2024年4月18日 衆議院 安全保障委員会 屋良朝博

■風力発電設備について及びうるま市自衛隊訓練場整備計画ついて

質問内容についての要約

風力発電設備について及びうるま市自衛隊訓練場整備計画ついて質問。

議事録

 第213回国会 衆議院 安全保障委員会 第9号 令和6年4月18日

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○屋良委員 委員長、大臣、副大臣、よろしくお願いいたします。
 本法案について質問させていただくわけでございますけれども、まず最初に、この法案全体のつくりとして、要請ベースで行われることになるというふうに理解しておりますけれども、その要請ベースで行われる風車設置予定者との調整をあえて法制で義務化するということに関する防衛省としての説明、理由を伺いたく思いますので、お願いします。


○木原国務大臣 まず、その前提として、風力発電の導入促進は政府が一丸となって取り組むべき課題でございます。
 一方で、風力発電設備の設置場所や規格によりましては自衛隊のレーダー等に障害を及ぼすおそれがあるというふうに認識をしております。そのために、防衛省としては、これまでも事業者の皆様方に対しましては、自衛隊の活動に及ぼす障害を回避するために、計画策定の初期段階における相談を要請してまいりました。
 一方で、協力していただける事業者の方はもちろんたくさんいらっしゃったわけですが、一部の事業者におかれましては、その要請は任意でありますから、そのために、工事着手の直前まで相談が行われずに、その結果、協力が得られないケースもございました。
 したがって、この法案によって、風力発電設備の設置者と私、防衛大臣が調整を行う仕組み等が制度化されれば、その事業者が計画策定の初期段階から防衛省に対する相談を行うことにつながり、自衛隊等の円滑かつ安全な活動を確保できるもの、そのように考えております。


○屋良委員 この法案は電波法を下敷きにして作られているというふうに理解しておりますけれども、総務省に昨日確認したところ、電波法に基づく伝搬障害防止制度における高層建築物などの工事予定届出件数が、令和二年に七百五件で、そのうち電波障害を起こすと判断された案件は一件だけだったというふうなことらしいです。令和三年も七百十七件の申請があって、このうち四件が電波障害を起こす可能性があると判断された。令和四年は六百六十六件のうち三件だったというふうな実績でございます。
 風車とレーダーの関係で一概に全てのものが比較できるというわけではないということは重々承知していますけれども、おおむねこのような状況になるであろうというふうな見積りというのはあるのでしょうか、教えてください。


○加野政府参考人 お答え申し上げます。
 御案内ございましたけれども、電波の伝搬障害と、風車とレーダーの見通しとの関係というものは必ずしも同じではございませんので、一概にそちらの数字というものを参考にして何件ということをお示しするというのは難しいというふうに考えてございます。
 こちらの法律につきましては、風力発電設備の設置によって自衛隊のレーダー等に著しい障害を及ぼすおそれがある場合、その必要な限度において、陸上の区域を電波障害防止区域として告示で指定するということになっておりまして、その告示の範囲がどうなるか、そういうようなところから実際の適用件数が変わってくるのではなかろうかというふうに考えてございます。


○屋良委員 今お話にありました防止区域、これは恐らく、事業者の経済的な負担も考えて、最小限で範囲指定するというふうなことだと受け止めておりますけれども、その範囲指定の何らかのガイドラインや基準とかがあれば、一般の人がよく分かるし、事業者もよく分かって準備ができるというふうに考えますけれども、その基準というのはあるんでしょうか。もしなければ、それをいつ頃皆さんにお知らせするのかということの対応、今後の対応も含めてお伺いします。


○加野政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘いただきました電波障害防止区域でございますけれども、まず、その指定の考え方につきましては、法律の中でしっかり明示させていただいております。
 御紹介を申し上げますと、例えばということでございますが、洋上を監視する警戒管制レーダーについての場合でございますけれども、レーダーと水平線を結んだ平面を、国内で設置が想定される最も高い風力発電設備が超える部分、その部分を地上に投影した区域を電波障害防止区域として指定をするということでございます。
 具体的に想定をいたします、例えば国内で想定される最も高い風車の高度等につきましては、これから省令で決めていくということになりまして、その上で必要な告示を行っていく。本法を成立させていただきました場合には、猶予期間を置きますけれども、執行のための期間を置きますけれども、それの満了の前に、省令等につきまして、あるいは告示につきまして、しっかりと国民の皆さんにもお示しできるようにというようなことを努めてまいりたいというふうに考えてございます。


○屋良委員 この区域指定なんですけれども、やはり、事業者が十分理解するその猶予期間、十分な周知期間がしっかりと保たれることが必要だ、必須条件だというふうに考えておりますので、そこはしっかりと対応していただきたいと思います。
 法案を読んでみると、在日米軍も含まれているというふうなことも明記されておりますけれども、米側との調整をどういうふうに行うのでしょうか。それと、米側の通信機能を承知した上で範囲指定をするのか、それとも米側に範囲指定を委ねるのか、その対応についてお知らせください。


○大和政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、我が国は七十六の米軍専用施設・区域がございまして、電波障害防止区域に指定することを想定しているものがございます。
 法案第三条第一項一号に規定する弾道ミサイル等に対する破壊措置、領空侵犯に対する措置等のために必要なレーダーとしては、車力通信所及び経ケ岬通信所、第三条第一項第二号イに規定する自衛隊等が管制業務を行う飛行場としては、岩国飛行場及び普天間飛行場、第三条第一項第二号ロに規定する自衛隊等の防衛施設であって航空機による射撃又は爆撃を行うものとしては、三沢対地射爆撃場であります。
 実際に、法案に基づく指定に際しましては、米軍の活動について、風力発電設備の設置等が行われた場合に著しい障害を生ずるおそれがあるかといった観点から、個別具体的に判断をしていくことになりますが、その過程においては米軍とも緊密に連携してまいります。


○屋良委員 済みません、もう一度お伺いしますけれども、その範囲指定はあくまでも日本がやる、防衛省がやるというふうなことで理解してよろしいですね。


○加野政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、範囲の指定については日本政府が行います。その過程で米軍とあるいは米国としっかり調整をしてまいるということでございます。


○屋良委員 そこを確認させていただいているのは、いろいろ質問をするんですけれども、米側の運用について、特に日本政府として承知していませんとか答える立場にありませんとかというような回答が間々あるんですね。なので、そういった地域指定、これは経済的な活動にも関わるので、そこはしっかりと日本がイニシアチブあるいは主導権を取ってやらないと、法の運用上おかしくなってしまう。私はそこは少し危惧しているところなんですね。
 だから、米側の言いっ放しの、全て委ねるというふうな形の方の運用だとちょっと日本としていかがなものかなと思いますので、そこはちゃんと、なぜこれが必要なんだということも含めて明らかにしながら運用していく必要があると思っておりますので、そこのところは強く要望しておきます。
 次に、届出制度なんですけれども、許可制ではなく届出制度にした理由はどういうことなんでしょうか。お願いします。


○加野政府参考人 お答え申し上げます。
 本法案でございますけれども、風力発電の導入促進と自衛隊等の活動との調和を図りつつ、風力発電設備が自衛隊等の活動に及ぼす障害を回避するために、風力発電設備の設置者と防衛大臣が調整し、解決していくための仕組みを制度化するというものでございまして、こうした考え方を踏まえて、許可制とはしていないところでございます。
 なお、この法案が成立いたしました場合には、自衛隊のレーダー等に著しい障害を生じる場合には、設置者は防衛省との協議が義務づけられるということでございまして、最大で二年間工事に着手できないということでございます。防衛省との協議に至る相当の前の段階、すなわち計画策定の初期段階から防衛省に対する相談を行うことにつながるというふうに考えてございまして、本法案におきましても、自衛隊等の円滑かつ安全な活動を確保できるというふうに考えているところでございます。


○屋良委員 これまでも、恐らく、私が記憶するところでは、円滑に、円満に防衛庁と現地の防衛施設局と相談がなされて、そういった障害物の建設あるいは設置の回避は行われていたものだというふうに理解をしているんですね、実は。
 例えば、普天間飛行場の周辺で高い建物を造ろうとする事業者は、建設許可を当該市町村に届け出るときに、市町村は、これはボランティアですけれども、義務はないんですけれども、これはちょっと防衛省と、現地の防衛施設局と相談した方がいいですよというような案内をするんですよ。大体そこで折り合いをつけて回避していくというのが一般的なやり方なので、最初からなぜ義務化するんですかというふうな疑問が生まれたこと。
 それから、指定について余り濫用されても困るということと、運用について、二か年過ぎたらできちゃうよというふうな、そんな強い締めつけではないんだけれども、やはり設置事業者にとっては二か年というのは結構長い、事業を断念しないといけなくなるようなものなので、そこをちょっと確認させていただいているわけなんです。
 例えば、交渉が不調に終わった場合は建設可能となるというたてつけ、これも電波法を下敷きにしているのでそうなっているというふうに受け止めております。事業者が交渉を拒否した場合、罰金五十万円を納めて早く設置したいということも恐らく可能でしょう。
 であれば、この実効性というか、特に強めろと言うわけではございませんけれども、電波法に乗っかって運用するということが可能だったのかなというふうなことも思ったりしたんですけれども、これを取り出して、この法案として成立させる意味というのは一体どのように説明されるのでしょうか。


○加野政府参考人 お答え申し上げます。
 電波法につきましては、やはり電波の伝搬障害について規制をしていくということでございまして、それに対しまして、この法律につきましては、風力発電の利用の促進と、防衛省が電波を用いて行う活動との調和をどのように図るのかという観点から、特にレーダーの話であるということで、新しく法律を作らせていただいているところでございます。


○屋良委員 ありがとうございます。
 次の質問に移らせていただきます。
 うるま市の自衛隊の訓練場計画の断念についてなんですけれども、沖縄における自衛隊訓練設置計画、今回のうるま市案の断念は、私は英断だったというふうに思っております。
 地元の理解が得られなかった理由は何なのか、そして、大臣として、政治的な道義的な責任をどのように受け止めておられるのか、お願いします。


○木原国務大臣 まず、私が決断を下すまでの間、省内において様々な検討を進めてきたところですが、私自身としては、様々な地元の意見を直接あるいは間接的に聴取をしながら、先日、最終的には十一日でしたけれども、うるま市長が直接、中村市長が省内に来られました。自民党県連の、沖縄県連の島袋幹事長も、あるいは地元選出の島尻代議士等も陪席をされましたけれども、重ねてその御要請を受けて、重大なものとして受け止めたところであります。
 その後、その直後に、熟慮に熟慮を重ねた結果、現在のゴルフ場跡地では住民生活と調和しながら訓練場の所要を十分に満たすことは不可能であるというふうに判断をしまして、そのことから、うるま市における訓練場の整備計画を取りやめるということにしたものであります。
 こうした事態に至ったこと、結果として様々な御心配をおかけしたことに対しましては、うるま市を始めとする地元の皆様方におわびを申し上げます。
 この決定については、私が判断した直後もうるま市長に直接電話して、お帰りの途中でしたけれども電話でお伝えをしました。その後、事務方を通じて、うるま市の事務方であったり、沖縄県であったり、自民党沖縄県連であったり、地元の関係者の方々であったり、そういったところに説明を速やかに行ったところであります。
 以上でございます。


○屋良委員 今大臣が挙げていただいた地元要請があった人たち、これは真っ先にまず計画を説明して理解を得なければいけない人たちだったのではないか、普通に、一般論的に考えるとそういうふうに思います。
 その方々から、計画が決まって予算が衆議院を通過した後に、それをいつ執行しようかという段になろうとしているときに、重ねて要求を受けたので熟慮に熟慮を重ねたというふうなその説明が、私は全く理解ができなくて、今回のこの経過は実にブラックボックスの中に入ってしまっているのではないかな。そこが問題で、そこを明らかにしていただいて、それに対する対応策を示していただかない限り、この案件はまだまだ続くわけでございますから、そこを是非とも明らかにしていただきたい。
 所要はまだ残っているというふうに理解しておりますけれども、次の用地の目星はあるのでしょうか。お答えください。


○木原国務大臣 委員も理解していただいているというふうに思いますが、追加的に発生する訓練や物資の集積等の所要というのは一五旅団の師団化に伴って発生する、その必要性に変わりはないわけであります。
 そのため、今般の判断に伴って、一五旅団の師団化に伴って、訓練等の在り方についても幅広い視点から再検討を行うよう指示を行ったところです。また、その再検討をするに当たっては、省内でしっかりと連携を図り、周囲の住民環境を含めた地元の状況というものをしっかりときめ細かく把握し、そして分析した上で作業を進めていくよう、併せてこれも指示を行いました。
 再検討の判断に私が至ってからまだ間もないこともあって、訓練場として活用する場所も含めて、またその内容について、今、現時点ではまだ予断を持ってお答えすることは困難ですが、あらゆる選択肢を検討しながら適切な結論を得る考えでございます。


○屋良委員 次の候補地が見つかったとき、その説明の対象はまずその地元の首長になりますか。どのようなお考えでしょうか。大臣、お願いします。


○木原国務大臣 今般取りやめることにしましたうるま市における訓練場の整備計画に限るものではありませんが、一般論としてでございますが、防衛省においては、我が国の防衛を全うする観点から、自衛隊施設の整備や安定的な運用、部隊活動の円滑な実施に当たっては地元の御協力が不可欠であるという、一般論としてはそういう認識の下に、我々はこれまでも行ってまいりました。
 だからこそ、防衛省としては、地元の皆様に対する丁寧な説明や適時適切な情報提供を行っていくことが大変重要であると考えておりまして、これからもこうした考えの下で、首長に対する御説明なども含めて地元調整というものを丁寧に進めてまいります。


○屋良委員 そうすると、次の候補地を探す、探せたときには、そして防衛省がここが候補地として検討していますと表明したその時点では、自治体の首長の了承は得たというふうな状況であると認識してよろしいでしょうか。大臣、お願いします。


○木原国務大臣 防衛省としましては、地元の皆様に対する丁寧な説明そして適時適切な情報提供を行っていくことが大変重要であるとの考えでございます。こうした考えの下で、首長に対する御説明なども含めて地元調整というものを丁寧に進めてまいります。


○屋良委員 次元が違うと言われるとそれまでなのかもしれませんけれども、例えば、高レベル放射性廃棄物の最終処分場の選定はもう紆余曲折で大変じゃないですか。地元にまずお知らせして、ここが候補地になりますということ、可能性はどうですかという打診をして、それで地元で協議をして、地元がいろいろな表明をする機会があるのにもかかわらず、今回の場合は全くそれもなく、県と地元に十二月に説明をし、三か月後には、四か月後には衆議院の予算が通ってしまうという、その後の計画断念、これはどうも進め方として違うなというような気がしている。明らかに違うと思いますよ、大臣。
 財務省は、前回来ていただいたんですけれども、予算執行の実現可能性、これが第一だというふうにお答えいただきました。その実現可能性をどう担保するのか、それは、地元の合意はどのように財務省としては要件の中に入れて考えるべきだというふうに思っているのかということを御説明ください。よろしくお願いします。


○赤澤副大臣 今委員御指摘のとおり、参考人からも先日答弁させていただきましたが、何らかの事業について予算要求が行われる場合には、それぞれの要求官庁において、いわゆる概算要求基準に基づき、当該事業の必要性、重要性、費用対効果などについて精査が行われるものと承知をしており、その中で事業の実現可能性についても十分な検討が行われた上で予算要求が行われているものと認識をしております。
 その上で、委員御指摘の実現可能性を担保するための何らかの基準ということにつきましては、例えば、用地取得などについては、相手方が存在しており、事業の個別性も極めて高いということから、財務省として一律の基準を設けることは困難であると考えております。事業の執行に責任を持つ要求官庁において実現可能性を含めて御検討いただき、適切に対応いただく必要があるものと考えております。


○屋良委員 今回の件を通して、今回、うるま市の人たちが、元自民党の県議さんも含めて大反発したんですね。それは、寝耳に水だったとか、地元の区長さんすらよく知らないまま地元説明会の案内を受けたとか、そんな進め方だったということに大反発していて、今も熱は冷めていなくて、うるま市の市民団体をつくった人たちは、別のところでこの候補地の話が持ち上がったときには、その地域の人たちが反対をするのであれば一緒に取り組んでいくよというふうなことを言っているんですよ、もう既に。
 大臣、これは、もはや訓練場は諦めるべきではないでしょうか。いかがでしょうか。


○木原国務大臣 一五旅団の師団化に伴って一個連隊が増える、当然、訓練の所要は増えていく、そして物資の集積地なども必要だということで、沖縄本島内において新たな訓練場の所要、この要件は前回申し上げたので申し上げませんが、それに伴って、地元の理解をいただきながら、そして、地元の理解をいただく上では、その地元の状況についてしっかりと把握し、分析し、検討を十分に行った上で、そして、適時適切な情報提供を行いながら地元の御理解を得たい、そのように考えております。


○屋良委員 今回防衛省が確保した予算、これは執行見通しがまだ全然立たないという状況の中で、財務省として国庫返納を求めるべきじゃないかと思いますけれども、財務省、どうでしょうか。


○赤澤副大臣 たった今、防衛大臣から御答弁がありましたとおり、第一五旅団の師団化に伴う訓練などの在り方については、今後防衛省において幅広い視点から再検討が行われていくものと承知をしており、その際、令和六年度予算に計上した訓練用地の取得に係る経費を活用することも含めて検討がなされるものと承知をしております。
 このことから、財務省としては、現時点で本件に関係する予算について返納を求めることは考えておりませんが、防衛省においては、引き続き適切な執行に努めていただく必要があるものと考えております。


○屋良委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。