2024年4月12日 衆議院 環境委員会 屋良朝博
■うるま市自衛隊訓練場整備計画ついて
質問内容についての要約
海岸漂着ごみ及びプラスチックについて質問。
議事録
第213回国会 衆議院 環境委員会 第8号 令和6年4月12日
○屋良委員 おはようございます。本日もよろしくお願いいたします。立憲民主党、屋良でございます。
今回の法案審議に合わせて、私は、海洋漂着ごみとちょっと関連させて議論をさせていただきたいというふうに考えております。
先ほども、世界的な課題であり、海は国境が、海域がありますけれども、ごみというのは国境を越えて漂うものでありまして、世界中で年間八百万トンほど流出されているらしくて、ペットボトルとかレジ袋など、町で発生したごみが海洋ごみの八割を占めているということでございます。
このままいくと、二〇五〇年までに海はプラスチックごみだらけになっちゃうということで、今も、いろいろな世界の海岸で打ち上げられている海洋生物のおなかの中を開いてみたらプラスチックごみばかりだというふうなことも報道されているというちょっと深刻な問題ではないかなというふうに思っております。海に面する百九十二か国のうち、プラスチックごみの年間流出量の割合では、日本は全体の三十位、アメリカに次いで先進国では二番目の多さだというふうな報道もされております。
そこで、お伺いしますけれども、日本の海洋漂着ごみの現状を、把握している内容で教えていただきたいということと、それから、その取組はどうなさっているのかということ、官民連携の方向性というようなこともお示しいただきたいと思います。
○土居政府参考人 お答えいたします。
環境省では、海岸管理者であります自治体が行います海洋ごみの回収、処理に対しまして財政支援を行っているところでございまして、その実績といたしましては、令和三年度におきまして約三万九千トンを回収、処理をしております。
また、漂着したごみの由来を調べましたところ、ラベル等から判別しましたが、全国的には、漂着する海洋ごみのうち、約半数が外国由来のごみであるということが分かっております。
こうした外国由来の海洋ごみ対策につきましても、二国間や日中韓三か国環境大臣会合の枠組みなどを通じまして、関係各国と連携協力をしているところでございます。
また、自治体、事業者との連携につきましては、ウェブサイトやSNSを通じまして広く取組を紹介いたしますプラスチック・スマート事業、こういったものを通じまして、先進的な取組を横展開をしているというところでございます。
○屋良委員 是非とも対応をよろしくお願いいたします。
再資源化事業等の高度化の促進において、一般廃棄物である漂着ごみの扱いについてどう取り組むべきであるというふうに環境省はお考えであるのか。それと、自治体は、やはり集めて処理する財政的な負担もありますので、その辺、排出者が市民でも自治体でもないもの、海洋漂着ごみなんですけれども、この高度再資源化処理に向けてどのような対応をお考えであるのかということをお示しください。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
本法律案の主たる目的は、ペットボトルを始め様々な廃棄物について、高度な再資源化の事業を促進し、それが資源として有効利用できるようにしていく、こういうことを狙いとしております。
こうした中で、御指摘いただきましたプラスチックの中でも特にペットボトルの問題、これは大変象徴的な事例であると思っております。
例えば、本法律案に基づく取組ですと、ペットボトルをいろいろな広いところから集めて、広域的に集めて、そしてスケールメリットを生かすことによってその有効利用を推進する、こういうことについても認定スキームによって応援することができる、こういう仕組みになってございます。
御指摘いただいたような課題の解決にも資するような形で、本法律案がうまくお役に立てるような形でどういった取組が可能か、本法律案に基づく取組の中でしっかりと考えていきたいと思っております。
○屋良委員 ペットボトルが海洋ごみの中で一番多いらしいんですが、ただ、いろいろなものが、例えば貝とか海藻とかが漂着しているので、再利用もこれまた手間がかかるかと思いますが、そういったことも念頭に、対策に万全を期していただきたいというふうに考えております。
海岸でクリーンアップ作戦とか、いろいろやっておられる市民の方々がたくさんおられます、全国に。その方々との対応というのはやはり必要じゃないかなと思っておるんですね。今回の法案は自治体と企業が対象になっていますけれども、資源循環の大きなアクターであるはずの市民との連携、ここがちょっと抜けているのではないかなというふうな印象を持っております。
大臣、私たちが幼い頃ですよ、八百屋さんに行ったら、新聞紙で野菜を包んで売ってくれていたじゃないですか。今の若い人たちは記憶があるか分かりませんけれども、そういう取組、奨励も、やはり市民に対する啓発活動というか、連携を取っていきましょうというふうな呼びかけは大事だと思っているんですね。
伺いますけれども、フランスでは、二〇二二年一月に、全ての商売業で野菜と果物のプラスチック包装が原則禁止となった、その年の四月には、使い捨てプラスチック包装のリデュース、リユース、リサイクル、3Rに関する国家戦略を採択する政令を発布したというふうに聞いております。なぜフランスではそのような国民的あるいは市民を巻き込んだ取組が可能なのでしょうか。留学経験がおありの大臣、もしそこのところに経験や何らかの知見がおありであれば私たちと共有させていただきたいんですけれども、お願いします。
○伊藤国務大臣 御質問ありがとうございます。
私は、フランスという国は、やはり自国文化に大変誇りを持っている国だと思います。それから、政治、行政の状況を見ても、やはり基本的に文化とか、あるいは、もっと言えば哲学ですね、思想性というものを非常に基軸に置いて、その上で広げていくということがあると思います。
それから、経験知からいえば、やはりマルシェというか市場に行くと、日本も昔はあったんでしょうけれども、量り売りをしますよね。そして、買物籠みたいなものを提げて、このニンジンを一つとか、この芋を三個とかいうふうに買うわけです。
確かに、フランスも、スーペルマルシェという、いわゆるスーパーマーケットができて、プラスチックに包まれているものも売られていますけれども、依然、やはり街角の八百屋とかパン屋とかというのは、プラスチックに包まないで売っています。毎朝おいしいパンを買うために並んだりもして、夜の前にまたパンを買ったりということで、プラスチックに包まない、そういう生活もパリでもできるという現状があると思います。
そこも含めてお話し申し上げれば、フランスでは、循環経済に向けて意欲的な対策が進められております。例えば、二〇二二年には、アパレル等の売れ残り商品について廃棄を禁止して、再利用、リサイクル、寄附を義務づけました。さらに、この三月には、ファストファッションの一部を規制する法案が下院を通過したということを聞いております。
加えて、使い捨てプラスチック製品についても、段階的に使用禁止を強化していると承知しております。具体的には、二〇一六年から使い捨てレジ袋の使用を禁止し、その後、野菜、果物への使い捨てプラスチック製容器包装を禁止の対象に加えたということでございます。
日本でも、例えば、プラスチック資源循環戦略において野心的なマイルストーンを掲げておりまして、フランスを始めとして他の先進的な取組を参考にしながら、トップランナーとして資源循環の取組を進めてまいりたい、そのように考えております。
○屋良委員 伺ってよかったと思います、大臣。先ほども繰り返しおっしゃっていましたけれども、やはり文化とか哲学とか、その地域に根差した、国をきれいにしたい、愛しているからだと思います、そういったものがベースにあって、根本にあって、バックボーンにあってこそ、資源循環も進めやすい環境をつくっているのだというような、今伺っておりまして大変感銘を受けました。
そこで、市民の協力はやはり必要であるということも含めて、大臣がおっしゃいました、なぜ環境を大事にしないといけないのか、地球温暖化で、住めるような地球はもしかしたらなくなるかもしれないぞというふうなことも含めて、環境省は旗振り役をやはり担っていただきたいというふうな思いをするのは、例えば、ごみの分別でも、自治体はいろいろ、様々じゃないですか。そうすると、ペットボトルの回収を広域化してみても、分別がばらばらだと効率性が少し失われるのかもしれないなというふうな気がしております。
分別について国が何らかの指針を示してこられた経緯があるのか。あるいは、広域化を円滑にするような施策、そういったものをこれまでに実施したことがあるのか。もしまだ足りない部分があるのであれば、こういった部分をやっていきたいなとかというふうな、力を入れていく方針というのがあるのであれば、お聞かせください。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘いただきましたとおり、例えば、ごみの分別収集につきましても、市民の皆様との連携、そうした方々に強く関心を持っていただいて実際の行動に移していただく、こうした取組は大変重要であり、私どもとしてもしっかり取組を進めたいと考えております。
そうした中で、やはり大事になるのは、一般廃棄物、ごみの収集、運搬に当たっての分別をどういうふうに進めていくか。こうした観点から、環境省におきましては、一般廃棄物の標準的な分別収集区分やその適正な循環的利用や適正処分に関する指針を平成十九年に各自治体の皆様方にお示ししております。そして、平成二十五年にはこれを改定し、周知を図り、各市町村の取組について技術的支援をさせていただいているところでございます。
さらに、廃棄物の分別収集区分の設定は、今、自治体によっていろいろな区分の設定がされているわけでございますけれども、この設定に関しましては、地域の特性に応じて、回収後に、集めた廃棄物の再生利用の方法とか再生利用先とか、そうしたことについてはやはり地域の特性に応じて様々でございますので、そうしたものを含めた形での廃棄物処理体制を検討していただく必要があると考えておりまして、地域の実情も踏まえて区分が設定されるよう、各自治体の皆様方に働きかけをさせていただいているところでございます。
今後も、引き続き再生利用に関する実態把握に努めまして、その結果も踏まえて、先ほど申し上げました指針の改定などの必要な対応を引き続き行うとともに、地方自治体や産業界の皆様方にもしっかり周知を図り、各地域地域での分別収集、これが的確に前に進むように取り組んでまいりたいと考えております。
○屋良委員 どうもありがとうございます。
取りあえず、指針としてはあるということですね。申し訳ありません、私は全然知らなかったというか、周知を自治体がやっているので、国の標準的な基準があるということになかなか気づかないうちに、自治体が配ってくれるイラスト入りの表を見て分別しているわけなんですけれども。
地域の特性によってというような言葉がありましたけれども、その中で、ちょっとやりにくいのが離島県、島嶼県。私は沖縄なんですけれども、小さいので自己完結しないといけないですね、動脈、静脈。そうすると、コストがかかるわ何やかんやで、いろいろと資源循環は難しいところがあるんですよ。
離島においてどのような資源循環を推進されるのか、もし環境省として何らかの方向性が、方針がございましたら、お示しください。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま御質問をいただきました、例えば沖縄県のような離島において発生する廃棄物の処理を進めるに当たっては、離島単位で新たな焼却炉等のごみ処理施設整備を行うことはなかなか難しいというような事情もございますし、広域的に輸送する場合の輸送費用など、島嶼という難しさ、離島ということに伴う難しさが存在するということは、私どもとしてもしっかり踏まえて考えなければいけないと考えております。
こうした離島等において資源循環を進めるためには、まずは、市民の分別排出によるごみの種類に応じた再資源化の徹底を進めていただくでありますとか、例えば、生ごみとかそうしたものであれば、堆肥化施設などの、これは小規模な施設でございますので、小規模なバイオマス利活用施設、こうしたものを活用していただくとか、若しくは、こうしたものを燃料化していただくための燃料化施設など、離島の特性を生かした処理体制を地元事業者と連携して構築していくということが重要であると考えております。
こうした考え方の下、環境省といたしましては、地域の実情を踏まえて、それぞれの創意工夫とあと地域の皆様方の合意形成により多様な取組を選択できるよう、優良事例の横展開や再資源化の高度化に資する技術開発、設備導入の支援を行ってまいりたい、このように考えております。
○屋良委員 今、堆肥化という言葉があったので、少し堆肥を捉まえてお話ししたいんですけれども、例えば、鹿児島で堆肥を一トン買うと四万円、沖縄で買うと五万円、二〇%アップということなので、やはり輸送コストを考えたときに、なかなか事業化というのが難しいんですね。それは民間もそうだし、官についても、やたらコストがかかっちゃうんですね。
そういったコストがかかると、地域性があるのは離島県、島嶼県、沖縄だけでもなく幾つかあると思うんですけれども、先ほどの近藤委員の指摘の中にも自治体との連携強化というのがありました、指摘されておりましたけれども、本当にその費用をどうするかということになると思うんですね。
認定制度を国がやります、監視は自治体でお願いしますねというようなことになると、何か自治体にとってはちょっと負担感をやはり感じてしまうと思うんですよ。それをちゃんと手当てができるような、例えば、人の手当てをした場合には、その人件費については自治体の標準財政需要額に入れてもいいですよとか交付税措置ができますよとか、そういった網羅的な、安心感を自治体に与えるような、そんな取組というのはやはり考えておくべきではないのかなというような気がするんです。
その辺、自治体に対するコストを意識した取組、今回の法制の中でなじむのかどうかはちょっとよく分かりませんけれども、大くくりの話かもしれませんけれども、せっかくなので、是非そういったことも念頭に対応していただきたいんですけれども、何らかの考えがあれば、お示しください。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
本法律案につきましては、まず、国が前面に立って国がしっかりと取組を進める、こういう考え方で臨みたいと思っております。そうした形で、各地方自治体の皆様方に負担をかけないような形で、国が中心となってやっていきたいと考えているところでございます。
具体的には、事業の認定から事業者の指導監督まで、環境省の責任において、本法律案に基づく事務はしっかり果たしていきたいと考えております。
また、三つの類型の認定制度のうち、再資源化工程の高度化に関する認定につきましては、地方公共団体において廃棄物処理法に基づき既に指導監督を行っている既存の施設、これの再資源化工程の高度化に関するものでございますので、引き続き指導監督は地方公共団体に担っていただくことになりますが、その場合であっても、認定に当たって国がしっかり審査をして、不適正な事案が生じないようにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
その上で、認定を受けた事業者により不適正な処理が行われた場合などには、地方公共団体が指導監督を行うことができるという規定を置いてございますけれども、その場合であっても、国としてしっかりと自治体の取組をバックアップをして、各自治体の皆様の負担が生じないようにしっかり取り組んでいきたいと思っております。
そうした形で、まずは国の方でしっかりとこの取組を進めることによって、自治体と連携をしながら、各地域の取組が前に進むような形で、国が積極的に仕事を引き受け、国が積極的にこの取組を前に進めていく、こういう形でやっていきたいと思っております。
○屋良委員 是非とも強力にサポート体制をよろしくお願いいたします。
時間ですので、終わります。ありがとうございました。