府といたしましては、米軍に対しまして、様々なレベルにおきましてこの原因究明と日本側への情報提供を求めております。引き続き、米側とは緊密に連携してまいりたいと考えております。


○屋良委員 運用に口出しできないという立場を大臣、表明された後だけに、飛行停止を求めていくということが非常に厳しいということを私たちは受け止めざるを得ないということなんですけれども。
 地位協定で云々という外務省の説明がありますけれども、地位協定というのは主権と主権のせめぎ合いなんですよ、基本は。どこまで自分たちの主権を削っていくかという、それを地位協定で定めているという内容なんですね。
 海上保安庁さんに質問しようと思っていたんですけれども、これまで現場検証も、それから、その証拠物、事故機の検証も一度も許されたことがない。これは主権国として、本当にこれでいいのかということですね。ちょっと短めにお答えいただきたいんですけれども、なぜ日本は事故機の差押え、そして検証、捜索ができないんでしょうか。


○有馬政府参考人 お答え申し上げます。
 今先生がおっしゃられました論点につきましてでございますが、日米地位協定第十七条10(a)及び10(b)に関する合意議事録で、日本の当局は、通常、米軍機の機体のような米軍財産について、捜索、差押え又は検証を行わない旨、定められております。この規定は、米軍財産にはその性質上、高度な軍事性や機密性を有する場合があることや、その捜索や検証が徹底的かつ綿密に行われるためには、当該財産を所有し、それを熟知した米軍が一義的に取り扱うことが適当であること等を踏まえたものでございます。
 いずれにいたしましても、今般の事故につきましては、事実関係の確認及び原因究明に向け、日米双方で緊密に連携し対応してきており、これまでの対応において特段問題が起きたとは承知しておりません。


○屋良委員 日米地位協定合意議事録の中には、日本側が求めればということが前提だと思いますけれども、アメリカ側がそれを許せばできることというふうなただし書もある。それは御存じだと思います。ずっと地域の県警と海保はそれを求めてきているんですよ。それをちゃんと外交交渉の上に上げていないのは、皆さん、この地位協定とこの合意議事録はいつできたか、一九六〇年ですよ。もう半世紀以上も、同じ条文を基に主権を放棄している。この間、事前レクで伺いましたけれども、これは一般的な国際法なので、外国の軍隊の財産には、差押えも何も、捜索もできないんだというふうな説明を伺いました。しかし、これは一般的じゃないですよ。
 ちょっと時間も押しているんですけれども、私は昔、沖縄の、地元の新聞社で記者をしておりまして、地位協定を、いろんな国々に行って、現場で比較検証してまいりました。
 イタリアでは、事故機を差し押さえるんですね。
 一九九八年に、スキー場のスキー客を乗せたゴンドラが、ケーブルが切られて谷底に落ちちゃって、若者を含め二十人が即死したという事故があったんですね。このケーブルを切ったのはアメリカ軍のプラウラーという電子戦闘機で、機密性が物すごく高い飛行機なんですね。
 この飛行機、翼を少し損傷しましたけれども、自力で飛行場に戻ってきた。待ち受けたのが、イタリアの軍警察ですよ。軍警察がまず、これは証拠物件だということで差し押さえた。当然、アメリカ軍はその周りを囲って、これはアメリカの国防省の財産である、だから引き渡しなさいというふうなせめぎ合いがあったけれども、イタリアの軍警察は頑としてそれを譲らなかった。
 中まで調べているんですね、コックピットまで。コックピットの中を調べて分かったのは、パイロットがこの事故を起こす前後数分間のビデオ記録を消去していたという証拠隠滅が分かったんですよ。地域の検察はすぐさま基地を訪れて、パイロットをインタビューして、事情聴取して、地域の裁判所に、二十人の殺人罪と証拠隠滅罪で起訴しているんですね。起訴したんだけれども、地位協定によって第一次裁判権は放棄せざるを得なかった。
 だけれども、当時のイタリアの外務大臣、これもインタビューしたんですけれども、すぐさま電話でオルブライト国務長官に電話して、あれは事故じゃないぞ、いかれた操縦士の殺人事件だ、うちが裁判権を行使するからなというふうに言ったと、私に直接証言していただきました。
 これが主権を守るということじゃないですかね、大臣。相手の運用があるからということで、はっきり物を言わない。地域に格差が生まれているけれども、その現状、なぜそういう格差が生まれたのかも分からない。これをずっと、一九六〇年に締結した地位協定と合意議事録、合意議事録は国会承認を得ていません、それによってずっと拘束されて主権が奪われているという現状をそろそろ変えないといけない。
 もう時間が過ぎてしまって大変申し訳ないですけれども、大臣、主権の回復は、これは、基地に賛成とか反対とか、そんなものじゃないと思いますよ。この合意議事録だけでも変えていく努力をしていただけないでしょうか。最後にこれを質問したいと思います。よろしくお願いします。


○上川国務大臣 日米の地位協定第十七条10の(a)及び10の(b)に関しまして、合意議事録、これにおきましては、日米地位協定に抵触するような内容が含まれているとは考えておりません。
 こうした関連規定に従いまして、これまでも、米側からの協力を得ながら、日本側当局におきまして所要の調査や捜査も行ってきているものと承知をしております。
 今回の事故に係る日本側の対応に当たりましても、海上保安庁等の関係機関によりまして、米側の協力を得つつ、適切に対応されているものと承知をしております。
 日米地位協定、その合意議事録が障害になっているという認識をしておりません。


○屋良委員 ありがとうございます。
 海上保安庁さん、大変申し訳ございませんでした。皆さんの捜査権を是非とも守っていかないといけない、それが国家としてのありようだと思っておりますので、それだけ言わせていただいて、ちょっと時間超過してしまいまして大変申し訳ございません。
 ありがとうございました。