2025年5月29日 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 屋良朝博
■沖縄振興体制の在り方及び輸送コストに関する調査について質問。
質問内容についての要約
沖縄振興体制の在り方
沖縄の輸送コストに関する調査について質問。
議事録
第217回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 令和7年5月29日
○逢坂委員長 次に、屋良朝博君。
○屋良委員 立憲民主党の屋良でございます。
委員長、両大臣、よろしくお願いいたします。
本日は、沖縄振興体制の在り方について質疑をさせていただきたいと思っております。
今年二月の衆議院予算委員会第一分科会で、政府参考人から、令和四年度からハード交付金が減額されたことについて、財政当局から、沖縄県は、他の自治体においては国からの補助金によらず地方単独事業により実施していると考えられる事業を一括交付金により実施しているなどの厳しい指摘を受けましたという答弁をいただきました。
それをベースに質疑をさせていただきたいのですけれども、まず、沖縄県は大体毎年七百億円ぐらいのハード交付金を要望しておりますけれども、概算要求段階でほぼほぼ半分に削られます。財政当局が単独事業で実施できるとする予算規模は削られている半分に相当するのかどうか、そういうふうに理解してよろしいんでしょうか。よろしくお願いします。
○伊東国務大臣 屋良先生の御質問にお答えしてまいります。
ハード交付金、沖縄振興公共投資交付金は、県が自主的な選択に基づき実施する事業を推進するものであり、厳密な積み上げにはなじまない性質の交付金である、このように解釈をしております。
また、内閣府としては、第六次沖縄振興計画が開始をいたしました令和四年度以降、沖縄県や市町村が前年度と同水準の事業を引き続き実施できるようにするとの考え方を踏まえつつ、厳しい財政事情の中、所要額を確保してきたものというふうに認識しております。
○屋良委員 ですから、財務省の御指摘は、沖縄県もほかの自治体と同じように普通に要求して、そして予算を編成していけばいいんじゃないですかというふうな指摘を受けたので、概算要求に、積み上げにもなじまないというような答弁をいただいたと記憶しております。
この財務当局からの指摘というのは、例えば、地方債によって財源を調達して自治体の単独事業を拡大しても、元利償還金の一部が地方交付税の基準財政需要額に組み込まれて交付税で措置されるので同じじゃないですか、ほかの県がやっているようなもの、このようにやっているというふうな御指摘だったと私はそのとき理解したんですけれども、財務省の指摘というのはそのような趣旨で受け止めてよろしいんでしょうか。
○伊東国務大臣 御指摘いただきました政府参考人の当時の発言は、本年二月の衆議院予算委員会第一分科会において令和四年度の一括交付金が前年度と比べて減少した経緯を御説明した際に申し上げたものであります。
そのときの答弁でありますけれども、改めて申し上げますと、当時、一括交付金につきましては、財務当局から、沖縄県は、他の自治体においては国からの補助金によらず地方単独事業により実施していると考える事業を一括交付金により実施している等の厳しい指摘を受けていたところであります。そういう答弁をしたものでありまして、財務当局からの指摘内容を申し上げたものであります。
○屋良委員 繰り返しになりますけれども、だから、財務当局は、一括交付金も一括計上の中に入れなくても、普通の、普通のというか、ほかの県のように予算要求して、それで起債をするなり地方債を立てて事業展開するのもあるんだけれども、それも内閣府の一括交付金の中に組み込んでいるので、それは予算要求にはなじみませんよというふうに財務当局から言われたというふうな理解をしているんです。
確認ですけれども、そのような御指摘だった、財務省からの指摘だったよというふうに理解してよろしいんでしょうか。
○水野政府参考人 お答えいたします。
先ほど大臣が答弁されたのは、本年二月の分科会で、財務当局から令和四年度のときにこういう厳しい指摘を受けたものだということで答弁したものだということを今大臣は答弁されたということでございます。
今、屋良委員の方から、財務当局の指摘の趣旨ということだと思うんですけれども、財務当局からは、他の都道府県では、それこそ起債等、あるいは県単費でやっている事業もたくさんありますよということで、沖縄県は、もちろん単費もあるし起債するものもあるし一括交付金を使うものもある、手段がほかの都道府県と比べて一つ多いということで、そこが仮に減ったからといってまだほかに手段が、起債であるとか単費とかそういう手段がございますよねということで、そういう厳しい指摘を予算編成過程の中で受けていたということでございます。
もう一つ、積み上げにはなじまないというところは、これは財務当局の指摘とはまた別の話でございまして、結局、一括交付金というのは、県あるいは市町村の裁量で使途を決めていくものでございまして、なので、八月あるいは十二月の予算案を決めるときには国の方であらかじめ、県が何に使うか、市町村が何に使うかというのは全く決まっていないわけです、だから、この事業、この事業といって一個一個積み上げるというものにはなじまないということで申し上げているものでございまして、財務当局の指摘とこの問題は直接は関係ないということでございます。
済みません、長くなりました。
○屋良委員 答弁ありがとうございます。
とすれば、予算計上の方式を、内閣府の一括計上にこだわらず、他県と同じようなこと、同じような方式とすることを財務省も求めて、そして内閣府もそれに同意したので一括交付金のハード交付金は要求額の半分に削られているというふうな認識でよろしいんでしょうか。お願いします。
○伊東国務大臣 ハード交付金につきましては、県が自主的な選択に基づき推進するものであり、厳密な積み上げにはなじまないと今答弁したとおりであります。
内閣府といたしましては、第六次沖縄振興計画が開始をいたしました令和四年度以降、沖縄県や市町村が前年度と同水準の事業を引き続き実施できるようにするとの考え方を踏まえつつ、厳しい財政事情の中でありますが、所要額を確保してきたものであります。
○屋良委員 私の質問は、一括計上にこだわらなくていいんじゃないのと財務当局が言っていたということで、厳しい指摘を受けていると。沖縄県は、一括交付金の中に、あるいは一括計上の中に他府県では県単費、県単事業としてやっているのも含まれているので、それはちょっと厳しく、優先順位を決めて予算要求すればよかったんじゃないですかというふうなことを言われているので、予算を半分に削らざるを得なかったというような現状なのかなと思っていたんですけれども。
例えば、それが財務省が意図するものであったというふうなことであるのかどうかということを、内閣府はどのように御認識されているのかということを、もう一度、大臣、教えてください。
○齊藤政府参考人 お答えいたします。
他の県では単独事業で実施をしているものも含まれているのではないかという指摘に関しましては、要は、その部分に関しましてはそれぞれ単費で対応ができるのではないかというふうな御指摘、厳しい御指摘でございまして、一括計上以外の、別の予算を要求せよというふうな趣旨でおっしゃっていたわけではないということでございます。
○屋良委員 そうすると、ほかに方法はあるんでしょうか。
沖縄県は七百億要求しているんだけれども、それが三百五十億ぐらいの概算要求になってしまっているというので、沖縄県は、毎年毎年、夏の時期になると予算確保をお願いし、年末になると各省庁を回り各政党を回り予算要求をお願いしているんだけれども、なかなかそれが増えないというか、要望どおりにならない。そうしたら、県単費でやりなさいというふうに財務省に言われたので、そういうような厳しい指摘を受けていますということが現状ですというふうなことを政府参考人は委員会で御発言されたんです。
とすれば、一括計上に頼らずやったらどうですかというふうに言われた、なので、そこにシフトしていったらどうですかというふうなことを内閣府が考えているのであれば、そこにシフトしていくような流れというのはありじゃないのかなと私は思っているんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○水野政府参考人 失礼いたします。まず私の方からお答えをさせていただきます。
財務当局の指摘は、若干繰り返しになってしまうかもしれませんが、他の都道府県が県単費とか起債をするような形で行っている事業が、一括交付金でないとできないというふうに沖縄県は言っているけれども、いや、ほかの道もあるんじゃないですかということ、そういうことで指摘を受けているということです。
それで、今、いわゆる沖縄振興予算の一括計上方式というのは、他の公共事業でも一旦内閣府の予算でやってそれを各事業官庁に移替えして事業を執行してもらうということなんですが、その一括計上をもうやめてもいいではないかということまで財務当局は言っているわけではないし、我々もそれを求めているわけではないということだけ申し上げておきたいと思います。
○伊東国務大臣 では、私の方からは補足でありますけれども、沖縄振興予算につきましては、特別措置法の趣旨も踏まえまして、県を始め地元関係者の御要望等も幅広くお伺いした上で、国として考える必要額を積み上げたものであります。
一括交付金につきましては、地元自治体が、地域の実情に即し、自主的な選択に基づいて様々な事業を実施することが可能な予算であります。
なお、令和七年度の沖縄振興予算につきましては、玉城沖縄県知事を始め沖縄県市長会、町村会の方からも直接感謝の言葉をいただいたところでもありまして、こうした現状に鑑みれば、今の沖縄振興体制や予算につきまして抜本的な見直しを行う状況にあるとは考えておりません。
いずれにせよ、地元の声をしっかり伺いながら、沖縄振興予算あるいは税制等を活用し、沖縄振興を国家戦略として総合的、積極的に推進してまいる所存であります。
○屋良委員 財務当局は、一括計上に頼らずとも、県単でやってもできる事業があるというふうな御指摘があったということが私の質問のベースにあるんですけれども。そういうふうに政府参考人は答えていたので。その一括計上と、もう一つ、高率補助という制度があるんですけれども、この二つはリンクするんでしょうか。大臣、もしお答えが難しければ、政府参考人でもいいですよ。
○水野政府参考人 お答えいたします。
内閣府に沖縄振興予算、公共事業等を始めとして一括計上する一括計上方式と、沖振法に基づく高率補助というのは、ストレートにリンクしているわけではもちろんございませんが、沖縄振興特別措置法の制度として両方とも中心的な部分に位置づけられていますので、まさに沖振法の核となる制度だと私は思っております。
○屋良委員 一括計上は内閣府設置法ですよね。高率補助は沖振法ですよね。別々の法律ですよね。
もう一度聞きます。リンクするんでしょうか。
○水野政府参考人 大変失礼いたしました。
ということでございますが、高率補助と内閣府の予算の一括計上というのは、両者とも沖縄振興の重要な柱だと考えてございます。
○屋良委員 それは分かっているんですけれども、リンクするのかしないのか。答えていただけますか。
○水野政府参考人 大変失礼いたしました。
リンクするのかしないのか。いわゆる沖縄振興の制度の中で高率補助、それから予算の一括計上というのは、両方元々からあるというものでございますので、リンクしているかしていないかという問いがちょっと分からないんですが、非常に中心的な制度だということだと思います。
○逢坂委員長 屋良朝博君、リンクをしているという言葉の意味をもう少し丁寧に言った方がいいかと思います。
○屋良委員 はい。一括計上で予算要求しなければ、高率補助は使えないのかどうかということです。
財務省が、県単でやってもいいんじゃないのと言っているわけですね。それを、県単でやりますといったときに、沖振法の法改正をしなければ高率補助が使えるんじゃないのかというのが私の疑問なんですよ。一括計上をやめるときには内閣府設置法を変えないといけない。それぞれ別の法律なので。
一方、一括計上にのっからないものであっても、県単でやった場合、高率補助の制度が使えるかどうかということが私は知りたくて、そこをリンクしているんですかというような表現をさせていただいているんです。お願いします。
○齊藤政府参考人 お答えします。
今おっしゃった、県の単独事業で実施をする場合、高率補助が使えるのかというふうな問題意識だとお伺いしました。
それに関しましては、県の単独事業でございますので、補助というふうなものはございませんので、当然、高率云々にかかわらず、補助の事業ではございません。
したがって、単独事業でやる場合には、今実施をしているような高率補助というふうな仕組みの外でございます。
○屋良委員 そうすると、財務省の指摘というのは、一括計上でのっからないのは県単でやればいいじゃないかという話は、沖振法の高率補助にのっけるなよというふうな、切り離して全く単独でやれというような話だったというふうに理解されるんですけれども、それに対して内閣府がそうですねということで概算要求段階で半分に削るということは、財務省が言っていることはそのとおりですねというふうに言っているということですよねという質問。今伝わっていますか。
○齊藤政府参考人 お答えいたします。
令和四年の予算編成の際の財務当局からの指摘に関する認識といいますか、説明になりますけれども、他の自治体において県単独事業としてやっているものも含まれているというふうな指摘の趣旨は、一括交付金という沖縄の独自の制度、逆に言いますと、沖縄の独自の行政ニーズといいますか、そういったものに機動的に自主的に使える財源というふうなことで一括交付金という制度をつくってございますので、他の自治体で同じ事業を単独事業でやっている場合にそういった制度の趣旨になじむのかというふうな御指摘だと認識をいたしております。
○屋良委員 今、制度は別々なんだけれども、予算要求するときに、一括計上なり一括交付金の積み上げにはなじまないので、沖縄県が要求しているハード交付金の七百億円というのが半分に削られている。そうしたらどうすればいいのかというふうな話なんですけれども、これは議論がかみ合っていないような、私の方が悪いのかもしれませんけれども、かみ合っていないような気がするので、これはちょっとおいておいて。
鉄道事業について、国土交通省もいらしておりますので、残り時間が少なくなってきましたけれども、国土交通省は一括計上というふうな仕組みがなければ沖縄の鉄道事業に対応できないんでしょうか。
○岡野政府参考人 お答え申し上げます。
沖縄県の鉄軌道事業の構想についてのお尋ねというふうに承知してございます。
こちらの構想につきましては、現在、内閣府の調査において検討が進められているというふうに承知してございます。
どういった事業スキームを用いるのか等、具体化されていないという中にありましては、鉄道事業の許可の可否であったり、あるいは予算措置の可能性といったことについて、現段階で予断を持ってお答えするということは差し控えさせていただきたいというふうに考えてございます。
○屋良委員 様々手続があると思いますけれども、制度の中で沖縄県が直接国土交通省に事業認可を申請する。それで、様々条件が合えば、条件にはいろいろあるでしょうね、安全性が確保できるのとかいろいろあると思いますけれども、そういった審査を踏まえた上で、これは事業認可をしていいねというふうな結論に至ったときに、沖縄で鉄道は走るんでしょうか。どうでしょうか。
○岡野政府参考人 お答えします。
まず、一般論としまして、鉄軌道事業の許可等につきましては、法律に基づきまして、申請があれば、事業計画について、経営上適切なものであるのか、輸送の安全上適切であるのかといったことを総合的に勘案して審査の上、判断するというふうになってございます。
先ほども申し上げましたが、まだ今どういった事業スキームを用いるのかといったことについて具体化されていないという状況でございますので、どういった予算が使えるのかということについては私どもとしてはお答えしかねるところでございます。
いずれにしましても、沖縄における鉄軌道プロジェクトの検討につきましては、一義的には内閣府や沖縄県などの地域の関係者が行っていらっしゃるというふうに承知してございますが、今後、プロジェクトが具体化し、内閣府や沖縄県等から御相談がございましたら、関係者とも連携して対応していきたいというふうに考えてございます。
○屋良委員 今の予算のスキームでは、内閣府を通さないと事業化というのは難しいねというようなことだと理解しているんですね。
ちなみに、内閣府が今の沖縄県の鉄道事業を認めていない大きな理由にはBバイCがひっかかっているというのがあるんですけれども、鉄道事業の認可条件の中にBバイCは入っていますでしょうか。
○岡野政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたとおり、鉄道事業を経営しようとする場合には、鉄道事業法に基づいて、経営上の適切性あるいは輸送の安全上の適切性といったものを審査して許可を行うということになりますが、今御指摘ございました費用対効果、いわゆるBバイCにつきましては、鉄道事業の許可を行うに当たっての要件にはなっておりません。
○屋良委員 鉄道事業を所管する国交省が条件の中に入れていないことを理由にずっと十四、五年も調査ばかり続けていて、BバイCが上がりません、BバイCが上がりませんと言い続けている内閣府があって、そこが認めないと一括計上にのっからないから予算が出てこないので、国交省も手のつけようがないという現状があるというふうに私は認識しているんです。そこは正しいですかと聞いてもなかなか答えづらいですよね。大臣、それでいいんでしょうか。
○水野政府参考人 済みません、お答えいたします。
鉄軌道調査に関して御答弁申し上げます。
沖縄における新たな鉄軌道等の導入について、委員おっしゃるとおり継続的に調査を実施してございますが、一つ、委員御指摘のBバイC、事業効率性を評価するBバイCが依然として一を下回っているほかに、開業後四十年間の累積損益が黒字転換にならない、大幅な累積赤字が出るという試算になってございます。なかなか事業の採算性が確保されないという課題が明らかになっているということで、引き続き調査を行っているという状況でございます。
○屋良委員 時間が来たので終わりますけれども、沖縄県が行っているBバイCでは一をクリアしているので、そうすると、地元がやりたい、地元の調査でBバイCが上がっている事業について、鉄道局は多分、内閣府がそこで止めていなければいけると思っておるというふうに私は固く信じておりますということを言わせていただいて、質疑を終わらせていただきます。
よろしくお願いします。

